1. トップ
  2. プーさんにバンビ、ピーター・パン、ピノキオが餌食に…童話をホラー化する映画スタジオ、知ってる?

プーさんにバンビ、ピーター・パン、ピノキオが餌食に…童話をホラー化する映画スタジオ、知ってる?

  • 2025.11.9

『マッド・ハイジ』(22)、『プー あくまのくまさん』(23)、『マッド・マウス ミッキーとミニー』(24)、『シン・デレラ』(24)…など、このところグッと増えているパブリックドメインとなった作品をホラーとして再解釈した映画たち。

【写真を見る】おとぎ話の人気キャラクターが、人を殺しまくるモンスターだったら…(『ネバーランド・ナイトメア』)

【写真を見る】おとぎ話の人気キャラクターが、人を殺しまくるモンスターだったら…(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
【写真を見る】おとぎ話の人気キャラクターが、人を殺しまくるモンスターだったら…(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.

権利切れの名作を凄惨な物語としてアレンジしたこれらの作品はユニークかつインパクト抜群。そのキャッチーさから人気を博しており、新作として『ネバーランド・ナイトメア』が11月7日から公開中だ。そんな本作をはじめとする作品群を手掛け、“児童小説悪夢化計画”を遂行中の“ジャギド・エッジ・プロダクションズ”をご存知だろうか?

多彩なB級映画を量産するジャギド・エッジ・プロダクションズ

ジャギド・エッジ・プロダクションズは、映画プロデューサーのスコット・ジェフリーと異業種から映画界に転職したリース・フレイク・ウォーターフィールドによって設立され、これまでにホラーを中心に50本以上の長編映画を制作してきたイギリスの映画制作プロダクション。

モンスターパニックなど、あらゆるB級映画を手掛けている(『Dinosaur Hotel』) [c] Jagged Edge Productions / courtesy Everett Collection
モンスターパニックなど、あらゆるB級映画を手掛けている(『Dinosaur Hotel』) [c] Jagged Edge Productions / courtesy Everett Collection

恐竜のほか、クモ、ワニ、ヘビなどあらゆる生物が襲いかかるモンスターホラーをはじめ、竜巻や地震、雷を扱った災害パニック、『Sunfall(原題)』というタイトルからも元ネタがわかるようなパロディ系作品まで見境なく人気ジャンルに手を出しまくり、B級映画を量産してきた。

童話をホラー化し大成功!クロスオーバー計画も進行中

スタジオきってのヒット作となった『プー あくまのくまさん』 [c] ITN Distribution / Courtesy Everett Collection
スタジオきってのヒット作となった『プー あくまのくまさん』 [c] ITN Distribution / Courtesy Everett Collection

またイギリスの伝承童謡“マザーグース”で知られる「ジャックとジル」や「ハンプティ・ダンプティ」など、ある種の“フリー素材”的な作品をモチーフにした映画も作り続けており、そのなかでヒットとなったのが、A・A・ミルンによる「くまのプーさん」を原作とした『プー あくまのくまさん』だ。

大学進学のためプーとピグレットを残して旅立ったクリストファー・ロビンが、結婚を機に森へと戻ると、そこには野生化したプーたちの姿が…とあらすじだけで思わず食指が動く本作は、10万ドルという超低予算な製作費に対し、全世界では500万ドル以上の興収を稼ぎだすスマッシュヒットに。

モンスターたちが邂逅する「プーニバース」構想も始動している(『子鹿のゾンビ』) [c] Seismic Releasing /Courtesy Everett Collection
モンスターたちが邂逅する「プーニバース」構想も始動している(『子鹿のゾンビ』) [c] Seismic Releasing /Courtesy Everett Collection

このヒットを受けて続編となる『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』(24)が作られると、シリーズだけでは飽き足らず「poohniverse(プーニバース)」としてまさかのシネマティック・ユニバース化。「バンビ」を原作とする『子鹿のゾンビ』(25)や「ピノキオ」を題材とした『Pinocchio: Unstrung(原題)』などがラインナップされ、それらのモンスターが一堂に会する『Poohniverse: Monsters Assemble(原題)』も予定されている。

ピーター・パンを誘拐犯として描く『ネバーランド・ナイトメア』

ピーター・パンをモチーフにホラーとして再構築している(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
ピーター・パンをモチーフにホラーとして再構築している(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.

「Poohniverse」にも名を連ねる『ネバーランド・ナイトメア』は、タイトルからも察しがつくように、J・M・バリーの「ピーター・パンとウェンディ」を原作に、闇堕ちしたピーター・パンが子どもも大人も次々と“夢の国”送りにしていく姿をゴア描写満載で描くスラッシャーホラー。

子どもをねらった誘拐犯ピーターに、弟を攫われた姉ウェンディが立ち向かう!(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
子どもをねらった誘拐犯ピーターに、弟を攫われた姉ウェンディが立ち向かう!(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.

彼氏とのロンドンでの新生活を夢見る大学生のウェンディ(ミーガン・プラシート)は、ある日、弟のマイケル(ピーター・デソウザ=フェイオニー)を学校に迎えに行くが、マイケルは忽然と姿を消してしまう。家にかかってきた一本の電話により、かつて世間を震撼させた連続誘拐犯のピーター・パン(マーティン・ポートロック)による仕業と判明すると、ウェンディは弟を助けだすため、“妖精の粉”でぶっとびながら凶行を繰り返すピーターを追い、そのアジトへと潜入するのだが…。

しっかりとゴアも描くところは信頼できるぞ!(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
しっかりとゴアも描くところは信頼できるぞ!(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
“妖精の粉”の中毒になってしまったティンカー・ベルも(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
“妖精の粉”の中毒になってしまったティンカー・ベルも(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.

子どもで居続けたい中年おじさん、ピーターの暗い過去が仄めかされたり、信じる心を持って浴びると空を飛ぶことができるという“妖精の粉”をドラッグと解釈したり、その薬物漬けにされたティンカー・ベルが登場したりと「ピーター・パン」をうまいことダークにアレンジしている本作。右手がフックにされた青年が突如登場するという無理矢理な部分もあるが、そんなところもご愛嬌として楽しめる1作だ。

手がフックになった青年が特に脈絡なく登場するのもご愛嬌!(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.
手がフックになった青年が特に脈絡なく登場するのもご愛嬌!(『ネバーランド・ナイトメア』) [c] 2025 ITN Distribution, Inc. All Rights Reserved.

バズった企画に総力を注ぎ込むたくましい姿勢で気軽に楽しめるホラーを量産しているジャギド・エッジ・プロダクションズ。題材はまだまだ尽きぬほどあるだけに、今後どの作品が彼らの“餌食”となるのか、気になるところだ。

文/サンクレイオ翼

元記事で読む
の記事をもっとみる