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Q. 「子どもに銀杏を食べさせると命にかかわる」って本当?【管理栄養士が回答】

  • 2025.11.9
【管理栄養士が回答】「子どもに銀杏を食べさせてはいけない」という説には、科学的根拠があります。かつては死亡率が秋の味覚の裏にある意外な理由と、安全な食べ方のポイントをご紹介します。
【管理栄養士が回答】「子どもに銀杏を食べさせてはいけない」という説には、科学的根拠があります。かつては死亡率が秋の味覚の裏にある意外な理由と、安全な食べ方のポイントをご紹介します。

Q. 「子どもに銀杏を食べさせると命にかかわる」って本当ですか?

Q. 「秋になると銀杏を食べる機会が増えますが、小さな子どもには食べさせない方がいいのでしょうか? 先日、義母から『子どもに銀杏を食べさせたら命にかかわる』と言われ、不安になりました。アレルギーなどはないのですが、茶碗蒸しに入っているような小さなものでも危ないのでしょうか?」

A. 過去には大人でも死亡例が。小さな子どもは銀杏中毒を起こしやすく、食べさせない方が安全です

銀杏(ぎんなん)には「4-O-メチルピリドキシン」という毒性成分が含まれています。大人も食べ過ぎはよくありませんが、特に子どもはこの物質に対して感受性が高いとされているため、注意が必要です。

4-O-メチルピリドキシンはビタミンB6と似た構造をしています。そのため、体内でビタミンB6がすべき働きを妨げてしまい、けいれんや嘔吐、下痢、呼吸困難などの中毒症状を引き起こすことがあるのです。

日本国内においては、過去のデータで、銀杏中毒の死亡率は「約13%」(170例中22例が死亡)という報告があります。この数値は戦後などの栄養状態がよくない時期のもので、栄養状態の改善にともない、発症数や死亡数は減少してきました。

1969年以降は死亡例の報告はないため、過度に心配する必要はありません。しかし子どもは大人よりも代謝機能が未熟なため、わずか1~2個でも中毒を起こすリスクがああることは事実です。近年でも、銀杏を数個食べただけの幼児がけいれんを起こした事例も報告されています。

茶碗蒸しに入っている銀杏は、加熱されているので安全と思われるかもしれませんが、加熱しても銀杏の毒性は完全には消えません。炒り銀杏なども同様に、「火を通せば大丈夫」とは言い切れないのです。

銀杏を子どもに与える場合は、食べ過ぎは厳禁です。しっかりと親の目が届く場所で、1~2粒程度のごく少量にとどめましょう。できれば代謝機能が発達するまでは、小さな子どもには食べさせない方が安全です。

■参考
・Review of Ginkgo biloba-induced toxicity, from experimental studies to human case reports(英語)
・健常成人に発症した銀杏中毒の1例(PDF)

平井 千里プロフィール

メタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。

文:平井 千里(管理栄養士)

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