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【物流の闇】採算度外視の「スーパー宅配便」…現場の悲鳴と、高齢者の「ありがとう」の狭間で【作者に聞く】

  • 2025.11.21
画像提供:(C)ゆきたこーすけ
画像提供:(C)ゆきたこーすけ

宅配業者に勤務していた頃、スーパーで購入した商品をその日のうちに届ける「買い物便」という仕事があった。ただでさえ時間がない中、1箱数百円という低単価で水やお米などの重い荷物を運ぶ業務は、採算が取れないと現場からは不評だったという。そんな宅配業者の裏側を描いたゆきたこーすけさん(@kosukeyukita)の漫画『運び屋ゆきたの漫画な日常』から、「スーパーの宅配便」を紹介する。

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「やってられない」現場の不満と、重労働の現実

「買い物便」は、スーパーの集荷担当者から連絡が入ると、ドライバーがすぐに営業所まで荷物を取りに行き、時間内に届ける仕組みだった。「僕の場合は片道20分くらいかかったかと思います」とゆきたさんは振り返る。往復40分のロスは大きく、1日の作業が押してしまうほど大変だったという。

ドライバーからは、「ただでさえ時間がないのに、やってられないよね」という苦情や、割に合わない配達料金のため「やめちゃえばいいんだよ」といった不満の声が上がっていた。

荷物の多くは、「自分で持ち帰るのが大変な重い荷物が多くて、特にペットボトルのお水やお茶、お米は多かったです。またお年寄りのお客さんのご利用が多かったです」と語る。1軒につき2~3箱の重い荷物を運んでも、報酬はわずか。不満が出るのも無理はない状況だった。

「これがないと困る」…高齢者の感謝がドライバーを救う

ある日、連絡を受けて重量のある買い物便を届けたゆきたさん。待っていたのは高齢の客で、「ありがとうね~。悪かったね~」と何度も感謝の言葉をかけられた。歩いてスーパーに行ってもお米を持ち帰ることができず、近くのバス停から買い物便があるスーパーに通っているのだという。「じゃないとお買い物、困っちゃうよ~」という利用者の切実な生の声を聞いた。

ゆきたさんは、「正直大変な仕事だったのですが、『これがないと買い物できない』なんてお年寄りのお客さんに言われると、やっぱり必要な仕事なんだなと思いました。配達員をやっていて一番うれしいのは、お客さんに感謝されたときじゃないかと思います」と、仕事の意義を再確認した心境を語った。

コメント欄には、「免許を返納し、車を持たない方にとっては死活問題」「社会貢献は数値化が難しく、つい利益率の方を重視してしまいますね」といった、サービスの必要性を訴える声が多く寄せられた。

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