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『プレデター:バッドランド』を見る前に知ってほしい3つのこと。もはや『ドラゴンボール』だった理由は?

  • 2025.11.13

『プレデター:バッドランド』が11月7日より公開中。批評サービスRotten Tomatoesでは評価支持率86%(11月上旬現在)と大好評で、日本の試写でも絶賛の声が多く届いている本作は、「面白いアクション映画が観たいならこれで決定」と思えるほどの快作でした!

前置き:超万人向けエンタメである理由

後述する通り物語はシンプルで、設定も含めて分かりやすく、難しいところは1つもナシ。上映時間は107分とタイトで、テンポよく見せ場が続くため退屈するスキもナシ。後述する通り、シリーズでもっとも親しみやすい特徴までもがあります。バキバキにキマった音楽と没入観のある画作りもふんだんのため、劇場のスクリーンで観てこその興奮と感動もあることでしょう。

しかも、やや過激なアクションシーンはあれどG(全年齢)指定であり、刺激的な映画を求める小中高生にも大推薦。大人気声優の早見沙織がヒロインの声を務める吹き替え版も大評判を呼んでいるので、そちらで観てもいいでしょう。そんなわけで予備知識ゼロでもまったく問題なく楽しめる内容ではありますが、ネタバレのない範囲で、事前に知ってほしいことを記しておきましょう。

1:シリーズ1作目を先に見ておくのがおすすめの理由は?

本作は映画『プレデター』シリーズの6作目(『エイリアンVS』のコラボを含めれば8作目)。それぞれの作品で概ねキャラクターや舞台が一新されており、今回の『バッドランド』を含めて基本的にはどれから観てもOKなのですが、それでも可能であれば第1作目を最初に観ておくのがおすすめです。
なぜなら、同作では戦いの相手が「何者か分からないが、次第にその正体や攻撃手段などが明らかになっていく」という、ホラー作品としての恐ろしさ、はたまたミステリーのような面白さもあるからです。

今回の『バッドランド』で、プレデターへの攻撃手段がわかったり、はたまた「思い入れ」もできてしまうと、その1作目の恐怖が薄れてしまうかもしれないのです(もっとも、今ではプレデターの見た目や攻撃手段も広く知られていため、1987年の公開当時に何も知らなかった人と同様の恐怖を味わうことが、今やほぼほぼ不可能というのも苦しいところですが)。

なお、その『プレデター』1作目は下ネタをしゃべりまくるキャラがいるほか、凄惨な死体描写があるなど、お子さん向けの内容ではまったくないのでご注意を。そのほか、2018年公開の『ザ・プレデター』は直接的な殺戮(さつりく)シーンが満載のためR15+指定となっています。

さらにおすすめなのは、今回の『バッドランド』と同じくのダン・トラクテンバーグ監督がメガホンを取った、ディズニープラスで配信中の『プレデター:ザ・プレイ』。第1作目のオマージュが強い、自然の中でのバトルがスリリングに描かれる作品ながら、「女性だから」という理由で軽んじられている主人公が戦いの最中でさらに強くなっていく、フェミニズムの要素も強い内容となっています。

2:設定やあらすじは『ドラゴンボール』に近い?「寡黙なハンターの陽気な女性とのバディもの」の面白さ

今回の『バッドランド』の最大の特徴は、これまでは恐るべき敵だったプレデターを主人公としていること。しかも、これまでの「知的で冷酷なハンター」というイメージを保ちつつも、なんとも愛おしくて感情移入できる、魅力的なキャラクターとなっているのです。何しろ、そのプレデターの「デク」ははっきり「未熟」。父や兄のように自身の強さを証明したいと願ってはいるものの、物語冒頭でとある残酷な悲劇を経て、宇宙で最も危険な惑星にやってきます。プライドが高い一方で、まだ若く経験も浅いため、戦闘ではミスが多く、時には予想外の事態に大慌てしたりするので、なんともハラハラするのです。しかも、彼のバディ(相棒)となるのは、なぜか下半身を失っている女性のアンドロイド(人間型のロボット)の「ティア」。寡黙で必要最低限のことしか口にしないデクに対して、ピンチになっても何かとしゃべり続ける陽気な性格の持ち主で、その「凸凹コンビ」感もたまらなく愛らしく、シリーズでもっとも親しみやすい作風にもなっていました。さらに思い出したのが、言わずと知れた『ドラゴンボール』でした。そちらの序盤も目的を同じくする男女のコンビが冒険をする物語であり、かけがえない友情を育んでいくことも、『バッドランド』と共通しています。

しかも、プレデターは「強さを求めて全宇宙を舞台に狩りを続ける誇り高き戦闘種族」であり、それも『ドラゴンボール』における戦闘民族・サイヤ人にかなり似ています。そのサイヤ人である孫悟空もまた「家族によって逃がされた」という、『バッドランド』のデクと似た経緯の持ち主だったりしました。

さらに『ドラゴンボール』と『バッドランド』は、その「戦いこそを至上とする」種族に生まれた主人公が、それ以外の大切な仲間を得るという過程も共通しています。それは家族や生き方が多様になった現代では共感できる価値観といえるでしょう。

そして、終盤では激しいバトルアクションがエスカレートするだけでなく、もはや「友情・努力・勝利」を掲げるような、「少年漫画のようなアツさ」にもつながっているのです。

(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ちなみに、実際にダン・トラクテンバーグ監督が影響を受けたと明言しているのは、ゲームの『ワンダと巨像』です。同ゲームでは馬が相棒のような存在であり、『バッドランド』の「正反対のキャラクターと一緒にいる」ことなどにインスピレーションを与えていたのだそうです。 さらに余談ですが、予告編でのタイトルコールを担当しているのは、『僕のヒーローアカデミア』で知られる声優の山下大輝で、その主人公である「緑谷出久」の通称が「デク」であることが、今回の『バッドランド』の主人公と同じだったりするのです。デクは日本語で「木偶の坊(でくのぼう)」を連想させる、ネガティブなイメージもあるからこそ、より彼らのことを「がんばれ!」と応援したくなる方もいるでしょう。

3:バラエティ豊かなアクション、そしてあっと驚くサービスも?

そして、本作の本分はやはりド派手なアクション映画かつ、ただ生きることも困難な危険な惑星でのサバイバル劇。ここでは具体的な言及は避けておきますが、見せ場はバラエティ豊かであっと驚くアイデアも満載。「次は何が起こるんだ!?」という予想のつかなさも含めて楽しんでほしいです。

『マレフィセント』などではまだ少女のイメージがあったエル・ファニングが、(アンドロイドですが)おしゃべりな大人の女性としても愛らしいのは言うに及ばず、彼女が後半では「まったく違う一面」を見せることも大きな見どころ。劇中の彼女は下半身がないために序盤では「背負われたままアドバイスをする」ような立場ですが、終盤には彼女自身が戦う痛快な見せ場も用意されているのです。

(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

さらに、プレデターのデクを演じるのは、ニュージーランド出身の新鋭ディミトリアス・シュスター=コロアマタンギで、彼は演技だけでなく、アクション、スタントのすべてを高レベルで成し遂げる逸材だったのだとか。実際の撮影ではプレデターの装甲を実際に身につけ、リアルなアクションに挑戦し、今回のために新たに生み出した「ヤウージャ語」を巧みに操る熱演を見せたとのこと。

なお、激しいアクションシーンはあれどG(全年齢)指定であると前述しましたが、実際は首や腕が吹っ飛びまくる、冷静に考えればR15+指定でもおかしくない描写が終盤では満載だったりしました。しかしながら、その首や腕が吹っ飛びまくるのが実際はアンドロイドであり、血しぶきが派手に飛び散る描写はないため、なるほど年齢制限をしなくても大丈夫なのだと納得できるでしょう(?)。

そして、予定調和にならないサービスもしっかり用意。例えば、劇中で言及される「ウェイランド・ユタニ社」は、エイリアン』シリーズに登場する企業の名前です。それに伴って、『エイリアン』のファンが大はしゃぎできる、とあるサプライズも用意されているので、そちらもぜひ楽しみにしてください。

この記事の執筆者: ヒナタカ
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。

文:ヒナタカ

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