1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 「彼氏いるの?」とセクハラをしてくる上司。逃げ場のないオフィスで、私を救った物音の正体【短編小説】

「彼氏いるの?」とセクハラをしてくる上司。逃げ場のないオフィスで、私を救った物音の正体【短編小説】

  • 2025.11.18
「彼氏いるの?」とセクハラをしてくる上司。逃げ場のないオフィスで、私を救った物音の正体【短編小説】

距離感の近い上司

時計はとっくに21時を回っていました。
広くて静かなオフィスに残っているのは、私と男性の上司の二人だけ。
急ぎの資料作成を「今日中に」と命じられ、私は必死にキーボードを叩いていました。

カツ、カツ、と上司がこちらに歩いてくる足音が聞こえました。

「お疲れ。まだかかりそう?」

上司は私のデスクのすぐ横に立つと、覗き込むようにパソコンの画面を見ました。
その距離の近さに、私は思わず体を引いてしまいます。

「あ、はい。あと少しです」

「ふーん。頑張るね」

そう言った上司は、デスクに手をつき、さらに顔を近づけてきました。
そして、急に声をひそめて言ったのです。

「ねぇ、彼氏いるの?」

心臓がドクン、と鳴りました。

(え…? なんで今、そんなことを?)

仕事とは全く関係のない質問に、どう答えていいかわかりません。

「え、あ、それは…プライベートなことなので…」

「いいじゃん、別に。いないならさ、今度ご飯でもどう? 俺、いい店知ってるんだけど」

そう言いながら、上司の手が私の肩に伸びてきました。

「やめてください!」

私は咄嗟にその手を振り払い、椅子を引いて立ち上がりました。

「すみません、仕事中なので!」

「なんだよ、ノリ悪いな。ちょっと聞いたぐらいいいだろ」

上司が不機嫌そうに口を尖らせた、その時です。

ガタン。

オフィスの隅、給湯室の方から、何かが落ちたような小さな音がしました。

「……誰かいるのか?」

上司がそちらを睨みましたが、電気の消えた暗がりに人影は見えません。

「……まあいいや。その話、また今度ね」

上司はニヤリと笑うと、自分の席に戻っていきました。
私は恐怖と嫌悪感で手が震え、もう仕事どころではありませんでした。

物音の真相

翌朝。重い足取りで出社すると、フロアの様子がいつもと違いました。
例の上司が、朝一番で部長室に呼び出されていたのです。

(まさか、昨日のこと…?)

不安な気持ちでいると、今度は私が部長に呼ばれました。
恐る恐るドアを開けると、そこには部長と、そして……いつもは物静かな、別の部署の女性の先輩が座っていました。

「昨日、大変だったみたいだね」

部長の言葉に驚いていると、先輩が口を開きました。

「私、昨日、忘れ物を取りに戻って…。給湯室にいたの。全部、聞いてました」

彼女は、私が上司に肩を触られそうになったところも、はっきり見ていたと言います。

「許せなくて。すぐに部長に報告しました」

上司は、私への不適切な言動が認められ、厳重注意の上、他部署へ異動となりました。
もし、あの時、先輩が声を上げてくれなかったら。
もし、彼女が「関係ない」と見て見ぬふりをしていたら。
私は今もあの上司の元で、怯えながら働いていたかもしれません。

あの夜の「ガタン」という音は、私を救ってくれた、勇気あるサインだったのでした。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

******************

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

元記事で読む
の記事をもっとみる