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秋もまだまだサングラスが必要!?紫外線が目に与えるリスクとその対策を医者に聞く

  • 2025.11.19

サングラスといえば夏に使うもの、というイメージをもつ人も多いと思うが、日差しが落ち着いた秋にも、紫外線に油断は禁物だ。「夏よりも太陽の位置が低くなる秋は、斜めからの紫外線ダメージに注意が必要」と藤田医科大学特任教授の山本直樹先生は語る。

夏だけじゃない!?秋もサングラスが必要な理由とは…? (C)プラナ/PIXTA(ピクスタ)
夏だけじゃない!?秋もサングラスが必要な理由とは…? (C)プラナ/PIXTA(ピクスタ)

メガネブランド Zoffでは「めのため、未来のため」という理念を掲げ、紫外線対策や目の健康の大切さを伝えるためのプロジェクトを展開。

2025年4月に100%紫外線をカットできる、UV100%カットレンズを発売。6月にはSnow Manの目黒蓮さんがグローバルブランドアンバサダーに就任し、目黒さんが着用したサングラスが驚異的な売り上げを記録したことでも話題になった。

Zoffでは6月から目黒蓮さんがグローバルブランドアンバサダーを務めている
Zoffでは6月から目黒蓮さんがグローバルブランドアンバサダーを務めている

また、強い日差しや紫外線から若年層の目を守るための活動にも力を入れている。幼少期から紫外線対策を行うことの必要性を伝えるべく、全国各地の学校で「目の健康」を啓発する出張授業や、屋外で部活動を行う高校生にサングラスの提供を行うなど教育現場と連携した新たな取り組みも多数展開。2025年10月27日には東京都の女子聖学院中学校高等学校と提携し、国内で初めて学校生活での指定サングラスが着用可能になった。

女子聖学院中学校高等学校と連携し、中学校・高等学校生活で国内初の指定サングラス着用が正式導入された
女子聖学院中学校高等学校と連携し、中学校・高等学校生活で国内初の指定サングラス着用が正式導入された
女子聖学院中学校高等学校では、約1カ月間サングラスの試験着用を実施
女子聖学院中学校高等学校では、約1カ月間サングラスの試験着用を実施

今回は、そんなメガネブランドZoffのアドバイザーを務め、水晶体・白内障と再生医療の研究者でもある山本先生に、紫外線リスクとサングラスの選び方について教えてもらった。

紫外線の影響やサングラスの選び方について教えてくれた山本直樹教授
紫外線の影響やサングラスの選び方について教えてくれた山本直樹教授

秋の紫外線について専門医にインタビュー

――秋も紫外線ダメージに注意が必要とのことですが、夏の紫外線との違いについて教えてください。

【山本先生】まず、地表に降り注ぐ紫外線量は年々増しています。これは空気がきれいになったことが理由です。空気中の微粒子のことをエアロゾルといいますが、これがたくさん浮遊している状態だと、太陽から照射された紫外線がエアロゾルに反射して地表に届きにくくなると考えられています。エアロゾルが少なくなってきているために、かつてに比べて秋の紫外線量自体が増えています。また、紫外線は地表に届くまでにオゾン層によって吸収されますが、オゾンの量は春にピークを迎えて徐々に減っていくため、秋は紫外線が地表に届きやすい季節といえます。

つくばにおける日最大UVインデックスが8以上の年積算日数の経年変化(気象庁ホームページより)
つくばにおける日最大UVインデックスが8以上の年積算日数の経年変化(気象庁ホームページより)

夏の紫外線との違いでいうと、太陽高度が高く上から紫外線が降り注ぐ夏と違い、秋は太陽高度が低くなり斜めから紫外線が当たります。ここで注意するべきなのは、サングラスの内側に当たった紫外線が反射し、目に入ってしまうことです。さらに、太陽との距離が近いほど紫外線量は多くなり、高度が1000メートル上がると紫外線量はおよそ1割程度増加すると言われています。もちろん、夏同様にアスファルトや地面からの反射にも気をつける必要があります。夏よりも過ごしやすい気温になり、外出や山登りなどの行楽が増えるという点でも、紫外線対策をしっかり行いたい季節といえます。

季節による太陽高度の変化
季節による太陽高度の変化

――では、紫外線を浴びることによって、目はどんなダメージを受けるのでしょうか。

太陽光に含まれる紫外線(UV)は、UV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分類されます。UV-Cはオゾン層で吸収されますが、シミ・ソバカスの原因となるUV-Bは5%未満、肌の奥深くまで届いて光老化を促進するUV-Aは90%が地表まで到達します。

これらUVは、角膜炎や白内障、白内障の前段階である老眼の発症を早める原因となります。また、目の痛みや異物感などの症状を生じる瞼裂斑(けんれつはん)や、結膜が目頭側から三角形状に伸びて黒目を覆う翼状片(よくじょうへん)、視界に異常が起こり、視力低下につながる加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の一因とも言われています。

水晶体はダメージを受けた細胞が内側に押し込まれるようにして新しい細胞が作られていきます。つまり、水晶体のダメージは回復することがなく、どんどん蓄積されていってしまうのです。

――すでに目へのダメージが蓄積している大人はもちろん、将来的な目の不調を軽減するために幼少期から紫外線に注意する必要があるということですね。

世界保健機関(WHO)によると、人間は生涯で浴びる紫外線の半分ほどを18歳ごろまでに浴びていると言われています。また、一般的に大人よりも背が低く地表と目の距離が近い子どもは、大人よりも地表に反射した紫外線の影響を受けやすいといえるでしょう。

一方で、紫外線は「完全に悪」ということではありません。カルシウムを吸収するのに必要な栄養素のビタミンDは、紫外線を浴びることによって生成されるため、適切に紫外線を浴びることは必要です。子どものうちは、ある程度紫外線を浴びた方が良い、ということは言われているので、サングラスなど紫外線対策をして日光の下での屋外活動を2時間程度行うのがいいでしょう。

目黒蓮着用モデルのサングラス「ZA181G06-14E4_01」
目黒蓮着用モデルのサングラス「ZA181G06-14E4_01」

――紫外線ダメージが蓄積することで角膜炎や白内障、老眼を早める原因になるということはわかりましたが、まさにダメージを受けているときにはどのような症状が出るのでしょうか?

充血や目の痛み、ゴロゴロするなどの異物感を覚えることがあります。特に雪山や海など紫外線のダメージを受けやすい環境に長くいると、紫外線角膜炎という急性の角膜の炎症が起こることもあります。

——UVカット率が高いほうがいいということは大前提かと思いますが、これまでのお話を踏まえて、サングラス選びのポイントを教えてください。

レンズカラーが濃いタイプは、光が目に届きにくくなることで瞳孔が広がり、結果として紫外線が目に入りやすくなってしまうため、薄い色のレンズを選ぶとよいでしょう。また、秋は斜めに光が差し込み、サングラスの内側に紫外線が反射するというお話をしましたが、上方や側面(特に耳側)からの紫外線ダメージを防ぐには、顔のカーブにフィットしているフレームを選ぶことも重要です。さらに、内側にもUV吸収加工がされているサングラスを選ぶことがポイントになります。

Zoffのサングラス「ZA251G55-49A1_01」
Zoffのサングラス「ZA251G55-49A1_01」

また、UVカットレンズには、表面に加工をしているタイプとレンズに紫外線吸収剤を練り込んだタイプがあります。表面に加工をしているものは傷がつくと効果が落ちるので、取り扱いや柔らかい布で拭くなどレンズのケアに気をつける必要があります。紫外線吸収剤が練り込まれたレンズも、経年劣化は避けられません。3年から5年程度で買い換えるのが安心といえるでしょう。

年々増加しているという降り注ぐ紫外線。現在は、夏だけではなく秋、そして1年を通して対策が必要なようだ。目の未来のため手軽にできることの1つとして、サングラスを生活に取り入れてみるのもいいかもしれない。

取材・文=大谷和美

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