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公私の顔が違いすぎる!「吉本新喜劇」島田珠代さんインタビュー【私の推しごと#25】

  • 2025.11.11

福岡ゆかりの人に、「お仕事」の話から、個人的に推している「推しごと」の話まで、普段聞けないいろんなことを聞く『ARNE』のインタビュー企画『私の推しごと』。

#25は『吉本新喜劇』の大看板、島田珠代さんの登場です。2025年12月13日(土)には『吉本新喜劇』福岡公演が決定。舞台上ではハイテンション&はっちゃけた動きで観客の笑いを誘う珠代さんですが、実際にお会いすると……身長151cmと小柄で繊細、涙もろいステキな女性でした。

「島田珠代(しまだ・たまよ)」プロフィール 画像:吉本興業1970年5月10日生まれ、大阪市出身。高校生の頃、バラエティー番組『4時ですよーだ』(MBSテレビ)の素人参加コーナーで優勝したのをきっかけに1988年に吉本興業入り。『吉本新喜劇』の顔として1日平均3公演、年間約320日舞台に立つ。「パンティーテックス」「チーン!」などのギャグで知られ、弾けるようなパワフルな芸風が持ち味。2024年10月に初のエッセー『悲しみは笑い飛ばせ!島田珠代の幸福論』(K A D O K A W A)を発売し、2回の結婚・離婚、元夫の病死、娘の反抗、現在のパートナーなどプライベートを明かし、大きな話題となった。

「お仕事」について

Q:珠代さんは芸歴37年、なんと55歳。なのに吉本新喜劇でのあの動き……膝や股などの関節がものすごく柔らかいですね?

いえいえ、気持ちだけで動いてます(笑)。体は硬いし、運動も柔軟体操も特に何もしてないんですよ。17歳で吉本(興業)に入って、そこからずーっとほぼ毎日舞台があり、1日3~6公演。舞台に立ち続けていることが、あの動きを変わらずにできるコツなんでしょうね。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:新喜劇の看板俳優として続けてこられた秘けつは何なのでしょう?

紆余曲折も挫折ももちろんありますが、私は若い頃からお弾けキャラで、舞台の上でそういう芸をすることが自分自身のストレス発散になっていたというのがまず大きかったですね。そしてやっぱり、お客さんからのお手紙かな。「もう死んでしまおうかと思っていたけれど、珠代さんを見て、生きていくことにしました」「学校でいじめにあっているけど、珠代さんのギャグのおかげで乗り切れそうです」とか。今みたいにSNSがなかった時代は、私がいつも利用していた駅の伝言板に「頑張ってください」って書かれていることも多かったです。お客さんからそういった声をいただくと、「私がやっていることにも意味があるんだな、続けていかなきゃいけない」って気持ちが膨れ上がります。

−悩んだ時期もあったのですね。

山田花子ちゃんが後から出てきたときは、何をしても勝てないって随分落ち込んでよく泣いていました。私は頑張って頑張って、ちょっと作っている部分もあると思うのですが、彼女は素のままであれだけ笑いが取れていましたから。でもまあ泣いていてもしょうがないのでちょっと作戦を変えることにして、これまでは舞台で前へ前へと出ていたけれど、今は花子ちゃんの番だから私は一回引いてみようと。笑いを意識せず、この機会にお芝居というものを覚えてみようと考えました。大好きで尊敬していた桑原和男師匠の間の取り方やセリフのリズム、演技を舞台袖からずっと見て覚えたり、それまで「女芸人が恋愛したらギャグがいやらしくなる」と男性とふたりで食事に行ったこともなかったのに、急に恋愛してみたり。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

−笑いの裏でそんな試行錯誤が。

その連続ですよ。私は「心斎橋筋2丁目劇場」でピン芸人としてスタートしたんですが、当時は芸人がアイドル化していて、ダウンタウンさんも今田耕司さんも東野幸治さんも、もう出ればキャーキャー言われてお客さんは女子高生ばっかり。その中でウケるには、女を捨てないとダメだったんです。普通の女の子は絶対やらないようなギャグをやっていたら人気が出て、それはそれで正解でしたが、その芸風のまま新喜劇に移ったら全然ウケなくて。「なんばグランド花月」のお客さんは女子高生じゃない、子どもから年配の方まで幅が広くて全く雰囲気が違いました。悩んでいたら、座員の浅香あき恵さんが「新喜劇はお芝居だから、たまちゃんは奇抜なことをやるんじゃなくて、逆にかわいいことをやってみなさい」「あなたがかわいい子ぶればぶるほどツッコミがウケるから」って。これが大正解で、私が品を持ってかわいらしくセリフを言ったところにツッコミが入ったら、ものすごくウケたんです。こういうメリとハリが大事なんだと身をもって学んだことが、今の私につながっていると思います。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:昨年出版された『悲しみは笑い飛ばせ!島田珠代の幸福論』をきっかけに、珠代さんの波乱万丈な私生活が公になりました。二度の結婚・離婚、元夫の闘病と死、幼い娘さんとの別離と再び同居してからの反発など赤裸々な内容に驚きました。

もともとは「芸人たるものプライベートを表に出すべきでない」と考えるタイプだったので、大きな挑戦でした。初めてのエッセー本で自分の人生をさらけ出したのは、一人の人間として私にもいろんな側面があることを知っていただきたいと考えるようになったからです。「舞台ではいつもすっとんきょうなことをしているけれど、実はプライベートではこういうことが起こっていた」とありのままをお見せすることで、私も皆さんと同じように悩みながら、仕事・家事・育児をして暮らしていることを知ってほしい。子育てとか病とか同じような悩みを持っている方たちに、「それ(=仕事)はそれ、これ(=プライベート)はこれ。メリハリつけて頑張っていきましょう」というメッセージが伝わったらいいなと思います。もちろん、これからも芸風は変えずに、同じことをやり続けますよ!

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:そんな波乱万丈な人生を送ってこられた珠代さんをずっと近くで見守ってきた存在がいるとか?

「ゆき姉さん」ですね。私が5歳のときからの付き合いになるぬいぐるみで、全国公演などで1週間家に帰れないとなると、必ず連れて行きます……ちょっと怖いと思ってません(笑)? 私は戌年だからか、「におい」にとても敏感で、本を開いたらまず紙をにおったり、好きな人の首筋をにおったりと、おなじみの「におい」をかぐと安心する性質があるんです。ゆき姉さんのにおいは落ち着きます。

−50年間、大事にされているんですね。

5歳の誕生日プレゼントには、当時大ブームだったスヌーピーのぬいぐるみがほしいと母にお願いしていたのに、箱を開けたらこのビーグル犬みたいなのが出てきて、「いや、これじゃない!」と。何カ月か放置していたんですが、よくよく見ると愛らしくて、抱っこしてみたらしっくりきて、以来ずっと手放していません。今はもう娘が受け継いで大事にしてくれています。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

「お仕事」のイチ押し

2025年12月13日(土)、『吉本新喜劇』の福岡公演が開催されます。出演は島田珠代さんをはじめ、間寛平さん、内場勝則さん、未知やすえさん、安井政史さんなど。会場は「よしもと福岡 大和証券劇場」で、13時30分と16時の2回公演。腹を抱えて涙を流して、大口開けて笑いに行きましょう。

※前売チケットは完売していますが、追加販売は決まり次第「よしもと福岡劇場」公式X: https://x.com/fukugeki_ysmtにて発表されます。もしくは劇場(092-832-1122)へお問い合わせください!

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:今回の公演、見どころは?

新喜劇のいいところなんですが、台本はギリギリに来ることが多いので今の時点で内容はさっぱりわからないんですよ。すみません。でももうとにかく座員は福岡大好きなので、みんな楽しみにしています。お客さんのノリがめちゃくちゃいいんですよ。

−大阪との違いはどんなところなんでしょう?

大阪よりも品がある、品があるけどノリがいい。舞台に立つとまるで栄養ドリンクを飲んでいるようで、お客さんからビタミンいただいている感覚です。そうすると私たち座員も元気になって、舞台がまた盛り上がる。新喜劇って本当に福岡のお客さんに育てていただいていると思います。大好きな街です。

Q:吉本新喜劇は昨年65周年を迎えました。私たちは表側のおもしろい面だけ見せていただいてますが、実際はどんな雰囲気の劇団なんでしょう?

座員が100人を超えていて、もう生き残りサバイバルです。私も危機感を持って、常に頑張らなきゃと思ってます。

−え? 珠代さんは安泰でしょう!

まさかまさか。若い人がどんどん出てきていますから。彼らは吸収が早いしチャレンジ精神もすごい。この間まで小さかったのに一瞬で成長してくる。喜ばしいことではありますが、私もおちおちしてられません。ピン芸コンクールの「R-1グランプリ2026」にもエントリーしましたよ。常にチャレンジして腕を磨いておかないと怖いです。でも私、何歳になってもこういう危機感を持って頑張れるってとてもありがたいことだと思うんですよ。

吉本新喜劇 福岡 2025
画像:吉本興業

■「吉本新喜劇inよしもと福岡劇場」開催概要
会場 :よしもと福岡 大和証券劇場(福岡県福岡市中央区地行浜2丁目2-6 BOSS E・ZO FUKUOKA 7F)
会期 :2025年12月13日(土)1回目13:30(開場13:00)、2回目16:00(開場15:30)
入場料:前売3,800円、当日4,500円 ※前売チケットは完売していますが、追加販売は決まり次第「よしもと福岡劇場」公式X: https://x.com/fukugeki_ysmtにて発表されます。もしくは劇場(092-832-1122)へお問い合わせください。
主催:吉本興業株式会社
チケット問い合わせ:TEL 0570-550-100(FANYチケット)
公式サイト内関連ページ:https://shinkigeki.yoshimoto.co.jp/stage/detail/882

「推しごと」について

次に島田珠代さんの「お仕事」の平均的な1日、そして「推しごと」を楽しむ休日のタイムスケジュールを教えていただきました。

これを見ながら、「推し」について聞いていきます。

島田珠代 インタビュー タイムスケジュール
画像:ARNE

Q:珠代さんの「推し」は何ですか?

ヒロシですね……もうまんまとハマってる感じです。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:【お仕事の1日】【推しのある1日】どちらのタイムスケジュールにも、夜は「娘とヒロシが帰りごはんを食べる」とありますね。珠代さん自身は「夕食は食べない」けれど、2人に用意されているんですね。

もちろんです。ヒロシはお付き合いして8年になるパートナーで、今は高校2年の娘と3人でほとんど一緒に暮らしています。ヒロシは私より3つ上で58歳。一緒にご飯を食べたり、お酒を飲んだり、ケンカしたり仲直りしたりして楽しく過ごしています。でも、つい先々週くらいに決まった話なんですが……ヒロシが親御さんの介護のために、来春、地元の千葉に帰ることになって(涙)。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

−なんと。珠代さん大丈夫ですか?

ヒロシの前では「介護頑張りやー」とか明るく言って、引っ越しの準備を手伝ったりして強がっていたんですが、一人になるとガックリきて……。「春になったらヒロシはもう、(いつも座っている)この椅子に座らないんだ」って思うと、お風呂で泣いちゃったり。介護がひと段落したら大阪に帰ってくるとは言ってますが、とにかく春からヒロシがここにいないという現実が耐えられない。仕事中にふと考えて気分が滅入ってしまい、先週私、吉本に入って初めて体調を崩したんです。「病は気から」ってよく言うけど本当だなあと、気持ちって大事だなと痛感しました。

−ヒロシさんはお医者さまだとか。

大阪では勤務医をしていて、これから東京の病院に面接に行ったりするみたいです。介護と仕事で大変なんじゃないかと思うんですが、ヒロシ、何にもできないから、どうしよう……向こうで「私がお手伝いするわ」なんていう女の人が現れたら(涙)。そうなったらもう本当のお別れかもしれないなあって思ったりして。

−考えすぎですよ!

来春からヒロシがいなくなって、その次の年は娘が受験で、東京の大学を志望しているようなので娘も出て行ったら、猫と「ゆき姉さん」と3人の生活になりますね。このタイムスケジュールもだいぶ変わってきそうです。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと パンティーテックス
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:娘さんは4歳の頃に、母である珠代さんと離れてお父さんのもとで生活することになり、お父さんががんで亡くなったあと、12歳から再び珠代さんと同居しているそうですね。数カ月、珠代さんとは一切口もきかない時期もあったとか。

今はそれを乗り越えて、友達みたいに大笑いしながら暮らしています。中学生になった娘とまた暮らせるようになったとき、私がまず考えたのは、「学校で娘がいじめられないように、お母さんが新喜劇の三枚目だからと指差されないように、芸人としてもお母さんとしても強くならなきゃ」ということ。ツッコまれて笑いを取るというこれまでのスタイルに加えて、自分から何かを発信して笑わせる芸風にも挑戦してみようと考えました。それが「パンティーテックス」の楽曲とか「おばちゃんダンス」とか。それまでは、少しでもすべったら「もう二度とせんとこ」って落ち込むタイプだった私にとって、新しいことに挑戦するのはすごく勇気のいることだったんです。でもヒロシがそばにいると、何も怖くなくなって。親権が元夫にあって娘となかなか会えない日々とか、もう本当に大変だった時期からヒロシはずっと支えてくれていました。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

−ヒロシさんの存在、大きいですね。

すごく頭のいい人で、私の仕事面でのプロデュースのようなこともしてくれていたんです。「明日はどういうお仕事ですか?」と聞いてくれるのでいろいろ話すと、「珠代さん、それはあなたが前に出過ぎてはいけないですよ」「一緒に出る先輩の芸人さんを立てる回ですよ」とかアドバイスしてくれて。頼りにしてました。

−毎晩のように「ヒロシとケンカ」と書かれていますが、どんな理由で?

すべて私のヤキモチです。帰りが遅いと心配になって、「なんでこんな時間になるの?」と。「診療後に紹介状を書くのに時間がかかって大変なんですよ」とか説明はしてくれるんですが、信じられない。変な話、ヒロシは私だけの先生、教祖ぐらいまでいってます。私以外の誰かにヒロシの考え方を教えてるんじゃないかと想像したら……ムリです。

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:そんなヒロシさんと離れて暮らすことになって……改めて大丈夫ですか、珠代さん。

もう、良い方向に変わるように願うしかないですよね。ヒロシと出会ってからこの8年で本当に自分自身が変わったし、仕事も広がったし、娘とヒロシには心から感謝しています。人ってこんなに気持ちひとつで変われるものなんだなあ。誰かに背中を押してもらったり、アドバイスを受けたり、人の意見を聞くって大事です。

−年齢を重ねるほど、素直に人の意見を聞き入れることが難しくなるように思うのですが、珠代さんは違いますか?

受け入れ態勢万全です(笑)。新喜劇のツッコミのメンバーからもよく言われるんですが、これ言ったら怒るだろうなっていうことでも、私は「そうなんですよ」っていったん全部受け入れるって。これからも人の意見を丸ごと受け入れて、何を言われても怒らない、笑っていられる、そういう強さを持ち続けたいと思います。

Q:最後に、ファンの皆さまに一言。

人って気持ちでいろんなことを変えられると思うんです。人生は才能の有無では決まらない。病も含めてどうしようもない時もあるけれど、気持ちだけはいつも前向きに、気持ちですべてを動かしていってください。

(写真は、ARNEの「A」ポーズ)

島田珠代 インタビュー 私の推しごと
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

<取材を終えて>

どんなときも笑わせてくれる、ずっと大好きな珠代さん。今回、笑顔の裏の悩みや苦労についても率直に語っていただき、強さと弱さのアンバランスさがなんとも魅力的で引き込まれました。今後も“人間・島田珠代”を追い続けたいです。(取材・文/重川朋子)

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