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【要注意】成人の5~6人に1人が糖尿病かその予備群!「ヘモグロビンA1c」の数値でわかることとは?

  • 2025.11.18

【要注意】成人の5~6人に1人が糖尿病かその予備群!「ヘモグロビンA1c」の数値でわかることとは?

日本人の成人の5~6人に1人が糖尿病かその予備群と言われるほど、糖尿病は身近な病気。進行すると合併症や、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも高まります。その目安となる「ヘモグロビンA1c(エーワンシー)」を意識した血糖値対策で、健康を保ちましょう。

お話を伺ったのは
伊藤 裕さん
慶應義塾大学名誉教授・慶應義塾大学予防医療センター特任教授

いとう・ひろし●京都市生まれ。
京都大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。
ハーバード大学およびスタンフォード大学医学部博士研究員、京都大学大学院医学研究科助教授、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授を経て現職。
専門は内分泌学、高血圧、糖尿病、抗加齢医学。

ヘモグロビンA1cって

空腹時血糖値とともに糖尿病の指針となるのがヘモグロビンA1c。過去1~2カ月の中期的な血糖の状態を教えてくれる重要な指標です。ヘモグロビンA1cの値を知って、健康なうちから対策を始めましょう。

全身に悪影響を及ぼす高血糖。予防が肝心

米や小麦粉、いも類、果物、砂糖といった炭水化物に多く含まれる糖質は、生きるためのエネルギーとなる大事な栄養素の一つ。炭水化物を食べると、主に小腸で糖質がブドウ糖に分解されて体内に吸収され、血液によって全身に運ばれる。この血液の中のブドウ糖の濃度が「血糖値」だ。

「健康な人では、血糖値はほぼ一定に調整されています。食事をすると血糖値が上がりますが、膵臓から分泌されるインスリンの働きでブドウ糖が肝臓や筋肉、脂肪に取り込まれて消費されて、血糖値は下がります。ところが生活習慣の乱れや肥満などさまざまな原因でインスリンの分泌が減少したり、働きが悪くなったりすると、ブドウ糖が筋肉や脂肪、肝臓へ取り込まれず、血液中にあふれて血糖値が高いままになってしまうのです」と伊藤裕さん。

この高血糖の続く状態が「糖尿病」。糖尿病は進行するにつれて神経症や腎症、網膜症といった合併症が起こり、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気のリスクも高まる。また、初期は痛みなどの自覚症状がなく、気づかないうちに進んでいくことが多いため、健康なうちから血糖値の状態を知り、予防することが大事だ。

「健康診断や人間ドックなどで、血液検査の空腹時血糖値が基準範囲内だったからといって、安心はできません。血糖値の状態を知るうえで、注目していただきたいのがヘモグロビンA1c(HbA1c)の数値です」

ヘモグロビンA1c は、血糖値を見る最重要指標

HbA1cは空腹時血糖値とともに、糖尿病の診断に使われる指標。その値が6.5%以上だと糖尿病が強く疑われる。

「HbA1cは血液の赤血球の色素(ヘモグロビン)とブドウ糖が結合したもので、過去1~2カ月間の平均的な血糖の状態がわかります。直近の食事に左右されず、継続した血糖の値が示されるのです。異常とされる6・5%は診断のための数値であり、病気というものは連続的に変化するので、6.5%未満であれば問題なし、というわけではありません。まずは自分のHbA1cがどのくらいか、知ることが大切です。

伊藤さんは「HbA1cの数値が5.6~6.4%の人は要注意ゾーン」と警鐘を鳴らす。

「この数値は、すでに血糖値スパイク(食後の急激な血糖値の上昇)などにより血管障害が起きている可能性があることを意味します。高血糖を放置すると血管が傷み、動脈硬化が促進され、脳梗塞や心筋梗塞の原因に。また血管内にあふれた糖の影響は全身に及びます。筋肉と脂肪はインスリンの働きによって糖を取り込みますが、心臓や腎臓、脳などはインスリンを必要とせず、糖がそのまま入り込んでしまうのです。高血糖が続くと、糖毒性によって発生する活性酸素により細胞が破壊され、臓器の細かい血管も傷みます。その結果、心不全や腎症などを引き起こします。脳の神経細胞も影響を受けるので、糖尿病患者は認知症にもなりやすいのです」

HbA1cの値が要注意ゾーンの場合は、今から食生活や運動など、日常生活でその値を下げる対策を始めよう。

「特に食生活は大事です。対策を続けて半年後に、またHbA1cを測り、数値が下がっていればそのまま基準範囲を目指します。上がっていれば原因を探して、早めに対処しましょう」

【後編に続く】

取材・文/田﨑佳子

※この記事は「ゆうゆう」2025年12月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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