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「両親の仲が悪かった」喧嘩ばかりの家庭で育った人に出やすい“心のクセ”とは

  • 2025.11.11

「うちの親、ずっとケンカばかりだった」。両親の不仲を見て育った人は、成長してからどんな“心の癖”が出やすいでしょうか。神谷町カリスメンタルクリニック院長の松澤美愛先生監修のもと見ていきましょう。

「両親の仲が悪かった」家庭で育った人には、どんな特徴がある?

「両親の仲が悪かった家庭で育った人」には、家庭内の緊張や不安の中で生きてきた経験が影響し、大人になってからの性格や対人関係、自己認識に特有の傾向が見られることがあります。

これは本人の責任ではなく、子ども時代の環境によって身についた“心のクセ”とも言えるものです。

他人の顔色を過剰にうかがう

幼少期から「今日は親がケンカしないだろうか」「怒られる空気かも」と家庭内の雰囲気を常に観察していた経験から、人の機嫌や空気に過敏になりやすい傾向があります。

  • 他人に気を遣いすぎてしまう
  • 「嫌われないように」が行動の基準になりやすい
  • 自分の感情より、相手の感情を優先してしまう

感情表現が苦手になる

家庭内で感情を出すことがトラブルの引き金になっていた場合、「感情は隠すもの」という考えが無意識に身についていることがあります。その結果、大人になっても自分の気持ちを素直に表現するのが難しくなりがちです。

  • 怒りや悲しみをうまく表現できない
  • 「大丈夫」と無理に平気なふりをしてしまう
  • 感情にフタをして、自分でも本音が分からなくなることがある

愛されることへの不安がある

両親の愛情関係が不安定だった場合、「愛されること=不安定で壊れやすいもの」という印象を抱きやすくなります。そのため、誰かに好かれても素直に信じられなかったり、試すような行動に出てしまうことがあります。

  • 相手の気持ちを疑い、試すような言動をしてしまう
  • 関係が深まるほど不安になる
  • 「自分は愛されにくい存在」と感じやすい

完璧主義や自己否定が強くなる

「いい子でいなければ親に迷惑をかける」「自分のせいで親がケンカしているのかも」といった思いを抱えて育った人ほど、完璧であろうとしたり、自分を責める傾向が強くなります。

  • ミスや失敗を過剰に恐れる
  • 「自分がもっと頑張ればよかった」と感じやすい
  • 人の期待に応えようと無理をしがち

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パートナーシップに不安を抱きやすい

両親の不仲を見て育った人の中には、恋愛や結婚に対してポジティブなイメージを持ちにくい人もいます。自分が安定した家庭を知らずに育ったため、どうしても将来に対する不安が拭えないのです。

  • 結婚に対して前向きになれない
  • 恋愛関係が壊れることへの恐怖が強い
  • 自分が家庭を築くことに自信が持てない

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次:会話もない“静かな不仲”「仮面夫婦」が子どもに与える影響

会話もない“静かな不仲”「仮面夫婦」も子どもに影響を及ぼす

「両親の仲が悪い」と聞くと激しい喧嘩や暴言をイメージしがちですが、怒鳴り合いすらない“静かな不仲”=仮面夫婦の家庭も、子どもの心に深い影響を与えることがあります。家庭の中に漂う“感情の不在”や“緊張感”に敏感に反応してしまう傾向があるのです。

以下に、仮面夫婦の家庭で育った子どもに出やすい特徴を解説します。

感情の出し方がわからなくなる

仮面夫婦の家庭では、怒りも愛情もあまり表に出されないことが多いです。その中で育つと、感情を出すこと=無駄・迷惑・不適切と学習してしまい、自分の気持ちを押し殺すクセがつきやすくなります。

  • 喜怒哀楽を素直に表現できない
  • 感情にフタをしてしまい、自分でも何を感じているか分からない
  • 他人の感情にも鈍感または過剰反応してしまう

「人は表と裏がある」と感じやすくなる

親が表面上は普通でも、実際には互いに心を閉ざしていたり、冷めきっていた関係であることを、子どもは敏感に感じ取っています。

その結果、人の言葉や態度を「本心ではないのでは?」と疑いやすくなる傾向があります。

  • 他人を素直に信用できない
  • 愛想の裏にある「本音」を探ろうとしてしまう
  • 表面的な人間関係に疲れやすい

親密な関係を築くのが苦手になる

家庭内に“親密さ”がなかった場合、自分自身も親密な関係の築き方を学べないまま大人になることがあります。

  • 恋愛や友人関係で距離の取り方がわからない
  • 距離が近づくと不安になる
  • 深い人間関係を避けてしまう傾向がある

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家庭に対する理想や不信感を同時に抱く

仮面夫婦の家庭で育った人は、「家庭=表面的には平穏、でも心は通っていない場所」というイメージを持ちやすく、自分が家庭を築くことに対して過剰な理想や恐れを抱くことがあります。

  • 「自分は絶対に親のようにはなりたくない」と強く思う
  • 家庭への憧れと不信感が共存している

「問題がないことが正しい」と思い込んでしまう

争いがなければそれで良い、という家庭で育った場合、自分の人生でも“波風を立てないこと”を最優先にしてしまうことがあります。

  • 衝突や対話を避ける傾向がある
  • 不満や希望を伝えることに強い抵抗がある
  • 「無難さ」を求めすぎて、自分を押し殺してしまう

傷は見えにくいけれど、確実に残る

仮面夫婦の家庭は、外から見ると「問題のない家」に見えがちです。しかし、子どもにとっては「愛情の交流がない」「本音の会話がない」「感情の表現がない」といった“孤独”が心の奥に残りやすい環境でもあります。

この影響は、本人も気づきにくいため、大人になってから人間関係や自己理解の中で「なぜか生きづらい」と感じる原因になることも少なくありません。

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次:両親の不仲な家庭で育った人の立て直し方

両親の不仲な家庭で育った人が、大人になってできる考え方

大人になった今、あの頃の自分を改めて見直すことで “心の癒し”や“新しい生き方”を築いていくことができます。

「あの環境は自分のせいではなかった」と知る

子どもは本能的に「親の機嫌=自分のせい」と思い込んでしまいます。しかし、大人になった今だからこそ、「両親の不仲は親同士の問題であり、自分には責任がなかった」と事実を整理してあげることが大切です。

「あのときの私に責任はなかった」
「子どもは親を幸せにする義務なんてない」

「自分には感情を持つ権利がある」と認める

仮面夫婦のような感情を抑えた家庭では、「怒るのは悪いこと」「泣くと迷惑がかかる」と学んでしまう人もいます。しかし本来、感情は自然で健全なもの。それを感じることも、表現することも、否定する必要はありません。

「怒っても、悲しんでもいい。悪い感情だと分類しなくていい」
「感情は敵ではなく、自分を守ってきたサイン」

人を信じることは「リスク」ではなく「選択」だと知る

親同士の信頼関係が崩れていた家庭で育つと、「人は裏切るもの」「信じると傷つく」という前提を持ちがちです。でも大人になった今、“信じる”かどうかを選ぶのは、あなた自身です。

「今の私は、誰を信じるか自分で選択ができる」
「もし裏切られても自分には立ち直る力がある」

親の不仲な姿を見て育ったとしても、それがあなたの未来を決めるわけではありません。

過去の環境が性格に影響を与えたのは事実ですが、今の選択や関わり方は、あなたが自由に変えていけるということも事実です。

監修者・松澤先生からのメッセージ

過去は変えられなくても、これから先の未来は自分自身の選択によって幾らでも変えていくことが出来ます。その可能性は無限です。

自分を人生の主役にしましょう。そうすることで、自分自身がとても大切な存在だと認識することが出来ます。

主役だと思えれば、今まで苦手だった感情表現にもチャレンジしてみようと思いませんか。自分を大切に出来るようになると、自分以外の人も大切に出来るようになり、良い人間関係が築けるようになります。

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監修者プロフィール

神谷町カリスメンタルクリニック院長 松澤 美愛先生

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic

<Edit:編集部>

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