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「順番を抜かすな!」カスハラ父が店で大騒ぎ…現代の常識とズレた“老害”の言動に娘は…【作者に聞く】

  • 2025.11.9
「こんな店、二度とくるか!早く潰れちまえ!!」お寿司屋で怒鳴り散らす父!周囲の冷たい視線が痛い... 画像提供:(C)西野みや子
「こんな店、二度とくるか!早く潰れちまえ!!」お寿司屋で怒鳴り散らす父!周囲の冷たい視線が痛い... 画像提供:(C)西野みや子

寿司屋で順番待ちをしていたとき、人数の少ない客がカウンター席に優先的に案内されると、「順番を抜かすな、非常識だぞ!」と店内で騒ぎ出す人物が。周囲から冷たい視線を浴びているのは、自分の父親だった――。現代の常識とのズレに気が付かず、古い価値観を押し付けてくる両親に煩わしさを感じる娘が主人公の漫画「わたしの親が老害なんて」を紹介するとともに著者の西野みや子さん(@miyakokko61)にインタビューを行った。

近所に住む親が煩わしい

【漫画】外に出ればクレーマー!!自分の親が老害? 画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA
【漫画】外に出ればクレーマー!!自分の親が老害? 画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA
「わたしの親が老害なんて」02 画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA
「わたしの親が老害なんて」02 画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA
「わたしの親が老害なんて」03 画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA
「わたしの親が老害なんて」03 画像提供:(C)西野みや子/KADOKAWA

主人公の栄子は夫と二人暮らしで、娘の美咲はすでに結婚し巣立っている。栄子の80代になる両親は近所に住んでいた。子どもが小さいときは助けになり、とてもありがたい存在だったが、娘が巣立つと、両親の存在が煩わしくなる。

元教員だった父、そして父には逆らわないが古い価値観を押し付けてくる母。いっしょに外出すれば店でクレームを言い、悪びれない親の代わりに栄子が謝罪することもあった。周囲から「老害」と呼ばれるのが、自分の親だなんて...。「長女の私が面倒みるしかないよね」「こんなふうに考える自分は薄情なんだろうか?」と、栄子は自問する。

そんなある日、妊娠した娘の美咲が帰省した。父と母は「つわりでほとんど食べられない」という美咲の声を無視してお寿司の出前を取り、「生ものは控えてる」と言えば「お祝いだから」「ちょっとくらいいいんじゃないか」といってきかない。さらには、「染めた髪は、赤ちゃんに悪い影響があるんじゃない?」と言い出して――?

「老害」は特別な存在ではない

本作をどのような経緯で制作することになったのか尋ねた。「『老害』というテーマは担当編集さんからいただいた企画です。私自身、誰かを明確に『老害』と感じた経験はあまりありませんが、限界集落で育った環境の中で、男尊女卑や古い価値観に触れる機会が多くありました」と語る。都会での一人暮らしを経て、改めて田舎の独特な考え方に気づかされたそうだ。「『老害』は特別な存在ではなく、誰の身近にも潜んでいる可能性があるのだと感じ、このテーマで描きたいと思うようになりました」

描いてみて「老害」とはどのようなものだと感じたかについては、「描きながら改めて感じたのは、『老害』とは特別な誰かを指すものではなく、私たちのすぐそばにあるものだということです。年齢に関係なく、自分の価値観や経験をほかの人に押しつけてしまったり、異なる文化や考え方を受け入れようとしない態度が、そうした摩擦を生む原因になるのではないかと考えています」と分析した。

無意識に体に染み込んでいるもの

本作で注目してほしいポイントについて聞いた。作者自身、「女性の生き方」「子育ての仕方」などの古い価値観に直面することが多くあったという。「私は妊娠中につわりが酷くファストフードを少量しか食べられなかったのですが、相手に悪気はないものの『二人分食べないと』と言われるのがプレッシャーになっていました。無痛分娩を視野に入れていましたが、出産の痛みはみんなが通った道だからと女性陣から反対を受けました」など、実体験を明かした。

「作中でも祖父母の『つわりへの対応』や『母親はキャリアよりも育児を優先すべき』という考えが、孫の美咲に及びます。娘の栄子も自分は美咲の味方だと思っているのですが、長年両親から言われていたことが無意識に体に染み込んでいることがわかると思います。そういった、私が体験してきた親世代やその上の世代から言われて感じた違和感を多く描いているので、注目していただけるとうれしいです」と語る。

「老害」は誰にでも潜む可能性があることを伝えたかったため、話を聞いてくれない祖父母や心配性で世話焼きな母親など、あえてどこにでもいるような登場人物にした。また、「誤解と理解」はほんの小さなきっかけで起こることも、この作品で描きたかったテーマの一つだという。

最後に読者へのメッセージとして、「『老害』という言葉はインパクトが強く、軽々しく使うべきではないと私も思います。でも、その実態は特別なことではなく、私たちの身近な人、そして自分自身にも起こりうるものです。この作品を通じて、『老害』とされる人たちの背景や、なぜそうなってしまったのかを知ることで、私たちもまた同じ道を歩まないように、自省するきっかけになればうれしいです」と結んだ。

取材協力:西野みや子(@miyakokko61)

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