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【ダイエット薬】「マンジャロ」「リベルサス」etc.期待できる効果と注意点を医師が解説

  • 2025.11.16
教えてくれたのは……
廣川健信先生

つくばケンクリニック院長。内科専門医。総合診療や内科クリニックでの勤務経験を活かし、ダイエット専門のオンラインクリニックを開業。YouTubeチャンネル「ダイエット専門内科医Dr.ケンシン」も話題。つくばケンクリニック:https://tsukuken.clinic 公式LINE:https://lstep.app/kjr8T1Q

SNSで話題になっている「ダイエット薬」。その種類と痩せる理由を解説

マンジャロ

健信先生

マンジャロは、2023年に認可されたばかりの、2型糖尿病の治療にも使われている注射薬です。高度肥満の方に対して、肥満治療薬(商品名:ゼップバウンド)として保険適用が承認されています。
週に1回、ご自身でお腹に皮下注射して投与します。GLP-1とGIP(どちらもインスリン分泌を促すインクレチンというホルモン)に作用する受容体作動薬で、脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑え、胃の運動を緩やかにして空腹を感じにくくする効果があり、その結果、自然に食べる量が減って痩せる、という仕組みです。
またGLP-1とGIPの2つに同時にアプローチするため、これまでの治療薬よりも効き目が早く、効果が高いのも特徴です。
胃腸の働きを抑制するので、薬を使い始めた頃はとくに、下痢や便秘、吐き気、あるいは食欲不振などの副作用が見られることもありますが、リベルサス等に比べるとそういった消化器系の副作用が少ないのもマンジャロのメリットです。


リベルサス

健信先生

2型糖尿病の治療に使用される、経口摂取タイプのGLP-1受容体作動薬です。脳の食欲中枢に働きかけて食欲を抑えることで、体重の減少効果が期待できます。加えて、胃の働きを抑制して胃の内容物が小腸へ排出される速度を緩やかにして、食後の急激な血糖の上昇を防ぐ効果も。
薬を服用してから30分〜1時間は飲食をしてはいけないなどの制約があります。またマンジャロと同様に下痢、便秘、吐き気、食欲不振などの副作用も。現時点では肥満治療薬としては保険適用外のため、自由診療扱いとなります。


メトホルミン

健信先生

2型糖尿病の治療に使われる飲み薬で、肝臓で糖が新しくつくられるのを防ぎ、血糖値を下げる効果があります。また、GLP-1の分泌を促す作用があり、マンジャロやリベルサスよりもマイルドに食欲を抑制して、体重を減少させる効果があると言われています。副作用には吐き気、食欲不振、腹痛、下痢などがあります。肥満治療目的の場合は保険適用外のため、自由診療扱いとなります。


カナグル

健信先生

SGLT2阻害薬と呼ばれる、経口摂取タイプの2型糖尿病治療薬です。腎臓で尿からの糖の再吸収を抑え、1日200~400kcalほどのカロリーを尿から排出します。余分な糖を尿と一緒に体外へ排出し、さらに余分な水分や塩分も排出しやすくなるので、むくみを軽減する効果も。尿から糖を出すため、副作用として、頻尿、膀胱炎、カンジダのリスクがあります。肥満治療目的の場合は保険適用外のため、自由診療扱いとなります。


ダイエット薬を飲むと、どんな体感がある?

健信先生

マンジャロやリベルサスといったGLP-1受容体作動薬は、空腹を感じにくい状態になります。それによって食事摂取量が減り、ダイエット効果が期待できます。
吐き気や強い食欲不振などの副作用が起きる場合もあるため、体調に変化を感じたら、担当医師にすぐ相談しましょう。


それぞれどんな人が頼るもの? どんな人は頼っちゃダメ?

健信先生

BMI(体重[kg]÷ 身長[m]÷身長[m]という計算式で算出される、肥満や低体重の判定に使われる国際規格の指標)が18.5以下の人には処方できません。
BMI18.5~25が日本人の標準的な体型で、BMI 22が最も健康的な体重(標準体重)とされます。160cmの女性でBMI下限の18.5の場合、体重は47.4kg。 標準体重のBMI 22なら、体重は56.3kg。BMI 18.5は、具体的な数字で見るとかなりの痩せ型です。
未成年の方や、妊娠中、妊活中、授乳中の方も安全性が確認されていないので使ってはいけません。

また、マンジャロを使用すると胃の動きが遅くなるので、低容量ピルの吸収が悪くなります。マンジャロを使い始めた最初の4週間と、薬を増量したタイミングの4週間はコンドームなど、ピル以外での避妊を徹底してください。
月経痛やPMSの軽減のためにピルを服用している場合は、若干効果は落ちますが、普段通りご使用いただいても問題ありません。

食欲のコントロールが難しい、標準以上に太っている場合は、医師に相談のうえ、ダイエット薬に頼るのもひとつの手だと思います。


ダイエット薬はあくまで薬! 取り入れるなら正しい手順で!

健信先生

今回紹介しているダイエット薬はすべて医薬品ですから、自己判断で使うのは危険です。ダイエット薬を取り扱っているクリニックによって基準は違いますが、必ず、ドクターが診察を行ったうえで薬を処方してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。
効果の高い薬だけに、副作用がでたときにすぐに対応してくれるかどうかを確認する必要があります。

最も避けてほしいのは、ネットやSNSで個人が販売しているものを購入すること。多く飲めばたくさん痩せるだろうとの勝手な判断から必要以上に飲みすぎて、食欲がまったくなくなり、入院をして点滴治療を受ける方もいます。
また、クリニックであってもまとめ売りしているところは避けたほうが無難。まとめて購入すると安くなるかもしれませんが、副作用がひどくて使えなくなる、十分な効果を感じられなくなった等、購入した薬がすべて無駄になるケースもあります。メディカルダイエット成功の近道は、しっかりと相談しながらご自身に合った薬・用量で使用することだと私は考えております。

薬の品質管理も大事なポイントです。たとえばマンジャロは医療用冷蔵庫で2~8℃の間で保存しなければ効果がなくなると言われています。そのため、配送で注文した場合はクール便で送られてくるのが普通ですが、個人販売や極端に安すぎるクリニックでは常温のままで送ってきたり、温度管理などを怠っているためせっかくの薬が効かないというケースもあるようです。


医療用に使われている薬。美容目的で使うことの問題点は?

これらの薬は医療用として使われているものですが、美容目的で使用することについてはいろいろ議論されていますよね?


健信先生

おっしゃる通り、かつては、リベルサスやマンジャロといった糖尿病治療薬が、糖尿病の方にも十分に行き渡らない時期がありました。しかし、現在は供給体制が安定しており、必要な患者さんに適切に処方できる状況になっています。


今は供給が安定しているんですね! それでも、ダイエット薬に対しては今も賛否の声が多く聞かれます。


健信先生

批判の対象になっているのは、こうした薬剤を医師の適切な指導なしに、すでに痩せすぎている方が自己判断で使い、副作用などに苦しむケースです。
病的な肥満の方のための治療薬ですから、ダイエットサプリメントなどとは違って、きちんと効果が出ます。それだけに誰から見ても痩せている人、つまりBMI18.5以下の人が使うと痩せすぎてしまう可能性があり、健康を害することもあるので危険です。そのため、医師の管理のもとで正しく使用することが何より大切なのです。


確かに。SNSの「ダイエット薬で手軽に痩せた」という投稿を目にすると、安易に手を出したくなる気持ちはわからなくもないですけど……。


健信先生

医薬品である以上、ひとりひとりの体型や体調、体質に応じた、適切な用法や用量があります。それを自己判断で増量したり、突然やめたりすることで健康被害や急激なリバウンドが起きることも。ダイエット薬は美容目的であっても医師の指示や管理のもとで適切に使うことで、正しい効果を得られるものです。


あくまでも「薬」ですもんね。キレイを追求する気持ちも大事だけれど、それを叶えるためには正しい知識を身につけることも必要ということですね!


健信先生

そうですね。肥満の改善は、見た目だけでなく生活習慣病の予防やQOLの向上につながる重要なテーマです。正しい医療のもとで取り組むダイエットは、美と健康の両方を支える社会的にも意義ある選択だと考えています。


健信先生はダイエット薬をどう取り入れている?

健信先生

私は内科専門医として薬の特性をよく理解したうえで、糖尿病の予防や食欲を抑えるために、普段はメトホルミンやカナグルを飲んだりしています。また、年末年始やイベントなどで3kgくらい太ってしまった場合、まず食事を節制して運動をしますが、それでも戻らないときに、マンジャロを使っていつもの体重まで落とすこともありますね。ドクターの中にも、ご自身の体重調整のためにマンジャロを使用される方も結構いるようです。ダイエット薬は、困ったときの救世主としてはとても役立つものですし、正しい知識を持って使う分には問題ありません。とはいえ、ダイエットは自分で食事に気をつけて、運動で体調や体型を整えるのが基本です。


気になる値段のことも聞いてみた!

ダイエット薬として処方してもらう(保険診療ではない)場合の、大体の予算感を教えていただきたいです!


健信先生

自由診療なので病院によって金額の違いはあります。当院では、購入後の経過チェックやLINEでの無料相談・サポートを含め、リベルサスの一般的な用量7mgが1ヵ月1万8840円。マンジャロは一番少ない2.5mgで1ヵ月4本2万1980円です。
クリニック選びの際には、カウンセラーではなく医師が診察をしてくれる、購入後も相談できるという点を基準に選ばれるとダイエットが成功しやすいですね。極端に安すぎるクリニックは、何か理由があるかもしれませんのでお気をつけください。


用量を増やせば、値段も効果も上がるのでしょうか?


健信先生

リベルサスもマンジャロも用量が多いと値段が上がり、効果も強くなります。ただし多ければ多いほどいいわけでなく、その人に合った用量が大切。合わない場合には副作用が強く出てしまう場合もありますから。私のクリニックでは基本一番少ない量からスタートして徐々に増やしていきます。しかし、体型や既往歴等により量や処方薬の采配がとても大事になります。そういった点でも、診察時はもちろん、購入後もしっかりと相談できるクリニックを選んでくださいね。


写真協力/ShutterStock 取材・文/山本美和

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