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【ひとり暮らしのお宅拝見】60代、YouTuberのyamaさん「持ち家を手放したら一気に身軽に。質素ながら自由な暮らしを満喫中」

  • 2025.11.20

【ひとり暮らしのお宅拝見】60代、YouTuberのyamaさん「持ち家を手放したら一気に身軽に。質素ながら自由な暮らしを満喫中」

「自分にとって不要なもの、嫌なものをそぎ落としていった結果が、今の心地いい暮らしになりました」と話すのは、60歳からYouTuberとして活動しているyamaさん。心地いいひとり暮らしの工夫やアイデアについて、お話を伺いました。 ※記事内容は、取材時の状況です。

お話を伺ったのは
YouTuber
yamaさん

やま●30代で離婚、子どもの独立後、失業・病気を機に賃貸住宅に住み替え。
60歳から配信を始めたYouTubeでは、ひとり暮らしの知恵とともに、料理や散策風景、文鳥たちの姿などを切り取った動画が人気を集める。毎週金曜日配信。www.youtube.com/@yamaziska

50代後半で失業と病気を経験し、賃貸暮らしへ

60歳からYouTuberとして活動するyamaさん。おだやかな日々の暮らしのシーンを背景に、自身の率直な思いが文章で綴られ、コメント欄には同世代の女性たちからの共感の声があふれる。

現在は生き生きとひとり暮らしを楽しむyamaさんだが、最初からこうだったわけではない。ひとり暮らしのスタートは、夫と離婚後、一緒に暮らしてきた子どもたちが独立したとき。3LDKのマンションでひとりになり、何ともいえない寂しさが込み上げてきたという。

「夜お風呂に入っているときに、誰かが玄関ドアを開けて『ただいま!』と帰ってくることはない。この家には自分以外に音を立てる人はいないんだ、としみじみ感じて、ぽろりと涙がこぼれました。

でも、人間って時間がたつと慣れるんですよね。それまでは子どもと一緒にいるのが日常だったけれど、ひとりで過ごすのが少しずつ日常になり、寂しさや辛さが軽くなっていきました」

平穏を取り戻したと思われた頃、衝撃的な転機が訪れる。勤めていた会社から整理解雇を通達され、57歳で仕事を失ってしまったのだ。

「弁護士さんに相談して和解金を得ましたが、金額はわずか。さらにストレスから、まぶたが開かなくなる病気になってしまったんです。視界が狭まるので日常生活にも支障が出て、就職活動もままならない。あのときが人生のどん底でしたね」

なかでも重くのしかかってきたのが、マンションの住宅ローン。銀行に相談し、売却後も住み続けられる制度を使うことを検討したが、解決策は見つからない。結局、持ち家を手放し賃貸住宅に住み替えることに。

「実際に手放してみて、背負っていた荷物がどれだけ重かったのか気づきました。3LDKという広さを管理するのも、この先何年も払い続ける住宅ローンも、病気を抱えてひとりで暮らす私には重すぎたんです」

他人と比較する生活より質素な暮らしを楽しむ

賃貸住宅を選ぶ際に重視したのは、環境のよさ。最初に住んだ物件は公園が近く、緑の多いロケーションに惹かれた。そこから引っ越した現在の住まいは、角部屋で光と風がたっぷり入る環境が決め手に。駅やスーパーが近いのも理想的だった。

「金銭面の不安はもちろんありますよ。それを払拭できたのは、年金事務所に足を運んで将来の支給額を調べたり、家計簿で日々の支出を把握したりしているから。何も知らなければ不安はふくらむ一方ですが、知っていれば心構えも対策もできますよね。もしお金が足りなくなれば、もっと狭くて家賃の安い物件に引っ越すつもりです。

アルバイトを探した時期もあったけれど、やりたい仕事が見つからなかったり、人手不足というわりに採用されなかったり。それなら無理をせず、今の自分の経済状態に合わせて暮らせばいいと思うようになって。だから私の生活、本当に質素なんですよ」

食事は菜食で、野菜や果物、玄米、豆類が中心。加工食品やアルコール、カフェインはとらず、外食もほとんどしない。この食生活は節約できるうえに体に優しく、病気もほぼよくなったそう。

「食だけでなく、贅沢品にかけるお金もゼロに。働いていた頃は人並みにそろえたい気持ちがあったけれど、今は誰かと比較してものを買うことはありません。気の進まないおつき合いも、贅沢するために働く生活も、したくないことは全部やめました。今は節約しながらとはいえ、自分が好きなことだけに時間とお金を使えます。これって幸せなことだと思いませんか?」

yamaさんが何より大切にしているのは「自分軸」。本当に好きなものを見極め、他のものをそぎ落としていったときに見えてくるものだ。それさえしっかりしていれば、他人の目を気にすることなくひとりの時間を楽しめて、無駄な出費もなくなるという。

自分軸をもつことは、家族や周囲の人からの「自立」とともに、毎日をきちんと暮らすための「自律」にもつながる。ひとり暮らしは自由気ままな分、ついだらしない生活になりがちだが、yamaさんの暮らしぶりはだらしなさとは無縁。きれいに整えられた室内からも、食生活などのライフスタイルからも、ブレない自分軸が生み出す「自律」の大切さが伝わってくる。

生き物との暮らしと動画配信が生きがいに

yamaさんの自律的な生活を支えているもののひとつが、3羽の文鳥たちだ。「今は完全に文鳥ファーストの生活です(笑)」の言葉どおり、yamaさんの生活リズムは文鳥たちによって刻まれている。朝は4時に起き、鳥たちが寝る午後8時には部屋を暗くする。気持ちよく放鳥できるよう、部屋は毎日掃除。長時間の外出や旅行はしない。

「どれも鳥たちのためですが、好きでやっていることだから苦になりません。それよりも鳥たちが与えてくれるもののほうが大きくて。何より、私を頼ってくれる存在、私がいないと困る存在がいるだけでも、しっかり生きなければ!という気持ちになれるんです」

もうひとつ、yamaさんの支えになっているのがYouTubeの配信だ。もともとは「病気やひとり暮らしの不安を吐き出すために」始めたというが、今では1週間かけて撮影・編集をするのが楽しみに。

「見てくださっている人たちとコメント欄で交流するのも楽しくて。お互い顔も本名も知らないオンライン上のおつき合いは、リアルな人間関係よりもゆるくて気軽で、私にとっては居心地がいいんです」

ほどよい距離感のコミュニティーだからこそ、素直に本音が出せて、たくさんの人たちと信頼関係を築ける。視聴者にとっては、yamaさんの動画には60代のひとり暮らしの知恵やヒントがいっぱい。今週も配信を心待ちにする女性たちに寄り添い、勇気を与えてくれるはずだ。

yamaさんの心地よくひとりで暮らす3カ条

①ものは最小限。でも大切な思い出はいつもそばに

住み替えに当たっては荷物を大整理。家具や衣類、生活用品などは大半を処分した。判断が難しかったのは子どもたちにまつわるもの。手紙やプレゼント、工作の作品などは、手に取ってみて「これを処分するのは絶対に無理!」と感じたものだけ残し、普段の生活の中で目に入る場所に飾っている。

②健康でいられることはひとり暮らしの一番の安心

「文鳥たちのためにも健康でいなきゃ!」とyamaさん。玄米食は子どもと暮らしている頃にスタート。今はまとめて5合炊き、180gずつに小分けして冷凍。朝は毎日、1杯の白湯を飲むのが日課だ。「植物性食品のみの食生活になると、味覚が敏感になって、加工食品をおいしいと感じなくなります」

③気分よく過ごすために部屋の掃除は毎日

床の掃除と家具のふき掃除は毎日のルーティン。「以前は週1回のペースで掃除していたのですが、その日が近づくのがゆううつになって。毎日掃除するほうがすっきりして気持ちがいいし、かえって気が楽なんです」。汚れがたまる前に掃除することで、洗剤を使うなどの手間を省けるのもメリット。

撮影/松木 潤(主婦の友社) 取材・文/後藤由里子

※この記事は「ゆうゆう」2024年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

※この記事は2025年11月20日に文章構成を変更しました。

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