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俳優・多部未華子「台本を読んだ時は信じがたかった」――新ドラマ『シャドウワーク』シリアスな作品の舞台裏は?

  • 2025.11.20

俳優・多部未華子「台本を読んだ時は信じがたかった」――新ドラマ『シャドウワーク』シリアスな作品の舞台裏は?

WOWOW「連続ドラマW シャドウワーク」(11月23日放送・配信開始)で、DV被害に苦しむ主婦・紀子を演じる多部未華子さん。これまで数多くの女性像を演じてきた彼女が、本作で挑んだのは「静かに闘う」女性。シリアスなテーマながら、撮影現場は意外にも笑いの絶えない時間だったといいます。作品への思い、そして現場で感じた“女性たちの強さ”について聞きました。

台本を読んだ感想は「本当にこんな現実があるの?」

―原作『シャドウワーク』を読んで、どんな印象を持たれましたか?

1人の女性が、自分の力で人生を切り開いていく物語に強く共感しました。ただ同時に、「本当にこんなことがあるのだろうか?」という戸惑いもあって。夫から抑圧され、季節の移り変わりさえわからなくなるほど自分を責めてしまう――そんな状況は、想像を超えていました。

―役作りのためにDV被害について調べたり、話を聞いたりされたのでしょうか?

私の周りにはそうした経験を持つ方はいなくて……。体験談を語るようなブログなども少ないですよね。「隠すもの」「思い出したくないもの」という印象が強く、結局は自分の想像力で演じるしかありませんでした。
でも現場で話していく中で「知り合いがそうだった」という話を聞くこともありました。
一見穏やかで優しい夫が、実は…というケースが身近にもあるのだと知り、胸が痛くなりました。

「点々」で語られる心の揺れ

―演じる上で特に工夫された点は?

台本には「……」が本当に多いんです。紀子は言葉よりも“沈黙”で心情を伝える人。だから、言葉の間にある感情や気づきや悟り、相手の気持ちへの寄り添いなどを丁寧に表現することを意識しました。
作品の完成版はまだ見ていませんが、「……」で語られる紀子の思いが、ちゃんと伝わるといいなと思います。

―セリフが少ないぶん、表情や目線にも注目ですね。

監督や撮影カメラマンさんたちと「もう少し目線を上げた方が強く見えるかも」など、細かく話し合いました。作品自体はシリアスですが、現場は非常に話しやすいムードで、私も監督にも気軽に「この方が伝わりやすいですか?」といろいろと相談できました。そういう風通しの良さが、役づくりをすごく助けてくれたと思います。

シリアスな物語だけど、現場は「めちゃくちゃ明るい!」

―重いテーマの作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

最初は「静かな現場になるだろう」と思っていたんです。でも、ふたを開けてみたらまったく逆で(笑)。意外と明るい現場でした。ロケ現場でも、みんなでどうでもいい話をして笑ってばかり。作品の内容は重くても、撮影中は本当に楽しかったです。

―座長としてのプレッシャーはありましたか?

特に「私が座長です!」というひっぱっていく感じではなくて。あ、でも正直いつもないのですが(笑)。むしろ、シェアハウスで暮らす女性たちそれぞれの物語がある群像劇のようなとらえ方をしていましたね。私自身も“紀子の目線で見守る一人”という感覚でした。

現場を支えてくれたのは先輩俳優たちのコミュ力

―ムードメーカー的な存在はいましたか?

いっぱいいます!寺島しのぶさん、石田ひかりさん、須藤理彩さん…ベテラン俳優の皆さんが本当に明るくて。撮影の合間にお菓子の話をしたり、「どこのおかきが美味しいか」で盛り上がったり(笑)。
お芝居の話もしますが、むしろ何気ない会話の中から「このシーン、こういうふうに演じたらどう?」というヒントをもらうことも多かったです。

―女性ばかりの現場ならではのエピソードもあったとか。

いや…ここでは言えない話ばかりでした(笑)。
でも、年齢を重ねることへの話題は尽きませんでしたね。もう、本当に先輩方が「40過ぎたらこうなるのよ」とか、「子どもが大学生になるとね」なんて話をたくさんしてくれて(笑)。年齢も立場も違う女性たちが集まって、互いに支え合う――まさにドラマそのもののような現場でした。

みんなで作る“今時の現場”

―撮影を通して得た気づきはありますか?

作品そのものというより、現場の空気から学ぶことが多かったです。
みんなでシーンを作り上げていく過程で、「このシーンってこういう意味だよね?」と話し合いながら撮影が進む。新鮮だったのが“助監督”さんが意見を出して、監督が「なるほど、それもいいね」と受け止めるようなチームワーク。今までは監督が絶対的な指示を出して、それに沿って作っていくのが基本だと思っていたのですが“全員で作る現場”って、こういう感じなんだ~!と、新しかったです。
特にしのぶさんが監督やスタッフに沢山、聞くんですよ。「これってこういうことでいいのかな~?私、緊張しちゃう!!」とか(笑)。
こうやってご自身の気持ちを織り交ぜながらどんどん意見を言ってくださることで、私たちも話しやすい雰囲気になって。多分意図してというよりは、ご本人の性格なのかな。それはすごく学びになりました。

女性として、人生を取り戻す物語

―最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

この作品は、夫のDVで人生を見失った女性たちが、再び自分の人生を取り戻そうとする物語です。諦めていた日々の中で、もう一度「自分を生きる」と決める、――そんな姿を描いています。
もちろんミステリーとして楽しんでほしいですが、同時に「誰かと協力すれば、もう一度立ち上がれる」そんな希望を感じていただけたらうれしいです。

【PROFILE】
多部未華子 ●たべ・みかこ
1989年生まれ、東京都出身。2002年、俳優デビュー。2005年、映画『HINOKIO』と『青空のゆくえ』で第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞。2009年NHK連続テレビ小説『つばさ』では主役を演じる。11月23日よりスタートの「連続ドラマW シャドウワーク」ではWOWOW連続ドラマ初主演をつとめる。

「連続ドラマW シャドウワーク」本予告解禁!

【INFORMATION】

「連続ドラマW シャドウワーク」
WOWOWにて11月23日(日・祝)午後10時よりスタート(全5話)
放送・配信:毎週日曜午後10時~
出演:多部未華子 桜井ユキ
川西拓実(JO1) トリンドル玲奈 上原実矩 須藤理彩 街田しおん 森岡龍 竹財輝之助
石田ひかり 寺島しのぶ

原作:佐野広実「シャドウワーク」(講談社文庫刊)

撮影/三角茉由 スタイリング/岡村春輝(FJYM inc.) ヘア&メイク/中西樹里

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