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「モラハラする父親がいた家庭」で育った人の特徴とは。大人になってどんな影響が出やすい?

  • 2025.11.18

「父親が怖かった」「家ではいつも緊張していた」──そんな子ども時代を過ごした人の中には、大人になっても人間関係に生きづらさを感じている人が少なくありません。

たとえば、他人の顔色ばかりうかがってしまう、自分の意見を言うのが怖い、親しい人との距離感がわからない……。それはもしかすると、モラハラ父親のもとで育った影響かもしれません。

親からの精神的な支配や否定が日常的にあった家庭、いわゆるモラハラ家庭や機能不全家族では、子どもの心の発達や自己肯定感に大きな影響が及ぶことがあります。

そうした環境で育った人には、どんな特徴や心理パターンが見られるのでしょうか。一般社団法人マミリア代表理事・臨床心理士、公認心理師の鎌田怜那さん監修のもと、お届けします。

モラハラ父親とはどんなタイプ?

「モラハラ父親」とは、言葉や態度で家族をコントロールし、精神的に傷つける言動を繰り返すタイプの父親のことです。

暴力(DV)のような身体的な攻撃ではなく、見えにくい“心への暴力”が特徴です。たとえば以下のような言動が多く見られます。

完璧主義で支配的

自分の考えを正しいと信じ、家族にも従わせようとします。「失敗=悪」と捉える傾向があり、些細なことでも厳しく責めがちです。

外では優しい、家では威圧的

外では評判が良いのに、家の中では不機嫌で怖い態度をとるタイプ。家族は相談もしづらく、孤立しやすくなります。

否定や無視でコントロール

「どうせお前には無理」などの否定や、無視・ため息といった態度で家族の自尊心を削ります。

感情の起伏が激しい

機嫌が不安定で、何に怒るかわからないタイプ。家族は常に顔色をうかがい、緊張状態で過ごすようになります。

過干渉で“善意”の押しつけをする

「子どものためを思って」と言いながら、進路・交友関係・考え方などすべてに干渉してくるタイプ。一見愛情深く見えても、本人の意思を無視した支配です。

母親から過干渉されて育った人は、大人になってどんな影響が出やすい?

モラハラ家庭で育った人に見られやすい7つの特徴

モラハラを行う父親は、暴力こそないものの、言葉や態度で家族の心をじわじわと追い込む存在。

家庭の中で「否定・威圧・無視・過干渉」などが繰り返されていた場合は、その影響が大人になった今も心に残っている可能性があります。

自己肯定感が低い

小さな頃から否定されたり、価値を下げられる発言を受けていたため、「自分には価値がない」「認められないのが当たり前」と感じやすい

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他人の顔色を過剰にうかがう

家庭内で「地雷を踏まないように」生きてきたため、空気を読む能力は高いが、自分の意見を抑え込みがち

怒りや不安などの感情をうまく出せない

感情を出すと責められる、無視された経験から、怒りや悲しみを内側に溜め込むクセがついている。一方で突然爆発してしまうことも

人間関係で「支配と従属」のパターンになりやすい

親からのコントロールに慣れていると、大人になっても自分が支配される側になる、または相手を無意識にコントロールする関係に陥りやすい

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「自分さえ我慢すれば」と思いやすい

家庭内で父親の機嫌を最優先していた名残で、パートナーや友人関係でも自分の気持ちを後回しにしやすい

人を信じることが怖い/苦手

モラハラ的な言動がある家庭では、「信じた相手に傷つけられる」経験が繰り返されるため、大人になっても、深い関係になることにブレーキがかかる

「自分が悪い」とすぐに思ってしまう

何か問題が起きたときに、反射的に「私が悪いのかも」と考えるクセがある。罪悪感を抱えやすく、責任を過剰に引き受ける

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次:なぜこうした特徴が出てくる? 大人になってから現れる“心の後遺症”

なぜこうした特徴が出てくる? 大人になってから現れる“心の後遺症”

では、なぜこうした特徴が現れるのでしょうか。それは、子ども時代に「安心・尊重・自由」を感じられなかったことが深く関係しています。

自己主張をするとイヤな目に遭ってきたから

モラハラ家庭では、親の意見や感情が常に優先され、子どもは「自分の気持ちは間違っている」「口答えは悪」と学ばされます。

「反論すると怒られる」
「感情を出すと嫌われる」
「我慢していれば平和に過ごせる」

こうした経験が繰り返されることで、自己主張や感情表現を抑えるクセが無意識に染みついていきます。

安心・尊重・無条件の愛を経験できなかったから

子どもが健やかに育つためには、「どんな自分でも受け入れてもらえる」「失敗しても愛されている」という感覚が必要です。

しかし、モラハラ父親のもとでは、「成績や成果でしか認められない」「失敗や弱さをバカにされる」「無視・威圧・皮肉などで心が傷つけられる」といった体験が日常的に起こります。

その結果、「ありのままの自分では価値がない」と思い込んでしまうようになります。

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“緊張した環境”が当たり前になっているから

モラハラ家庭では、家の中が常にピリピリしていて、父親の機嫌で空気が変わる、いつ怒鳴られるかわからないといった状態が続きます。

その中で生き延びるために、子どもは表情や空気を読んだり、自分の気持ちを殺したりといった“過剰な適応”を身につけます。

それが大人になっても続き、人間関係の中で自然に振る舞えなかったり、常に気を張って疲れたりしてしまうのです。

「自分を責めれば安全だった」過去のパターンが残っているから

子どもにとって、親との関係は生きる上で絶対的です。だからこそ、「親が理不尽だった」と考えるより、「自分が悪いんだ」と思った方が安心できた、という面もあります。

その思考パターンが残っていると、失敗すると「自分のせい」、トラブルが起きると「私が悪かったかも」と、自責のクセが染みついてしまいます。

次:「親が嫌い」はいけないこと? 親への罪悪感を手放す考え方

「親が嫌い」はいけないこと? 親への罪悪感を手放す考え方

こうした環境で育った人の中には、モラハラをしてきた親が苦手、どうしても受け入れられないという人も多いでしょう。そして、そのことに罪悪感を抱く人もいます。

親を嫌うことについて、一般社団法人マミリア代表理事・臨床心理士、公認心理師の鎌田怜那さんは次のように語ります。

鎌田さん:

長い年月かけて作られてきた関係性を変えることはとても難しいものです。しかし「怖い」と思っていた父親は“今現在の父親”ではありません。

父親はあなたが幼少の頃より老いているでしょうが、あなたも大人になりました。大人の自分と心に棲む幼少の自分、どちらも大事なあなたです。

「親が嫌い」と思っているのは今現在(大人)の自分で、大人の視点で冷静に父親を見た時の感情なのでしょう。しかし、そのことに“罪悪感”が伴うのなら、幼少の自分の“恐れ”が紐づけられ、罪悪感を引き起こしていると考えられます。

親に対して不快感(攻撃性)を抱くと「怒られる・罰せられる」という心の癖が作動して、親を責めるより自分を責めるメカニズムが働いています。

まずは、あなたがあなたを大事にすることから始めましょう。罪悪感がうずきだしたら「それだけ怖い思いをしてきたんだね」「よく頑張った」「よく耐えた」と自分に声をかけてみてください。

自分を大事にしてくれなかった相手を嫌うのは当然の感情です。何も悪いことではありません。ただただ、認めてあげてください。

罪悪感の奥底には「大事にして欲しかった」「認めて欲しかった」「可愛がって欲しかった」という満たされなかった欲求や願いが存在しているはずです。それをまずはあなたが満たしてください。

多くの場合、無意識にいろんな人間関係の中で満たそうとして、トラブルにつながることがあります。たとえば強い承認欲求などです。自分の中にある怒りや憎しみを認め、受け入れることで次のステージに進みやすくなります。

怒りや憎しみに蓋をし続けることはおすすめしません。ただ、1人で向き合うのは辛い時間になるでしょう。きょうだいや親友、カウンセラーなどに話してみてください。

辛い時、「悩みを相談できる人」がいない。誰かに話を聞いてほしい…どう切り抜ける?

親に対する怒りや憎しみを認めないと、本当の感謝は生まれません。

本来なら、こども時代にとことん親を困らせたり反抗したりして、親への感謝が芽生えるものです。威圧的な父親に抑え込まれてきた人は、恐れの変化形として偽りの尊敬や感謝を抱いているものです。

親を本当の意味で尊敬・感謝できないと、他者のこともどこか上辺の感情・付き合いになりがちです。

あなたがあなたの人生を進むためには、過去の整理が必要です。それができると、仕事も人間関係も、より深みのあるものになりますよ。

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最後に……親と一緒にいたくない・親を許したくないという気持ちがあってもOKです。無理に和解・親孝行する必要はありません。

あなたの心がそうしたくなければしなくていい。あなたがあなたを大事にして、あなたが大事にしたい人を大事にしてください。

監修者プロフィール

鎌田怜那(かまだ・れいな)

一般社団法人マミリア代表理事。臨床心理士、公認心理師。
【所属学会・協会】
・日本臨床心理士会
・日本公認心理師協会
・日本心理臨床学会
・日本アタッチメント育児協会
公式サイト https://mamilia.jp/

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<Edit:MELOS編集部>

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