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消化に良い食べ物10選。胃にやさしい食事メニューはコレ

  • 2025.11.18

「最近、胃がもたれやすくなった」「食後に胃が重い感じがする」――そんな胃腸の不調を感じることが増えていませんか?

若い頃は平気だった揚げ物や夜遅い食事も、年齢とともに消化機能が変化し、体への負担として感じやすくなります。仕事のストレスや不規則な生活も、胃腸にダメージを与える要因です。

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長の安江千尋先生監修のもと、胃に優しく消化に良い食べ物を具体的にご紹介します。明日からすぐに取り入れられる食材選びのコツや、調理のポイント、実際の食事メニュー例までまとめました。

消化に良い食べ物10選【定番食材から身近な食材まで】

まずは、消化に良い食べ物の代表的なものを10種類ご紹介します。どれもスーパーで手に入る身近な食材ばかりです。

おかゆ・雑炊

消化に良い食べ物の王様といえば、おかゆです。お米を水分たっぷりで炊くことで、でんぷんが糊化して消化しやすくなります。噛む回数が少なくても胃への負担が少なく、体も温まります。

梅干しや卵を加えれば、栄養価もアップ。胃腸が弱っているときの最初の食事に最適です。

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うどん

柔らかく煮たうどんは、消化が早く胃腸に負担をかけません。そばよりもうどんの方が消化しやすいとされています。温かいかけうどんや煮込みうどんがおすすめ。

ただし、コシのあるうどんや冷たいうどんは、消化に時間がかかるので胃腸が弱っているときは避けましょう。

豆腐

良質なたんぱく質を含みながら、柔らかくて消化しやすい豆腐。絹ごし豆腐は特に滑らかで胃に優しいです。湯豆腐や味噌汁の具、卵とじなど、温かい調理法で食べると効果的。

冷奴も悪くありませんが、冷たいものは胃腸が弱っているときは控えめに。

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白身魚(タイ・タラ・カレイなど)

脂肪分が少なく、たんぱく質が豊富な白身魚は消化に良い食材です。赤身魚や青魚に比べて脂が少ないため、胃への負担が軽減されます。

蒸し魚や煮魚、ムニエル(バターは控えめ)など、シンプルな調理法がベスト。刺身も良いですが、わさびなどの刺激物は控えましょう。

卵(半熟が理想)

卵は「完全栄養食品」と呼ばれるほど栄養豊富で、しかも消化しやすい食材です。とくに半熟状態がもっとも消化に良いとされています。温泉卵、茶碗蒸し、卵とじ、卵がゆなどがおすすめ。

完全に固ゆでにしたり、油で揚げたりすると消化に時間がかかるので注意が必要です。

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バナナ

果物の中でも特に消化が良く、エネルギー補給にも適しているバナナ。食物繊維のペクチンが腸内環境を整える働きもあります。

そのまま食べても良いですし、潰してヨーグルトに混ぜたり、温めて焼きバナナにするのもおすすめ。熟したものほど消化しやすくなります。

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りんご(すりおろし)

「りんごは医者いらず」という言葉があるように、りんごは胃腸の調子を整える食材です。特にすりおろしりんごは、消化吸収が良く、下痢のときにも有効。

加熱したリンゴは、より消化しやすくなり、腸の働きを助けるペクチンが増えます。皮は消化に負担がかかるので、剥いて食べましょう。

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じゃがいも

じゃがいもに含まれるでんぷんは消化されやすく、ビタミンCも豊富です。マッシュポテトや粉ふきいも、ポタージュスープなど、柔らかく調理したものが理想的。

揚げたポテトフライやポテトチップスは消化に悪いので、胃腸が弱っているときは避けてください。

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大根(煮たもの・おろし)

大根に含まれる消化酵素(ジアスターゼ)は、でんぷんの分解を助け、消化を促進します。煮物にすれば柔らかく食べやすく、大根おろしは生の酵素が働きます。

ただし、大根おろしの辛み成分は胃を刺激することもあるので、胃が痛いときは煮た大根の方が安心です。

ヨーグルト(無糖・プレーン)

乳酸菌が腸内環境を整え、消化を助けるヨーグルト。ただし、糖分の多いものや冷たいまま大量に食べると胃腸に負担がかかります。無糖のプレーンヨーグルトを少量、常温に戻してから食べるのがおすすめ。

バナナやすりおろしりんごと組み合わせると、さらに効果的です。

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次:消化を助けるための4つの重要なポイント

消化を助ける4つのポイント〜温度・量・タイミング・調理法〜

消化に良い食材を選んでも、食べ方次第で効果は変わります。ここでは、消化を助けるための4つの重要なポイントを解説します。

【温度】体温に近い温かさがベスト

冷たすぎる食べ物や飲み物は、胃腸を刺激し、消化機能を低下させます。とくに胃腸が弱っているときは、体温に近い温度(37〜40度程度)のものが理想的です。

冷蔵庫から出したばかりのヨーグルトや果物は、少し常温に戻してから食べましょう。

飲み物も、冷水ではなく常温の水や白湯がおすすめ。温かい食事は胃腸の血行を良くし、消化酵素の働きも活発になります。

ただし、熱すぎるのも胃粘膜を傷つける原因になるので、「ほっこり温かい」程度がちょうど良い温度です。

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【量】腹八分目を心がける

「もう少し食べられるな」というところでストップするのが腹八分目。これが消化にとってもっとも負担の少ない食事量です。

満腹になるまで食べると、胃は大量の食べ物を処理するために過剰に働かなければならず、疲弊してしまいます。とくに30代、40代になると消化機能が若い頃より低下しているため、食べ過ぎの影響がより顕著に現れます。

一度にたくさん食べるよりも、少量を数回に分けて食べる方が胃腸への負担は軽くなります。仕事の都合で難しいかもしれませんが、可能であれば1日4〜5回の分食も検討してみてください。

【タイミング】規則正しく、就寝3時間前には終える

不規則な食事時間は、胃腸のリズムを乱し、消化機能を低下させます。できるだけ毎日同じ時間帯に食事を取ることで、体が食事のリズムを覚え、消化液の分泌もスムーズになります。

特に重要なのが夕食の時間。就寝直前に食べると、寝ている間も胃が働き続けることになり、十分な休息が取れません。理想は就寝の3時間前までに夕食を終えること。どうしても遅くなる場合は、消化の良いものを少量にとどめましょう。

また、朝食を抜くと胃腸のリズムが乱れ、昼食や夕食での食べ過ぎにもつながります。軽いものでも良いので、朝食を取る習慣をつけることが大切です。

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【調理法】蒸す・煮る・茹でるが基本

同じ食材でも、調理法によって消化のしやすさは大きく変わります。消化に良い調理法の基本は「蒸す・煮る・茹でる」。これらの方法は、食材を柔らかくし、余分な脂を使わないため、胃腸への負担が少なくなります。

反対に、揚げる・炒めるといった油を多く使う調理法は、消化に時間がかかります。焼く場合も、焦げた部分は胃を刺激するので、控えめに。

また、食材は細かく切る、すりおろす、ミキサーにかけるなど、物理的に小さくすることでも消化しやすくなります。よく噛むことも大切ですが、調理の段階で柔らかく、小さくしておけば、より消化の負担が減ります。

味付けは、塩分控えめで薄味が基本。濃い味付けは胃を刺激し、胃液の分泌バランスを崩すことがあります。だしの旨味を活かした、やさしい味わいを心がけましょう。

次:胃腸の調子が悪い日の食事メニュー

胃腸の調子が悪い日の食事メニュー

具体的にどんなメニューを選べばいいのか、1日の食事例をご紹介します。自炊でも外食でも参考にしてください。

【朝食】胃を目覚めさせる軽めのメニュー

●卵がゆ + 梅干し + 白湯

シンプルですが、胃腸が弱っているときの理想的な朝食。おかゆは消化しやすく、卵でたんぱく質も補給。梅干しの酸味が食欲を刺激し、唾液の分泌を促します。

ただし、梅干しは胃酸分泌を刺激する可能性があるため、胃痛・逆流症がある場合は控えた方がよいでしょう。

●バナナ + プレーンヨーグルト(常温) + 白湯

忙しい朝や食欲がないときに。バナナとヨーグルトの組み合わせは栄養価も高く、消化にも優しい組み合わせです。

●外食なら温かいうどん(具なしか卵入り)

コンビニでも手に入る温かいうどんは、朝食にも便利。具はシンプルに、七味などの刺激物は避けましょう。

【昼食】午後のエネルギーを補給

●煮込みうどん + 白身魚の煮付け + 大根の煮物

定食スタイルで、バランス良く栄養を取れます。うどんは柔らかく煮込んだもの、魚も煮魚なら消化に優しいです。

●雑炊 + 豆腐の味噌汁 + すりおろしりんご

体調が特に悪いときは、昼食も軽めに。雑炊なら米と野菜を一度に取れて、消化も楽です。

●外食なら和食レストランの定食(焼き魚や煮物中心)

外食の場合は和食がベター。唐揚げや天ぷらなどの揚げ物は避け、煮物や蒸し物を選びましょう。丼ものより定食の方が、ゆっくり食べられて消化にも良いです。

【夕食】消化に時間をかけない軽めの内容

●湯豆腐 + 白身魚の蒸し物 + じゃがいものポタージュ

夕食はできるだけ軽めに。温かく、柔らかいメニューを中心に。ポタージュスープは満足感もありながら消化に良いのでおすすめです。

●茶碗蒸し + おかゆ + 煮りんご

食欲がないときや胃の調子がとくに悪いときは、こんな軽い夕食も。茶碗蒸しは卵と出汁の優しい味わいで、栄養もしっかり取れます。

●外食ならお粥専門店や和食の定食

最近は都市部にお粥専門店も増えています。和食レストランでも「ヘルシーメニュー」として蒸し料理や煮物中心の定食があることも。

油を使った料理は避け、シンプルな調理法のものを選びましょう。

【間食・補食】小腹が空いたときに

胃腸が弱っているときは、一度に大量に食べるより、少量を複数回に分ける方が負担が少なくなります。間食には以下のようなものがおすすめです。

  • すりおろしりんご
  • 温めたバナナ
  • プレーンヨーグルト(常温)
  • 蒸しパン(シンプルなもの)
  • ゼリー(柑橘系でないもの)

次:疲れているときに避けたい食べ物と注意点

避けたい食べ物と注意点、胃腸回復までの目安

消化に良い食べ物を知ることも大切ですが、避けるべき食べ物を知ることも同じくらい重要です。

避けたい食べ物リスト

  • 脂っこいもの

揚げ物、天ぷら、フライドポテト、とんかつ、唐揚げ、脂身の多い肉など。脂質は消化に時間がかかり、胃に長時間留まります。

  • 刺激の強いもの

辛い食べ物(唐辛子、わさび、からし)、酸味の強いもの(柑橘類、酢の物)、カフェイン(コーヒー、濃い緑茶)、炭酸飲料。これらは胃粘膜を刺激します。

  • 食物繊維が多すぎるもの

ごぼう、れんこん、たけのこ、きのこ類、海藻類、玄米、全粒粉パン。食物繊維は通常は体に良いものですが、胃腸が弱っているときは負担になります。

  • 硬いもの・消化しにくいもの

ナッツ類、固いせんべい、イカ、タコ、貝類、こんにゃく。これらは消化に時間がかかるため、胃腸が弱っているときは避けましょう。

  • 冷たすぎるもの

アイスクリーム、かき氷、冷たい飲み物の大量摂取。胃腸を冷やし、機能を低下させます。

  • アルコール

ビール、日本酒、ワインなどすべてのアルコール飲料。胃粘膜を刺激し、消化機能を低下させます。胃腸の調子が悪いときは完全に断ちましょう。

疲れたときに「からあげ」が食べたくなる理由とは

胃腸が気になるとき注意すべきポイント

  • 早食いは厳禁

どんなに消化に良い食べ物でも、よく噛まずに飲み込んでは意味がありません。一口30回を目安に、ゆっくりと噛んで食べましょう。唾液がしっかり混ざることで、消化はさらにスムーズになります。

  • ストレスケアも忘れずに

胃腸の不調は、食べ物だけが原因ではありません。ストレスは胃酸の分泌を乱し、胃の血流を悪化させます。食事内容を見直すと同時に、十分な睡眠、適度な運動、リラックスタイムの確保も心がけましょう。

  • 水分補給は常温で

脱水は消化機能を低下させます。こまめに水分を取りましょう。ただし、食事中の大量の水分摂取は胃液を薄めてしまうので、食事の30分前後は控えめに。常温の水や白湯がベストです。

どれくらいで胃腸の不調はよくなる? 回復までの目安

胃腸の不調からの回復期間は、原因や症状の重さによって異なりますが、一般的な目安をご紹介します。

軽い胃もたれ・胃の不快感:2〜3日

暴飲暴食後や疲労による一時的な不調なら、消化の良い食事を2〜3日続けることで、かなり改善します。この期間は特に脂っこいものとアルコールを避けましょう。

胃痛・食欲不振:1週間程度

痛みを伴う場合や食欲が落ちている場合は、回復に1週間程度かかることもあります。無理に食べず、食べられるものを少量ずつ。症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。

慢性的な胃腸の不調:2週間〜1ヶ月

長期間にわたる不調の場合、食生活の見直しだけでなく、生活習慣全体の改善が必要です。2週間〜1ヶ月かけて、徐々に胃腸の調子を整えていきましょう。改善が見られない場合は、必ず医師の診察を受けてください。

症状が改善してきたら、いきなり普通の食事に戻すのではなく、徐々に食材や調理法の幅を広げていきましょう。

最初は消化の良いものだけ、次に軽く油を使った料理、そして普通食へと、段階を踏むことが再発防止につながります。

症状が続くようなら必ず医師に相談を

胃腸の健康は、毎日の食事の積み重ねで作られます。今日から少しずつ、消化に良い食べ物を意識的に取り入れてみてください。

ただし、激しい痛みが続く、血便が出る、体重が急激に減るなどの症状がある場合は、すぐに消化器内科を受診してください。

また、市販の胃腸薬を使用する場合も、長期間の服用は避け、症状が続くようなら必ず医師に相談しましょう。症状が長引く場合や再発を繰り返す場合は、胃炎・ピロリ菌感染などの可能性もありますので注意が必要です。

あなたの胃腸が元気になり、快適な毎日を送れることを願っています。

監修者プロフィール

安江千尋

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長。
防衛医科大学校卒業後、同大学病院、自衛隊病院を経て、がん研有明病院にて下部消化管内科副医長として勤務。2024年、大阪・天王寺に消化器内視鏡専門クリニックを開院。大腸がんの予防・早期発見に取り組む一方、便秘・過敏性腸症候群など、自律神経の影響を受けやすい機能性疾患にも多く関わる。生活習慣や食事、ストレスとの関連を踏まえた総合的な診療を心がけている。

<Text:外薗拓 Edit:編集部>

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