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新人「すみません、寝坊しました」3日連続で届いた報告LINE。部長の返信に社内がざわつく【短編小説】

  • 2025.11.13
新人「すみません、寝坊しました」3日連続で届いた報告LINE。部長の返信に社内がざわつく【短編小説】

新人が3日連続で遅刻

私のスマホが静かに震えました。
部署のグループLINEです。
月曜日の朝。
「すみません、寝坊しました。少し遅れます」
彼の教育係の先輩が「わかりました。気をつけて来てください」と返信していました。
まあ、誰にでも一度や二度の失敗はあります。

火曜日の朝。
「すみません、寝坊しました。30分ほど遅れます」
さすがに教育係の先輩も「…わかりました。業務に支障が出ますから、明日はお願いしますね」と、少しピリッとした返信をしていました。

そして、今日の水曜日の朝。
「すみません、寝坊しました」
三度目の正直、とはこのことでしょうか。
部署の全員が見ているグループLINEに、またもや反省の色が薄い(と私には思える)短い報告が届きました。

さすがに3日連続ともなると、オフィスにいる私たちの間には、呆れを通り越した乾いた笑いと、重いため息が充満します。

彼は入社してまだ1ヶ月の新人さん。
最初の2週間はガチガチに緊張していましたが、少し慣れてきたのか、最近は気が緩んでいるのが目に見えていました。
とはいえ、社会人として3日連続の寝坊連絡は、どうなのでしょうか。

彼の隣の席に座る教育係の先輩は、もう青い顔を通り越して真っ白になっています。
「もう、なんて言ったらいいか…」
小さな声でこぼす先輩に、私たちはかける言葉も見つかりません。

「さすがに今日は部長も怒るだろうね」「というか、グループLINEじゃなくて、まず電話でしょう」
私たちがそんなヒソヒソ話をしていた、その時です。

部長の返信

いつもは私たちのやり取りを静かに見ている(既読だけつけている)部長のアカウントが、初めて動いたのです。
部署の全員が、息をのんで自分のスマホ画面を見つめました。

「承知した」

たった一言。いつも通りの冷静な返信です。
なんだ、これだけか…と私たちが思った矢先、部長から第二弾のメッセージが届きました。

「ところで、今朝の電話当番、君だったな。私が代わりに対応した。そのあと、君のデスクの上のホコリが気になったから、ついでに拭いておいたよ」

シーン……。
オフィスが一瞬、無音になりました。
え?
部長が、新人の電話当番を代わりに?
それどころか、デスクの掃除まで?

私たちが状況を飲み込めずにいると、さらに追撃のメッセージが投下されました。

「P.S. 明日は私より早く来て、社用車を洗車しておいてくれ。雨でドロドロだ。ああ、それと。私のおすすめの目覚まし時計を、君のデスクに置いておく」

……怖い。
怒鳴られるより、100倍怖い。
静かな文章なのに、とてつもない圧を感じます。
これは「愛のムチ」なのでしょうか。いや、それにしては静かすぎます。

新人さんは明日、いったい何時に出社するのでしょうか。
そして、部長がデスクに置いたという「おすすめの目覚まし時計」とは、いったい何なのか……。

私たちの部署は、朝からその話題で一日中ざわついていました。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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