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【ホラー】なぜ生者の姿を描いた?東北に残る「ムカサリ絵馬」の掟を破った者に訪れる恐怖の結末とは?【作者に聞く】

  • 2025.11.15
東北に今も残る「ムカサリ絵馬」の風習をモデルにしたホラー作品 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
東北に今も残る「ムカサリ絵馬」の風習をモデルにしたホラー作品 三ノ輪ブン子(@minowabunko)

未婚のまま死んでしまった人が寂しくないよう、死後に結婚を遂げさせる「ムカサリ絵馬」という風習を知っているだろうか。実際に東北地方、主に山形で江戸時代から残っている死後婚の風習で、婚礼服姿の男女の絵を奉納する。だが、この儀式には決して破ってはいけない掟があった。

今回はそんな「ムカサリ絵馬」絡みのホラー漫画『鬼の居る間にわたしたちは』の第2話を紹介する。主人公の女子高生・螢は怪異が見える体質だった。ある日、転校してきたあざみの肩に凶悪な怪異が取り憑いており、その怪異事件をきっかけに2人は仲良くなる。

ストーカーの執着が生んだ「ムカサリ絵馬」の恐怖

「ムサカリ絵馬」絡みのホラーとは一体? 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
「ムサカリ絵馬」絡みのホラーとは一体? 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第2話_p03 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第2話_p03 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第2話_p04 三ノ輪ブン子(@minowabunko)
鬼の居る間にわたしたちは_第2話_p04 三ノ輪ブン子(@minowabunko)

怪異事件から2週間、平穏な日々を過ごしていたある朝、学校の校門に、転校生・あざみを追って前の学校の男子生徒が押しかけ、交際を迫っていた。異常なほどにあざみに執着する彼のストーカー行動は徐々にエスカレートし、螢が「生き霊とかになられたら困る」と心配していた矢先に事件は起きる。これが「ムカサリ絵馬」絡みのホラーな展開へと進んでいくきっかけとなった。

本作の著者は、ホラー漫画や都市伝説系の漫画を得意とする漫画家の三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんである。三ノ輪さんに「ムカサリ絵馬」の風習を取り上げた理由・きっかけを聞いた。

元々フランスの漫画アプリに掲載されていた作品のため、「なにか日本らしいホラーにしたいなと思ったのがきっかけ」だという。死者と生者を同じように対等に扱うのが日本らしいと感じたそうだ。ただ調べてみるとほかの国にも似たような風習はあり、さらにフランスはなんと死者との結婚が認められている国であったという。

死者と生者の境目が曖昧な世界

ストーリー終盤で、新郎姿の男子高校生の目がうっすら開いたシーンが描かれるが、三ノ輪さんはこのシーンにこだわりを見せた。「『なぜ目が開いたのか』に明確な答えはありませんが…。死者と生者の境目が常にあいまいで混じり合うところが、日本のホラーの好きなところです」と語る。

「彼も死んでしまったからといって彼の思いや存在まで死んでしまったわけではないので、その辺りの何が生きていて死んでいるのかわかるないあいまいな世界を、あのシーンで描けていたらいいなと思います」と、描写の意図を明かした。

「ムカサリ絵馬」の風習で、破ってはいけない掟とは何か。それは亡くなった人の相手に、生きている人の姿を描いてはいけないということである。実在する人を描いてしまった場合、あの世に連れていかれてしまうと言い伝えられている。果たしてあざみは大丈夫だったのだろうか。

取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)

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