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【実話】「なんて自分は無知なんだろう」…父が倒れて痛感した“手続きの壁”と「人の優しさ」【作者に聞く】

  • 2025.11.16
「父が全裸で倒れてた。」カバー 作=キクチ
「父が全裸で倒れてた。」カバー 作=キクチ

右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をコミカルな漫画で描くキクチさん(@kkc_ayn)。母親の自宅介護と看取りがテーマのコミックエッセイ『20代、親を看取る。』は、自宅介護の現実や、“親との死別”と向き合う中で揺れ動く感情が描かれ、2023年に書籍化された。

新作コミックエッセイ『父が全裸で倒れてた。』は、母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう話だ。母の介護経験から落ち着いて対応できることは増えたものの、一人っ子として頼れる家族がいないキクチさんは、様々な決断を迫られる。今回は、父の容体が好転する一方で、キクチさん自身に異変が起きるエピソードを紹介する。

父のサインと「感謝の言葉」に高揚…しかし、無知を痛感

第1話1-1 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
 第1話2-1 作=キクチ
第1話2-1 作=キクチ

キクチさんが父親の保険の代理人になるためには、父親のサインが必要だった。ICUの個室に移った父の状態を案じ、サインは後日でもいいと思っていたキクチさん。しかし予想に反し、父はヘロヘロながらもサインを書き、思いがけず感謝と労いの言葉もかけてくれた。「とても心が高揚しました。つらい日々もありましたが、粛々と頑張り続けてよかったなと思えました」と、当時の心境を語る。

「限度額適用認定証」の発行など、一つひとつ必要な手続きをクリアしていくキクチさん。「父が倒れてあらゆる手続きをする度に『なんて自分は無知なんだろう』と、ありありと実感しました」と振り返る。しかし、お寺や夫、保険屋、年金窓口、知人など、多くの人に助けられたという。「備えられたら安心ですが、全てを備えることは難しい。だからこそ、ときには人のつながりや優しさに頼り、感謝することが大事だと改めて感じました」と、周囲への感謝を述べた。

事態好転の矢先…キクチさんを襲ったインフルエンザ

主治医から「抗がん剤が効いている」「一般病棟に戻れる」という嬉しい言葉を立て続けに聞き、張り切るキクチさん。しかし、無意識のうちに無理がたたったのか、今度はキクチさんがインフルエンザに罹患してしまう。

「久しぶりによい経過報告で、本当に嬉しかったです。大好きなインドカレーも食べることができ、よい気持ちで年末を迎えられると思っていました。そんなときにまさかのインフルエンザ。おそらく毎日病院に行っていたので、多くの人の菌に触れていたことと、疲れと安堵から免疫力が崩壊したのでしょう。ちなみにこのときは能登半島地震があり、身体だけでなく、メンタルもダメージを受けてしまいました」と、当時の過酷な状況を明かした。

父親の容体が好転する一方で、無敵モードだったキクチさんの体に異変が現れた今回のエピソード。つらい状況も淡々と、ときにクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしたい。

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