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「まわりから『限界労働者みが深い』という感想が…」山崎怜奈(28)が明かす“働き方”と、「向き合わなくていい」と思う“風潮”

  • 2025.11.9

仕事にやりがいを感じながらも、時には疲れたり、自信をなくしたり——。そんな誰もが抱く揺らぎを、実直な言葉で綴ってきた山崎怜奈さん。最新刊『まっすぐ生きてきましたが』は、4年以上続く連載をまとめたエッセイ集。書き続けることで見えてきたと言う、心の整え方や働く意味、そして時代との向き合い方について話を伺いました。


「何のために働いているのか」という問いに答えが出せた

山崎怜奈さん。

――『Hanako web』での連載を4年以上続けてこられて、書き続ける中で気づいたことはありますか?

Hanakoという、食やカルチャーなどのライフスタイルの提案をする媒体で連載させてもらえることになって、自分の暮らしのことも振り返るようになりました。10代の頃から乃木坂46に在籍して、そこを離れてからもがむしゃらに働いてきたので、その視点を持てたことはとても新鮮だったし、大きな変化でした。暮らしを豊かにするってどういうことなんだろうということに着目して連載を続けてきたら、少しずつ解像度が上がってきた感覚があります。

今作は、Hanako webの連載をまとめた本としては2冊目なんですが、周りからは「前作より限界労働者みが深い」って言われていて(笑)。仕事は好きで頑張っているんだけれど、どうしようもなく疲れてしまう日とかもあるよね、ということを隠さずに綴っています。嘘をつけない不器用な人間なので、思うがままに書いていたら等身大の文章になりましたね。

――28歳の女性としての目線が色濃く表れている文章ですよね。仕事のやりがいを感じる一方で、時には疲れたり落ち込んだりもする。そのリアルさに『CREA』読者も共感されると思います。生活への眼差しの解像度が上がったことで、何か変わったことはありましたか?

心と体のバランスが整いやすくなりました。「私って、何のために働いているんだろう」とむなしく感じることが、いつの間にかなくなっていました。

山崎怜奈さん。

――「何のために働いているのか」という問いの答えは出ましたか?

「生活のため」と言い切れるようになりました。だからこそ、生活のためにきちんと休もうと思えるようにもなりましたし、自分の軸が太くなってきた感じがします。心がゆらいだ時に以前よりもずっと早く戻ってこられるようにもなりました。

――素晴らしいですね。うらやましいです。自分の機嫌をとるのがうまくなった感覚ですか?

そうですね。もともと自分の機嫌をとるのは得意なタイプではなかったんですが、機嫌の取り方のレパートリーが増えました。

――ご著書でも、自分の機嫌を良くするために自炊をすると書かれていらっしゃいますね。

あとは、踏んだり蹴ったりの状況に陥ったときは、一度引きで自分を見つめて、笑えるポイントを探すようにしています。今の瞬間だけを点で見たらつらいかもしれないけれど、少し引いて線として見てみると、「我ながら面白い経験してるんじゃない?」と思えることもあるんです。もちろん笑えないくらいダメダメな時もあるけれど、結局、何をどう面白がるかは自分次第ですから。

「論破」の風潮に向き合う必要なんてない

山崎怜奈さん。

――10代の頃からずっと第一線で活躍されているので、「自分に自信がない」と書かれていたのが意外でした。そんな気持ちを抱えながらも、人前に立ち続けるモチベーションはどこからきているんでしょう?

山崎怜奈さん。

応援してくれる人たちの存在がモチベーションの源です。ファンの方や読者の方々もそうですし、支えてくれるスタッフさんなど、自分の活動を見守ってくれている人たちの存在は大きいですね。自分のためだけには、頑張れなくなってきちゃうじゃないですか。歳を重ねるにつれて、自分のことをそこまで愛せないよ、という気持ちになってくる。お風呂だって入らずに寝ちゃうこともありますし。自分のことをそこまで可愛がれなくなっている今だからこそ、自分を必要としてくれる人や、愛情を向けてくれる人たちにとって、どんな存在でありたいのかを強く考えるようになりました。

――爆笑問題の太田光さんとの対談でも、ラジオという仕事をとても大切にされていると話していらっしゃいました。応援してくれるリスナーの反応を、より身近に感じられるからでしょうか?

ラジオって一番嘘を付けないメディアだと感じていて。私の番組は生放送なので、その場で口にしたことがすべてになってしまいます。人間性があらわになるので、「このリアクション違ったかも」と反省することは多いんですが、その分自分の言葉一本で勝負しているから、「いつもラジオ聴いてます」って言ってもらえるとすごく嬉しいです。

――山崎さんがパーソナリティを務めている『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』では、本当に幅広い方々をゲストに迎えていますよね。初めて会う人と話すときに、心がけていることはありますか?

本当にお会いしたくてお呼びしているんだ、という気持ちは、ご本人にもちゃんと伝わるように心がけています。私自身、インタビューを受けることもあるので、相手が自分に興味を持ってくれているかどうかって話しているとすぐに察するものだし、興味を持ってくれている相手のほうが、やっぱり話しやすいんですよね。

山崎怜奈さん。

――話しやすい環境を作ることは大切ですね。一方最近、会話は論破した方が勝ち、とにかく目立った方が有利、みたいな風潮も感じられます。選挙では、そういった人が人気を得ることも増えて来ましたよね。この現象にどうやって向きあえばいいのでしょうか。

こちらがしんどくなってしまうのなら、すべてに向き合う必要はないんじゃないかなって感じています。他人は変えられませんし、それよりも昨今で目立っている風潮に安易に便乗しないというか、自分らしくない言葉を使わないように努めることが、人としての一丁目一番地だと思います。自分の言葉で人を傷つけないように気を配り、支えてくれる人たちを大事にする。そういったことを積み重ねていくことで、自分の人生や言動に責任を持ちながら、健やかに暮らしていきたいと思っています。

山崎怜奈(やまざき・れな)

1997年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業。2013年に乃木坂46に加入し、2022年に卒業。TOKYO FM『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』でラジオパーソナリティを務める他、歴史好きとしても知られており、クイズ番組や教育番組にも多数出演。Hanako webにて「言葉のおすそわけ」を連載中。

▼衣装クレジット

ワンピース78,100円、ビスチェ30,800円/共にフミエタナカ(ドール 03-4361-8240)
ネックレス20,000円/ヨア
ハートリング、水晶つきシルバーリング 各20,900円/共にアグ
ピンキーリング25,300円、ピアス21,120円/共にノムグ
その他スタイリスト私物

文=高田真莉絵
撮影=深野未季
ヘア&メイク=鈴木かれん
スタイリング=細沼ちえ

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