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【舘 ひろしさん×眞栄田郷敦さん】年齢差50歳!「芝居はね、上手くなったら ダメなんだよ」舘さんからもらった意外な言葉

  • 2025.11.12

【舘 ひろしさん×眞栄田郷敦さん】年齢差50歳!「芝居はね、上手くなったら ダメなんだよ」舘さんからもらった意外な言葉

11月14日に全国公開となる映画『港のひかり』で主役を務める舘ひろしさんと、重要な役どころで共演している眞栄田郷敦さん。年の差50歳のお二人は、どんな思いでこの作品に臨んだのでしょう。さらにプライベートでの交流秘話まで、たっぷり語っていただきました。

舘 ひろしさん 俳優

たち・ひろし●1950年、愛知県生まれ。
76年、映画『暴力教室』で俳優デビュー。ドラマ「あぶない刑事」で大ブレイク。2018年、主演した映画『終わった人』でモントリオール世界映画祭最優秀男優賞などを受賞。近年の出演作は映画『ヤクザと家族 The Family』『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』など。

眞栄田郷敦さん 俳優

まえだ・ごうどん●2000年、米・ロサンゼルス生まれ。
19年に俳優デビューし、21年『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』『東京リベンジャーズ』で日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の石原裕次郎新人賞を受賞。出演作に映画『ブルーピリオド』、NHK連続テレビ小説「あんぱん」など。

監督との再タッグを熱望して映画が実現

ヤクザという過去を背負った孤独な男と、事故によって弱視という障がいを抱えた少年。出会うはずのない二人の人生が交わり、親子以上に離れた年の差を超えて心を通わせていく––––。10年以上にわたる友情と絆の物語を紡ぐのが、映画『港のひかり』。元ヤクザの漁師・三浦を舘ひろしさん、三浦を「おじさん」と慕う少年・幸太の成長した姿を眞栄田郷敦さんが演じる。

メガホンを取ったのは2024年、『正体』で日本アカデミー賞最優秀監督賞など数多くの映画賞を受賞した藤井道人監督。映像を担ったのは『鉄道員(ぽっぽや)』『劒岳(つるぎだけ) 点の記』などを手がけた日本を代表するキャメラマン・木村大作さんだ。

21年公開の『ヤクザと家族 The Family』でご一緒して以来、僕はどうしてももう一度、藤井監督と作品をつくりたかった。何度も議論を重ねて、紆余曲折ありながら出来上がったのがこの脚本です。
眞栄田 そんな舘さんの思いがこもった脚本ですから、最初に読んだときは「面白い!」と。登場人物それぞれのキャラクターが本当に魅力的だなと思いました。
そして、藤井監督がキャメラマンに指名したのが木村大作さん。大作さんの世界観に僕は場違いな気もしましたが、「黙ってやるしかないな」と覚悟を決めました。
眞栄田 ロケ地は主に能登半島の風情ある港。演じる自分の気持ちともマッチしていたし、大作さんの画と相まってより情緒に満ちた映像に仕上がっていると思います。

三浦は自分を犠牲にし、幸太に視力回復の手術を受けさせる。血のつながりはなくても「誰かのために生きる」、無償の愛を捧げぬく三浦の生き様に心が揺さぶられた。

三浦は出会ったときから幸太を子どもではなく、ひとりの人間として見ていた……そう思いながら演じていました。そして三浦は幸太の中に自分自身を見て、幸太に自分を託すような気持ちだったんじゃないかな。タイトル『港のひかり』の“ひかり”は、三浦にとっては幸太だったという気がします。
眞栄田 幸太にとってもおじさんが“ひかり”だったと思います。互いの存在が互いにとっての“ひかり”だった、そう感じています。

芝居ではなく存在感で魅せる俳優に

初共演は24年公開の映画『ゴールデンカムイ』。二度目の共演を果たした今、出会いからその後の交流までをこう振り返る。

僕は俳優にとって大事なのは目だと思っているのですが、眞栄田くんにはそんな目力の強さを感じました。
眞栄田 僕はただただ「カッコいいな」と思っていました。「こんな大人になれるかな」って。現場で僕ら世代が接しやすい空気感をつくってくださるのも、舘さんならではの魅力だなと思いました。
僕のほうからお近づきになろうと、千葉真一さんのことを話題に出したりして(笑)。
眞栄田 食事にも誘っていただきました。
食事の席で何を話したかは忘れちゃったけど。覚えてないでしょ?
眞栄田 僕は覚えていますよ。男としても役者としても、貴重なお話をいろいろ聞かせていただきました。
役者としてといっても、僕が偉そうに言えることなんて何にもないし。
眞栄田 舘さんが渡哲也さんから、「芝居は上手くなるな」と言われたというお話が印象的でした。
「西部警察」をやっていた頃かな。「お前最近、芝居が上手いけど、上手くなるな」って。芝居の上手・下手は関係なく、存在感で魅せる俳優であるためにはどうすればいいかということを渡さんが教えてくれたような気がします。その点、眞栄田くんは存在感がすごいから、これ以上、芝居が上手くなる必要はないと僕は思ってるわけ。
眞栄田 でも難しいですよね……。
俳優ってすごく孤独で不安。自分が俳優としてやっていけるのか、将来が保証されていないわけだから。そうすると必ず「芝居を上手くなろう」とする。それで精神的には安定するかもしれないけれど、同時に大事なものを失くしていくような気がするんです。それよりも眞栄田くんはもっともっと遊んで、芝居以外のことをいっぱい吸収していくことで、その存在感はさらに大きくなると思うし、そうなってほしいなと個人的には思っています。
眞栄田 いや、ちょっと泣きそうです。僕もいつも不安ですから。
眞栄田くんはおそらく、これから主演を張って作品を背負っていく人。そして、作品を背負ったときには芝居は何の役にも立たない。その人がもつ存在感や人生経験から生まれてくる魅力で、みんなをつなぎ止めていくのが主役だと僕は思っています。だからいっぱい遊んだほうがいいんだよ。
眞栄田 わかりました! いっぱい人生経験を積みたいと思います。

ひとつの作品を一生懸命に。それがこの先につながる

今年、芸能生活50周年を迎えた舘さん。年齢差50歳の眞栄田さんは今、デビュー時の舘さんと同じ年ということになる。

ホントに? 25歳でこの貫禄! 僕なんて25歳のときはまったく貫禄なかったんだけど(笑)。最初は2、3年でやめて他の仕事に就こうかと思っていたけれど、何となく仕事があったから続けてきたという感じです。ただ、僕が「俳優としてやっていってもいいのかな」と思ったのは、あるとき渡さんから「ひろし、お前には華がある」と言われたから。そんなことは、それまで誰も僕に言ってくれませんでした。自分に華があるのかないのか、そもそも何が華なのか、今でもわかりません。でも、渡さんの言葉を頼りに50年やってきました。
眞栄田 僕は50年後に今の舘さんと同じ年になるということですよね。こんなにカッコいい大人には絶対なれないと思います。50年後の自分なんて想像もできない、考えてもそのとおりにはなれないと思うし、今の自分は今日を生きるのに精一杯なので。
それでいいと思うよ。今日を精一杯生きていれば、ずーっとつながっていくから。僕はそうして50年やってきました。ひとつの作品をやると決めたら、下手なりに、一生懸命に。それだけですね。

【Information】映画『港のひかり』

北陸の小さな港町で暮らす漁師・三浦(舘ひろし)と、交通事故で両親を失い、自身の視力も失ってしまった少年・幸太(尾上眞秀)。年の差を超えて心を通わせていくが、三浦には元ヤクザという過去があった。12年後、手術を受けて光を取り戻した幸太(眞栄田郷敦)は刑事に。しかし、2人の前に過酷な運命が立ちはだかる––––。

●監督・脚本/藤井道人
●撮影/木村大作
●出演/舘 ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、黒島結菜、斎藤 工、市村正親、笹野高史、椎名桔平 他
●11月14日より全国公開 配給/東映 スターサンズ

©︎2025「港のひかり」製作委員会

撮影/中村彰男
スタイリング/中村抽里(舘ひろしさん)、MASAYA(眞栄田郷敦さん)
ヘア&メイク/岩淵賀世(舘ひろしさん)、MISU(眞栄田郷敦さん)
取材・文/本木頼子

※この記事は「ゆうゆう」2025年12月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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