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「産むなら仕事は辞めろよ」妊娠検査薬を見ながら言う夫。産後、妻が書き残したメモを見て絶句【短編小説】

  • 2025.11.15
「産むなら仕事は辞めろよ」妊娠検査薬を見ながら言う夫。産後、妻が書き残したメモを見て絶句【短編小説】

出産か仕事か

あの日のことは、一生忘れません。
妊娠検査薬に浮かんだ、二本の線。
嬉しい、でも、どうしよう。
私は、今の仕事が大好きでした。

「ねえ、これ……」

私が差し出した検査薬を、夫はぼんやりと見つめ、そして、私にではなく、まるでモノに言い聞かせるように呟きました。

「産むなら仕事は辞めろよ」

血の気が引きました。
それは「相談」ではなく、冷たい「決定」でした。
彼は、私がキャリアを築いてきたことを知っているはずなのに。
その一言で、私は「パートナー」ではなく、ただの「母親」という役割に押し込められた気がしました。
私は、深く傷つきました。
でも、泣きませんでした。

「……わかった」

私は静かにそう答えました。
ですが、心の中では、別の決意を固めていました。

出産は想像を絶する大変さでしたが、夫は

「俺は稼ぐから」

と、育児も家事もどこか他人事。
彼は私が当然、仕事を辞めた(辞める)ものとして振る舞っていました。

家族での育児

そして、私の育児休暇が明ける、その日の朝。
私は、いつもより早く起きて化粧をし、クローゼットの奥から、アイロンをかけたスーツに着替えました。

「……は? お前、何してんだ」

パジャマ姿の夫が、信じられないという顔で私を見ています。

「今日、保育園の入園式だから」

と私が言うと、彼は

「辞めたんじゃなかったのかよ!」

と声を荒げました。

私は、静かに一枚のメモをテーブルに置きました。

「辞めてないよ。これは、今週からの家事と育児の分担表」

そこには、保育園の送迎担当(夫は週2回)、ゴミ出し、夕食の担当(夫は週2回)が、きっちりと書き込まれていました。

「ふざけるな! 俺は仕事が……」

「私『も』仕事なの」

私は夫の言葉を遮りました。

「私は、母親も、仕事も、どっちも辞めない。でも、あなたとの『一方的な関係』は今日で辞める。私たち、夫婦でしょう?」

夫は、そのメモと私の顔を交互に見比べたまま、言葉を失い、絶句していました。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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