1. トップ
  2. 恋愛
  3. 映画『金髪』主演・岩田剛典がこんなにダサく思えることってあるんだ……と衝撃を受けた3つの理由

映画『金髪』主演・岩田剛典がこんなにダサく思えることってあるんだ……と衝撃を受けた3つの理由

  • 2025.11.22
公開中の映画『金髪』は良い意味で「岩田剛典のあまりのダサさ」に衝撃を受ける作品でした。その理由を3つのポイントを解説しましょう。(画像出典:(C)2025「金髪」製作委員会)
公開中の映画『金髪』は良い意味で「岩田剛典のあまりのダサさ」に衝撃を受ける作品でした。その理由を3つのポイントを解説しましょう。(画像出典:(C)2025「金髪」製作委員会)

11月21日より映画『金髪』が公開中です。目玉はやはり岩田剛典主演にして、演じているのが「イタい中年」だということ。何しろ、岩田剛典本人がこのようにコメントしているのです。

「日本特有の社会問題や固定観念を今までに無かったような切り口で皮肉と愚痴と笑いを交えて描く、新感覚の映画になりました。
普段から意識していないと自覚しないような、気にも留めずに流れて行きがちな発言や行動。
確かに他人に言われてみたらちょっとダサいよね、みっともないよね、大人げないよね、、みたいな日常あるあるのオンパレード。
そんな絶妙に共感できる、若中年あるある描写が多くてきっと中高年の皆様には必ず刺さると思います。ぜひぜひ、全国のおじさん、おじさん予備軍の皆様に見て笑って頂きたいです。共感しすぎて自分が嫌になっちゃう人もいるかも。
でもきっと劇場を出る時はちょっとスッキリして晴れやかな気持ちで劇場を後にして頂けます。
今まで演じた中で多分ダントツでみっともなくてダサい主人公を演じました。」

その言葉通り、岩田剛典史上、もっともみっともなくてダサい主人公が見られるのが、この『金髪』で間違いありません。

シンプルに「いつもはあんなにカッコいい岩(ガン)ちゃんがこんなにダサく見えることってあるんだ」と衝撃を受けました。しかも、「おじさんを自覚していない」男性に痛烈な指摘をするばかりか、「俺ってもうおじさんだからさ」と「わかっているつもり」のヤツもグサグサと刺してくる案件だったのです。30代の中年男性である筆者個人としては、見ている間はクスクスと笑って楽しんでいたものの、見た後にはものすごく落ち込みました(良い意味で)。

岩田剛典の言う「共感しすぎて自分が嫌になっちゃう」か「ちょっとスッキリして晴れやかな気持ち」になるかは見る人次第ではありますが、それはそれとして、面白い映画であることは間違いありません。内容に触れつつ、特徴と魅力を紹介していきましょう。

1:論理的なナレーションがむしろカッコ悪い

主人公である中学教師・市川は30歳。彼を悩ませていたのは、担任クラスの生徒数十人が、髪を金色に染めて登校してきたこと。前代未聞の「金髪デモ」はマスコミやネット、さらには文科省まで巻き込む大騒動へと発展していくのです。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

まさかの事態に慌てふためく岩田剛典を見ているだけで楽しいのですが、さらに笑いを倍増させていくのは「本音が観客にだけ聞こえる」ナレーション(モノローグ)です。

たとえば、「日本における教育の重要性は高まるばかりだ。つまり私が日本を支えていると言っても過言ではない」と自意識過剰なことを考えたり、「今月の私のサービス残業の時間を教えてあげたいくらいだ」とグチをこぼしたりと、論理的な言い方そのものは岩田剛典の声も相まってカッコいいけど、その中身は共感できても実にしょうもない様にニヤニヤしてしまうのです。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

また、生徒たちが一斉に金髪に染めてきたのは、そもそもが「髪を黒くしなければならない校則に対する抗議」のため。だからこそ、金髪デモを発案した生徒からは「なんでダメなんですか」「なぜ昔からある問題を放置するんですか」と問われるのですが、主人公が返すのは「校則だから」などと通り一辺倒または表面的なことばかり。何より生徒に真に寄り添っているとは言えない言葉の数々は、情けなく思えるでしょう。

一方で、「でもそう言うことくらいしかできないよなあ」と、彼に同情をする人も多いのではないでしょうか。なぜなら、中学校の先生という仕事、引いては中間管理職的な立場の大変さも描かれているから。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

例えば「校則を変更するまでの膨大なプロセス」が丁寧に示されていて、端的に言ってめちゃくちゃ面倒くさいことが伝わります。

さらに総理大臣からの「鶴の一声」で校則変更が白紙になり、さらに急な方針変更に反発するかのように金髪の生徒が増えて……と、振り回され続ける姿はおかしいやら、悲しいやら。「そりゃ心の中でグチをこぼすし、生徒に当たり障りのないことしか言えなくなるかもな」と納得できてしまうのです。

2:「おじさん発言」こそがおじさんっぽいので要注意!

さらに良い意味でしんどいのは、門脇麦が演じる彼女からの、正論も正論の言葉です。特に「おじさんになってきてるのに、おじさんじゃなくて若いフリして、受け入れられてないっていうのが、なんかベタっていうか、典型的すぎて見てらんないんだよね」という言葉のナイフが鋭利すぎて、ダメージを喰らう中年男性は多いことでしょう。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

それもそのはず、主人公・市川がその直前に語っていたのは「まあ人生っていろんな可能性があるわけじゃない。今って年齢にこだわるような時代じゃないしさ。時代は変わっているっていうか。だってぜんぜんまだ若いんだし。可能性に満ちているワケでしょ」などと、長ったらしい「年齢は問題じゃない」言説でした。なるほど「あ、なるほど逆に年齢を意識しすぎていることがわかるし、これはおじさんっぽいんだな」と納得できるのです。

彼女は「別に悪いことじゃないじゃん、おじさんなのは」という言説も口にしてはいます。それでも主人公が「おじさんってこの世で一番嫌われてる存在なワケじゃん、中年男性って、マジ信じられないんだけど、絶望、絶望!マジ絶望なんだけど本当!」とみっともなく叫んだりもするのは、カッコ悪すぎて一周回ってすがすがしいほどでした。さらに、友人からの「『自分おじさんなんで』って、『そんなことないですよ』待ちのやつ。あれももう言っちゃダメだからね。周りは困っているんだよ」という言説も、「それはそう」となるのです。そうしたありとあらゆる「おじさん発言への正論」を聞いて、「自分も言ったことある」「そう思ったことある」「これから口にしてしまうかも」と戦々恐々とする中年男性は多いでしょう。ぜひとも、終盤の「おじさんへの諦め」の境地を示す言葉にも、良い意味でほんのり絶望してください。

3:痛快無比な逆転劇……!にはなかなかならないけど、それでも……

本作の企画のアイデアの1つは、「ブラック校則」がよくニュースで取り上げられていた当時の、イギリスの男子学生たちが校則で定められている制服規則に抗議するためスカートで登校した、という海外のニュースだったのだとか。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

そのブラック校則への問題提起を備えつつも、30歳の中学教師という特定のキャラクターにフォーカスし、おじさんについての物語に仕立てたことがユニークなところ。その主人公に岩田剛典をキャスティングしたというのが、やはり本作の最大の勝因でしょう。

深瀬和美プロデューサーはオファー理由について「岩田さんって笑顔が素敵じゃないですか。でも、もしもあの笑顔の向こう側が空っぽだったら面白いなと思ったんですよね。主人公の市川は人当たりの良い人物ですが、その中身は褒められたものではありません。岩田さんが演じたらユニークなキャラクターになるのではないかと考えたんです」などと語っています。

まさにその通りの、岩田剛典というその人が持つカッコよさや素敵な笑顔さえも、劇中では主人公の「空っぽなダメさ」を引き立たせ、さらに「それだけじゃない」キャラの豊かさを与えているように思えたのです。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

そんな主人公・市川のキャラ造形および、岩田剛典というキャスティングがさらに活きたのは終盤の展開です。とある窮地に陥った彼は、金髪デモを計画した張本人の生徒と手を組み、大胆な作戦に打って出る……のですが、これがいい意味で「痛快無比な逆転劇」にはなかなかなりません。

むしろ「ヌルッといつの間にか解決または飽きられてる」というような、なんとも歯切れの悪い展開が続くことがこれまたおかしいですし、時には予想だにしない事態に陥ることも含めて、なんともリアルでした。

その「現実はそんなもんだよね」な状況でふてくされる主人公の態度がまた情けなくも可笑しく、ここまで来ると応援したくなってくるのもまた、岩田剛典というその人が持つチャーミングさのおかげだと思ったのです。

それでいて、この生徒たちの金髪デモおよび、30歳の中年教師の葛藤を、「くだらない」と一蹴するような結論ではなく、「ちょっとだけポジティブ」な着地へと向かっていくことが、本作の何よりの美点でしょう。

(C)2025「金髪」製作委員会
(C)2025「金髪」製作委員会

間違っていると思うことへの抗議はもちろん悪いことではないし、おじさんだと自覚していくことももちろんその人の成長であると、生徒と先生、それぞれの立場を優しく肯定してくれるようでもありました。それは、2人の意外なラストの会話に集約されていると思うのです。

また、あんなにカッコ悪く思えた岩田剛典のナレーションが、ラストにはなかなか味わい深いところにまで行き着くので、そちらもぜひ楽しみにしてください。

文:ヒナタカ

元記事で読む
の記事をもっとみる