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大原英子先生に聞く!「勉強がよくできる」だけじゃ足りない!? 知られざる“小学校受験”の実態

  • 2025.11.11

みなさんこんにちは。3児の母で、長女が小学校受験に挑戦中のワーママれみです。突然ですが「小学校受験」と聞くと、どのような光景を思い浮かべますか? まだ幼い子どもたちが、必死に机に向かって勉強する姿でしょうか? 教育熱心な親の姿でしょうか?あまり知られていない「小学校受験の実態」。そこで今回は、年長クラスは常にキャンセル待ちすら満席となる、大人気小学校受験塾『コノユメ』を運営されている大原英子先生にお話を伺いました。一回目は、ズバリ! 小学校受験ってどんな問題が出るか、小学校受験塾ではどんなことをするのかを掘り下げてお伝えしていきたいと思います。

小学校受験で実際に出題される問題って?

「受験」と聞くと、問題を読んで字を書いたり、計算をしたり……などの内容を想像される方がほとんどかと思うのですが――。実は、小学校受験の問題は、ちょっと特殊。では、どんな問題が出るのでしょうか?「ペーパー」と呼ばれるいわゆる筆記試験では、幅広い分野の知識・常識が問われます。例えば、“記憶力”を測る問題は、5分程度のお話を聞いて、その内容について答えるもの。“空間認知能力”の問題では、平面/立体の図形を折ったり切ったり、回転させたりしたときに、どんな形になるのかが問われます。その他にも、重さや長さ、量を比べる数学的な思考を測る問題、日本の季節や行事に関する問題、しりとりなど……。また、手先を使った巧緻性を測る問題では、リボン結びやハサミやのりを使った工作、絵画なども出題されます。中学受験や高校受験など、他のライフステージでの受験とは異なる最大の特徴は、「すべての問題が口頭で読み上げられること」であると大原先生はおっしゃっていました。大原先生「すべて“言葉”で出題されるのは、非常に大きな特徴です。小学校に入ったら文字を習うので、就学以降の試験は文字で出題されて、それを子ども自身が読んで解きますよね。自分のペースで読めるし、分からなかったら読み返すこともできる。でも、小学校受験では、すべて音声。その場で先生がお話しされたり、 録音で発問されたりして、原則一度しか聞くことができません。例えば、“お話の記憶”と呼ばれる問題では、『ウサギさんとクマさんが八百屋さんに行って、みかんとりんごとぶどうを買って、ウサギさんがりんごを〇個・クマさんがみかんを〇個食べました。そしてそのあと……』といった数分間のお話を聞いて(長いものでは5分程度)、その内容について答えます。『りんごを食べたのは誰ですか?』などの問題に答えるのですが、『りんごを食べたのはウサギだっけ? クマだっけ?』と、大人でもなってしまうレベルの長いお話が出る学校もあります」れみ「お話の冒頭に『ひまわりがきれいに咲いて、よく晴れた日曜日の朝でした』と言われて、その後お話をすべて聞いた後に、『季節はいつか』とか『何曜日でしたか』とか『お天気は』と聞かれたりもするんですよね。冒頭でちょっとぼーっとしてしまったり、他の子がゴソゴソ動いたのに気を取られたり、その後のお話を覚えるのに必死で冒頭の記憶が抜けてしまうと、もう答えられないという……」大原先生「結構難しいですよね。巧緻性の課題でも“聞くこと”はとても大切で、長いものだと『赤い折り紙を四つ折りにしましょう。青い折り紙は三角に切りましょう。黄色は~~』とか、いろいろな指示をパッと一度で聞いて記憶して、言われたとおりの作品を時間内に作るとか、そんな課題も出ます」

机上の「お勉強」では終わらない、小学校受験の実態

脳はもちろん、手先や身体をたくさん使う課題が出る学校が多いのも、小学校受験の特色です。もちろん学校にもよりますが、単純に記憶力のいい子を見極めているというよりは、入学後に先生や周りのお友達の話をきちんと聞けるか、指示が通るか、最後まで諦めずに一生懸命取り組めるかといった姿勢を評価している小学校も多いのが実情です。つまり、「机上でお勉強がよくできる子」だけが合格するわけではない世界なのです。身体を使う課題というのは、指示されたとおりの動きをする「指示行動」や、集団でゲームや遊びを通じて取り組む姿勢を評価される「行動観察」。その他、先生の真似をする模倣体操やボールの遠投やドリブル、鉄棒でのけんすいなど、幅広い課題があります。れみ「本当にさまざまな課題で評価がされますよね」大原先生「特に行動観察の課題は、私はプロジェクトマネジメントと呼んでいます。10分前後の限られた時間の中で、初めて会うお友達と協力してある一つの物事を行う。例えば、『巨大パズルを完成させましょう』という課題に対して、まずどうやるのか戦略を立てて、それに基づいて発言したり、行動したりしていくわけです。わずか5~6歳の子たちが考えることなので、うまくいかないのがほとんど。でも、その中で、『ああしてみよう』『こうしてみよう』と、子ども同士で議論をしてPDCAのサイクルを回して進めていく。本番のグループの中にはしっかり対策をしてきた子もいれば、いわゆる“記念受験”でなんの対策もしていなくて、奇想天外な発言や行動を始めてしまう子もいて。それでもなんとかみんなで、同じ方向が向けるように子どもたちが話し合って挑むなんて、かなりすごいことをやっていると思います」れみ「親の立場で見ていても、本当に難しいことに挑戦しているなと感じました」大原先生「さまざまな課題がありますが、『最後まで諦めずにやり抜く力』とか『柔軟に対応する力』とか『周りを思いやって行動する力』など、最近話題になっている“非認知能力”を測るものが本当に多いんです。出来不出来よりも想像力と課題解決力といった、試行錯誤して諦めずに最後まで取り組む姿勢を保つことが評価されます。そしてもちろん面接もあって、親自身のことも見られます。親も評価の対象になるというのも、小学校受験の大きな特色ですね」

小学校受験塾のリアルは……

ここまでの出題傾向を読んで。どう感じましたか? 今まで想像していた、いわゆる「お受験」のイメージが少し変わったのではないでしょうか。そして、そんな多種多様な課題に対応するため、専門の塾に子どもを通わせる家庭がほとんど。実際、小学校受験塾では、どのようなことが行われているのでしょうか。れみ「大手から個人まで本当にたくさんの塾があって、塾によって特色もさまざまですよね」大原先生「しっかりとペーパー対策をする塾もあれば、ペーパーは少しだけやって、あとの時間は所作や運動、行動観察の課題をこなすという塾もあります。厳しく指導が入るところもあれば、ほめて伸ばすタイプの手法を導入しているところもあります」れみ「娘にとっては、“お勉強”というよりは“楽しく教えてもらう場所”のようで、いつも楽しく通っていました。夏休み中は夏季講習がほぼ毎日あるような生活でしたが、一度も『行きたくない』とは言わず、むしろ『明日は○○作るんだ♪』『明日も今日やったのと同じゲームができると良いな!』と、次の日を楽しみにしながら過ごしていました」大原先生「娘さんに合った塾だったのですね。『この小学校に入れたいなら○○塾の△△校!』のような話も聞きますが、“絶対”というのはないので、その子自身に合った教室選びがとても大切だと思います」次回、二回目の対談では、小学校受験のメリット・デメリットについて深掘りしていきます。

お話を伺ったのは……大原英子先生

 (1657866)

東京大学卒業後、大手通信会社に勤務。その後、自身の母親が30年以上にわたり主宰する受験絵画教室のメソッドをもとに、2011年に小学校受験専門の幼児教室を設立。2022年には、教育の新しいかたちを提案すべく株式会社コノユメを設立。同年、オンラインと対面のハイブリッド型幼児教室「コノユメSCHOOL」を開校し、幼児教育業界で他社に先駆けてオンライン教材を導入。日本全国さらに海外在住の家庭からも高い支持を集め、多くの家庭に選ばれ続けている。https://www.konoyume.com/これまでに、慶應義塾幼稚舎・慶應義塾横浜初等部・早稲田実業学校初等部・雙葉小学校・白百合学園小学校・聖心女子学院初等科、暁星小学校、東京農業大学稲花小学校など、難関名門校への合格者を多数輩出。子どもが一人で学習できるオンライン教材や、親向けのコーチング・セミナーを通じて、「子どもと保護者をトータルに支える受験指導スタイル」を確立。その革新的な取り組みは、教育メディアやSNSでもたびたび取り上げられている。

【Profile】れみ(@kosodate_cheeringonallmoms )

 (1657849)

小3・年長・3歳を育てる3児のワーキングマザー。ひょんなことから英語力ゼロで米国の現地校に転入、国内の大学を経て大手商社に総合職として入社。海外出張経験は100回以上。TOEIC満点・英検1級・通訳案内士・TECSOL(児童英語教師資格)保有。1人目の育児で産後うつ、育児ノイローゼを経験したことから、現状打破のため脳育の観点から子育てを学び、子育てに関する資格を複数取得。(乳幼児教育アドバイザー1級・脳育ベビーマッサージセラピスト・育児インストラクター他)インスタグラムではママの心が軽くなる育児法やマインドセット、英語教育についてのあれこれを公開中。『ママの心の秘密基地』として本音を吐き出したり悩みを相談したりできるコミュニティサロンも運営中。https://mama-grid.studio.site/

Instagram:れみ(@kosodate_cheeringonallmoms )

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