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話題のキリン「エレキソルト」実は相性がいいのは、減塩生活でも食べたい汁物グルメ?!

  • 2025.11.12

話題のキリン「エレキソルト」実は相性がいいのは、減塩生活でも食べたい汁物グルメ?!

キリンが開発した「エレキソルト」とは、食品を介して微弱な電流を舌に伝えることにより減塩食品の塩味やうま味を増強してくれる、画期的な食器型デバイスです。2024年にスプーンを発売して以来、血圧が高い方や腎臓病などを患い減塩生活を行っている方を中心に高い支持を集めてきました。 この秋には改良型スプーンと、新商品となるカップを発売。開発秘話をご紹介した前編に続き、キリンでエレキソルトの開発責任者を務める佐藤愛さんに、使い方のポイントについて話を伺いました。

電極→食品→口へと電流の流れる経路をつくることが大事

-エレキソルトを効果的に使うための注意点はありますか?

エレキソルトを使うことで塩味やうま味を感じる秘密は、電流。電流を流すことで、舌に味わいの成分を引き寄せているのです。スプーンの先端やカップの内底には電極があり、持ち手部分にはそれぞれ電極パネルがついています。

例えばカップなら内底部分の電極からスープ、口、電極パネルに触れた手からまた口という経路で電流が流れて、舌に塩味やうま味を増強して伝えてくれる (※)というしくみ。だから、電極パネルにしっかり触れていることが、効果を感じるための条件となります。

また電流は0.5秒ほどかけて流れるため、早食いよりゆっくり食べるほうが、味わいの増強を感じやすいです。

エレキソルトと相性がいいのは汁物、ラーメン、カレー

-減塩でつらいメニューといえば、味噌汁やラーメン。エレキソルトがあれば我慢せず食べられますね!

減塩中だけどラーメンが食べたいというお声は、構想段階からたくさんお聞きしました。高血圧の場合は1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されていますが、ラーメンはたった1杯でそれに匹敵する量の塩分が含まれていることも。本来ならお湯を足して味を薄めるなどの対策をしますが、なんだか物足りませんよね。エレキソルトは汁物や麺類ととても相性がよくて、お湯で薄めてもおいしく感じられると思います。

カップを使うなら、ラーメンどんぶりから麺とスープを取り分けて。スプーンなら、エレキソルトをれんげのようにして使えば電流の流れる経路を確保できます。どちらも、スプーンやカップに直接口をつけていなくてもOK。スープや麺を通して電流が流れるため、同じ効果を得られるのです。

カレーやあんかけご飯のような、舌の上に長くとどまるようなとろみのある料理もおすすめですね。エレキソルトの仕事はあくまで味の増強なので、もとの味が薄すぎても濃すぎても増強の効果がわかりにくくなるかもしれません。ちょうどいい塩けを感じる味から30%くらい控えた調理でぜひ試してみてください。

反対に効果を感じにくいのは、ステーキなど噛む回数が多くなる料理。食品がエレキソルトの電極から離れると、電流が流れなくなるからです。

今後もどんどん改良を重ね、商品ラインナップも増えていくかも

-現在はスプーン、カップの2商品ですが、今後も新商品が登場するのでしょうか?

はい、そのつもりでいます。じつは開発当初からお箸やフォーク、お椀などさまざまな試作品をつくっていたんです。まずは、ユーザーからのフィードバックをしっかり現行品の改良に生かすこと。どんどん改良を加えていくつもりです。そして小型軽量化や安全面でのハードルがクリアできたら、商品ラインナップも広がっていくと思います。

エレキソルトの今後は、2つの方向に矢印が向いています。ひとつは、実際に減塩に悩まれている方にしっかり商品をお届けできるようにすること。ご家庭での減塩対策に使っていただくのはもちろんなのですが、病院や介護施設で使っていただくことも大事です。こうした場所でも減塩食は提供されていると思いますが、利用者によりおいしい食事を提供したいという思いで関係者の方々から相談いただくことも多いのです。業務用は家庭用より厳しい安全・耐久基準が設けられていて、現行品をそのまま使っていただくことができないため、業務用規格の準備を進めているところです。

もうひとつはより幅広い層の方々に、食と健康に意識を向けたもらうための活動です。オンラインストアでは、減塩を実践されているご本人やそのご家族、またプレゼントとして購入されているのが全体の8割ほどを占めています。残りは将来の健康のために、というお客様。私たちはこうした未病という観点がすごく大事だなと思っています。いますぐ減塩、ではなくても、多くの方に健康に意識を向けてもらいたい。エレキソルトを通じて自身の食生活を改めて見直せるような、そんなイベントを増やしていきたいですね。

減塩に取り組んでいる人、健康的な食生活に興味がある人。エレキソルトは今後も、私たちの食卓をさらに楽しく、健康的なものにしてくれそうです。

佐藤愛さん
キリンホールディングス
ヘルスサイエンス事業部 エレキソルト事業責任者
1985年広島県生まれ。2010年キリンホールディングスに入社し、研究開発および企画業務に従事。2019年、明治大学 宮下芳明研究室と共同でエレキソルトの前身となる技術を開発し、社内の新規事業コンテストに応募してエレキソルトプロジェクトを発足。現在も改良や新規商品の開発を行っている。

撮影/柴田和宣(主婦の友社) 取材・文/佐藤望美

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