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「息子に連絡しないで」という遺言に従うべき?介護と相続のリアルな6つの悩みにアドバイス

  • 2025.11.9

「息子に連絡しないで」という遺言に従うべき?介護と相続のリアルな6つの悩みにアドバイス

「遠地の親の様子がなんだか変」「デイサービスを嫌がる親」——親が歳を重ねるにつれて、心配ごとが増えていきます。そんな「わが家の親問題」に答えるヒントがここにあります。新刊『親が75歳を過ぎたら知りたいことが全部のってる本』から、第5回は、介護や相続のリアルな6つの悩みに専門家がアドバイスします。

Q1 介護施設を嫌がる親は在宅介護すべき?

80代の親。せっかく特養に入所できたのに、そこで暮らすのを嫌がっていて困っています。退所したら同居で介護になり、私は介護離職になりかねません。親の気持ちを優先するのが親孝行でしょうか? それとも心を鬼にして無視?

A 無理をしない・抱え込まないをスローガンに
介護は「無理しない・抱え込まない」が基本。親の気持ちも大切ですが、介護する側が共倒れしては意味がありません。特養に慣れるまで時間がかかることもあります。

まずは施設側とよく連携して、少しずつ安心感をもってもらえるよう働きかけてみては。

Q2 遠地の親の様子がなんだか変

最近、母(70代)は物忘れがひどく、買ったものを忘れて在庫が過多になっています。病院に連れていくほどではないようですが、離れて暮らしているので、どうフォローしてよいかわかりません。

A 「ゆる見守り」をスタートして
買い物メモの写真を送ってもらう、定期的に電話で冷蔵庫の中をチェックをするなど、「ゆるい見守り」を工夫してみて。

物忘れが続くなら、地域包括支援センターなどに早めに相談を。受診のきっかけにもなります。

Q3 デイサービスを嫌がる頑固親父、どうする?

父は調子が悪いときが増え、デイサービスを利用してほしいのですが、頑固で嫌がっています。どうしたら説得できますか?

A 趣味仲間が見つかるとすすめて
「リハビリ」や「お風呂が快適」など、本人の興味や好みに合ったサービスの説明をしてみては。最近では麻雀やカラオケなど趣味や娯楽に特化した事業所もあります。

「体験利用」から始めるのも一つの手です。自分のペースで通えるとわかれば、意外と気に入ってくれることもあります。

Q4 介護した人が多く相続できる?

養父母が亡くなったあと、兄妹で相続争いが発生。同居の義兄が財産を全額もらおうとしています。確かに介護していたのは義兄夫婦ですが、同居と別居とで相続に差がつきますか?

A 介護の貢献度によって加算される可能性が
同居か別居かにかかわらず、原則として、法定相続分は同じです。しかし、同居や介護の貢献度が高い場合「寄与分」として加算される可能性があります。

話し合いがまとまらない場合は。家庭裁判所の調停も視野に入れて。

Q5 相続放棄のデメリットは?

母方の祖父が亡くなったあと借金が発覚。母も私の遺産相続放棄の手続きをしたいと思っています。相続放棄のデメリットはありますか。

A 一切の財産を放棄することになります
相続放棄すれば借金も含め一切の財産を受けとらないかわりに、返済義務を免除されます。「土地は放棄でも現金は相続」などはできません。判断は故人のプラスとマイナスの財産を見きわめてからにしましょう。

また放棄は相続開始を知った時点から原則3カ月以内なので、速やかな手続きが必要です。

Q6 息子に連絡しないでという遺言に従うべき?

80歳の叔母は50年以上前に離婚し、元夫側に息子が1人います。その息子とは疎遠で、姪である私に財産を残すという遺言書を書いたそうです。「自分の死後に息子と連絡をとるな」とも。遺言書があれば相続人に連絡をとらず、遺産を相続してよいのでしょうか。

A 法定相続人に通知せずに相続はできません
遺言書があっても法定相続人である息子には「遺留分」※があり、相続手続きにあたり確認や通知は避けられません。つまり「息子に連絡しないで」は無理、「全財産を姪に」という遺言どおりには進められない場合が。

トラブルを防ぐためには、弁護士に相談することが大切です。

※遺留分侵害額の請求
遺留分を侵害している相手に対して、相続人が最低限の遺産を確保するための請求。遺留分が侵害されたことを知った1年以内に相手を特定し、遺留分を計算して請求書を送付し、合意をとって清算する。

※この記事は『親が75歳を過ぎたら知りたいことが全部のってる本』主婦の友社編(主婦の友社刊)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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