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伊達さゆりが異国の地で見つけた「自分らしさ」と20代の変化、2nd写真集『シルエット』撮影の舞台裏

  • 2025.11.10
伊達さゆりさん 撮影:藤原宏、ヘアメイク:島守沙也花、スタイリスト:ミク
伊達さゆりさん 撮影:藤原宏、ヘアメイク:島守沙也花、スタイリスト:ミク

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』の澁谷かのん役や同作品のスクールアイドルグループ・Liella!のメンバー、ドラマ・映画・舞台・ゲームなど幅広く活躍する声優の伊達さゆりさん。デビュー5周年の節目を前に、『伊達さゆり2nd写真集 シルエット』が刊行された。初めての香港・マカオで海外ロケを敢行し、香港トラムやモンスターマンション、マカオ・ラザロ地区といった異国ならではの風景の中で見せるさまざまな表情を収めた1冊だ。

ウォーカープラスは本作の刊行に際し、伊達さんに単独インタビューを実施。憧れだったという香港・マカオでの体験や写真集撮影の舞台裏、10代の1st写真集から20代の今に至るまでの自身の発見や変化を語ってもらった。

『伊達さゆり2nd写真集 シルエット』表紙
『伊達さゆり2nd写真集 シルエット』表紙

「今の私が好きと思っているもの」を凝縮!2nd写真集『シルエット』

――海外ロケや大人びた姿など、2nd写真集「シルエット」は1st写真集とはまた違った印象です。今作のコンセプトは?

【伊達さゆり】スタッフの皆さんとの初めての打ち合わせで「今の自分が思っている『好き』みたいな感情を詰め込みたいです」とお話ししたのを覚えています。香港とマカオはどちらもずっと前から行ってみたかった場所でしたし、衣装も「こういうテイストも着てみたいです」と、自分のわがままをたくさん聞いてくださいました。撮影時の“22歳の私が好きと思っているもの”がぎゅっと詰め込まれた写真集になっています。

――香港とマカオに行ってみたいと思っていたのはどんなきっかけがあったんですか?

【伊達さゆり】 (学生時代に)社会の授業の資料集で香港のモンスターマンションと言われている場所の写真を見たときに、その建物の密集具合に「こんなものが世界にはあるんだ!」って衝撃を受けたんです。そこから詳細を調べていくうちに気になって…。個人的に、たくさんの人が生活している活気や生命力のようなものを感じる場所が好きなんです。マカオは西洋とアジアの文化・雰囲気が混ざりあった場所で、香港から近いけど違った魅力を感じて、ぜひ行ってみたいと思いました。

圧巻のモンスターマンションをバックにした一枚 / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット
圧巻のモンスターマンションをバックにした一枚 / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット

――撮影時期はいつ頃でしたか?

【伊達さゆり】5月ぐらいに現地に行きました。湿気もあって、気温も日本より高かったので、結構涼しげな格好にもなりました。

――服装も伊達さんから意見を出しつつ選んで。

【伊達さゆり】そうですね。私はカラフルなものが大好きなので、1st写真集よりもいろんな色が印象的な服を着させてもらってるんです。赤、青、黄色、ピンクと。撮影前にちょっとお話させてもらったぐらいだったんですけど、すごいたくさんの衣装を用意してくださって。あとは、表紙になってるカットみたいなバルーンスカートの衣装もシルエットがかわいらしくて大好きなので、2着ぐらい着させていただきました。チューリップのお花みたいに、腰の部分がふわっとなっているような洋服だったり、私服として東京でも着たいけどなかなか難しそうな、私の目がハートになるような衣装をたくさん用意してくださったのでとてもうれしかったです。

マカオ・ラザロ地区の美しい石畳の通りにて / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット
マカオ・ラザロ地区の美しい石畳の通りにて / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット

――かわいらしい洋服もあり、一方でちょっと旅慣れた感じの軽やかな服装もあり、いろんな素敵さがありますね。なかでも、香港やマカオの風景で撮って印象的になったと思うカットはありますか?

【伊達さゆり】香港の夜景をバックにしたときの衣装は、実はスカートだけで履くような服をあえて上に持ってきて、ワンピースみたいな感じで着てるんですね。それがすごくおしゃれだなと思いました。言葉を借りるんですけど旅慣れている感じというか、現地の人みたいな印象を持ちまして。デコルテから脇にかけて結構がっつり開いている衣装で、普段着ていたら珍しいような目でもしかしたら見られるかもしれない露出具合の洋服も、こういう素敵な背景をバックに撮るとなんでこんなに溶け込んでしまうんだろう、ってあらためて思いました。

――写真を見ても、身構えた感じはなく、生活感のような雰囲気も感じます。

【伊達さゆり】行ってみたかった憧れの場所だったので、クールな顔をするのも素敵だなと思ったんですけど、あえて「これが日常です」みたいな笑顔もしてみたかったんですよね。そういう人になってみたいなって。実際には育ってきた環境も場所も全然違うのでそれはすごく難しいことなんですけど、なんだかこの場所にいるとそれが可能なような気持ちにもなってきて。自分の心までもオープンになるというか、全部さらけ出していいんだってちょっとした自信にもつながるのがすごく素敵だなって思いました。

「緊張よりワクワク」笑いの絶えなかった憧れの香港・マカオ

――ロケーション自体で特に心に残った場所はありますか?

【伊達さゆり】いっぱいありますが、私はモンスターマンションに衝撃を受けた身なので。モンスターマンションって、大体正面からしか撮らないんですよ。いろんな本に載っている写真も同じ画角なんです。その写真に写らない裏側に行けたのがめちゃくちゃうれしくて。マンションの後ろ側、横側、マンションに上がっていくまでの階段に行けたのが、個人的にはめちゃくちゃテンション上がって、ずっときゃあきゃあって笑いながら写真撮らせてもらいました。クールに決めるカットも、表情を決めるのが難しいぐらい(笑)。

――撮影時に意識したポイントは?

【伊達さゆり】私はクールに笑わずに撮るとき「変じゃないかな、今……」みたいにいろいろ考えてしまいがちなんです。決めなきゃ!って思いすぎるとうまくいかないことの方が多いので、たとえばこの丸い空間でのカットは、かわいい風景、かわいい構図、かわいいポーズ、かわいい色ってバランスに対して、あえてちょっとツンとした表情をすることを意識して撮らせてもらったりしました。自分の中でこの街に普段いる人という体で撮ることで、自分の心の持っていき方が変わってくるんだなってすごく勉強にもなりました。

引き算を意識したという表情にも注目 『伊達さゆり2nd写真集 シルエット』
引き算を意識したという表情にも注目 『伊達さゆり2nd写真集 シルエット』

――海外での撮影ということで、緊張も多かったのでは?

【伊達さゆり】実は今回の撮影が今までで一番長く海外にいる期間だったので、そういう意味でもドキドキはしたんですけど、結構ワクワクの方が大きかったです。やっぱり自分が行きたかった場所に連れていってもらいましたし、海外での生活はどんな感じになるのかなって。スタッフの皆さんも何度か一緒に作品を作ってくださった方々だったので、お仕事の撮影というより皆さんと旅行に来た感じというか、和気あいあいと常に笑いながら、すごく楽しい撮影でした。

――そうだったんですね。撮影期間中の裏話もいっぱいありそうです。

【伊達さゆり】やっぱり高温多湿な環境だったので、日本でもそうですけどそういう場所には虫がいっぱいいるんですよ……(笑)。路地裏みたいなところをスタッフの皆さんと写真を撮りながら歩いていたんですけど、もうみんなで「ギャー!」ってステップを踏みながら。その様子を別のスタッフさんが動画で撮ってくれていて、今でもたまに観返すぐらい楽しかったですね。初めて一緒にお仕事をする方とだとなかなかそういうこともできないと思うので、なんだか海外っぽいなと。

――伊達さんの満喫ぶりが伝わってくるエピソードです。その他にも印象に残っている出来事はありますか?

【伊達さゆり】こういう撮影のときって、人が多いところで撮ると、完成品は映り込んだ人をぼかしたり顔がわからないようにするのが普通だと思うんですけど、今回はあえて残しているんです。というのも、現地の方とコミュニケーションを取ることが結構多かったんですが、皆さんフレンドリーで写り込みを気にしなかったんです。たとえば、撮影したい場所に座っていたおじさまに「ここで写真を撮りたいんです」って声をかけたんですけど、「全然いいよ。なんだったら僕も全然写っていいよ」みたいに答えてくださって。「私も混ぜて!」と言ってくださる方もいて、実際に使わせてもらったカットもあります。

――写真集の中で、伊達さんが「読者が驚くかも」と思うカットを挙げるなら?

【伊達さゆり】ホテルのバスルームで撮った、今まで撮ったことがないような大人っぽいカットがあります。美しさと大人っぽさの境界線ってすごく難しいのかな、たとえばもっと水が多かったらさらに大人っぽいカットになるのかな、って思いながらの撮影でした。髪が濡れすぎてしまうと「ザ・お風呂」という感じで撮りたい方向性と違ってしまいますし、ライトの感じも本当に綺麗に撮ってもらって。バランスがすごく難しいんだな、ミリ単位の世界だなと感じました。

「私ってこういう顔が“らしい”んだ」デビューから5年、積み重ねが生んだ変化

――今までのお話で、伊達さんがカットの意図や演出をすごく考えていたのが伝わりました。10代の時の1st写真集から約3年、20代になったことでそういう視点がより深まったのでしょうか?

【伊達さゆり】1st写真集のときは、スタッフの皆さんがいろいろたくさん考えてくださっていたんですけど、今回は私もこういう風に撮りたいなって意見を反映させてもらっての写真集だったので、より皆さんが動いてくださるのをすごく近くで見させてもらったり、自分の中では、皆さんとより距離が近づいての撮影だったんです。スタッフの皆さんはこうやって動いてくださっていたんだというのを3年越しに知るという貴重な体験をさせていただきました。

香港トラム内でのアンニュイな表情 / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット
香港トラム内でのアンニュイな表情 / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット

――撮影スタッフとの信頼関係も大きかったんですね。

【伊達さゆり】今回は「このカットさゆりちゃんっぽいね」みたいな言葉をスタッフさんがよく言ってくださって、これは初めての方からはあんまり出てこない言葉だなと思っていて。ずっと支えてくださったからこそ、私が好きそうなことや私っぽさをわかっていて、そう言われることで「自分ってこういう人なんだ」って知ることもできました。この写真集には自分らしさみたいなものも入れたかったので「あっ、私ってこういう顔が“らしい”んだ」って、長年一緒にやってきてくださったチームの皆さんから教えていただけてうれしかったです。距離がより近づいたからこそ生まれた会話なのかなと思って、積み重ねを感じて一つひとつの会話に感動していました。

――そういう声もあって、自分らしさに気付いてきたのが20代になっての発見とも言えそうですね。

【伊達さゆり】私もどういう表現の仕方が自分らしいのだろうといつも思っていて。多分これはずっと正解がなく変わっていくものだと思うので、難しいことではあるんですけど、今の私は今しか表現できないと思うので、より近くで見てくださっている方からそういう言葉をいただけたのは「じゃあこのまま、この部分はこうしていていいんだ」って自信にもなりましたし、「じゃあこういう風に表現したい場合は、自分のここをちょっと変えてみようかな」って道筋も作ってくださった感じがあって、感謝だなって思いました。ありがとうございます。

プールでのみずみずしい笑顔 / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット
プールでのみずみずしい笑顔 / 伊達さゆり2nd写真集 シルエット

――2nd写真集はデビュー5周年の節目でもあると思います。これまでを振り返って自分が変わったと思うところは?

【伊達さゆり】 私は感情の波が結構激しくて、1st写真集を撮ったころはデビュー直後ということもあってもうわからないことだらけで……。一つひとつのことに対して、グワングワンと感情が揺れ動いていたんですが、それがだんだんとですけど、少しずつ冷静になれる部分が増えてきたかなって感じます。ただ、些細なことで気にしすぎちゃったり、逆にちょっとしたことでもうれしいときはもうずっとうれしいって思っちゃって、この性格と付き合っていくのが結構しんどくなっちゃうときもあったんですけど、本当にいろんな経験をさせていただくことで「あれを1回経験してるから大丈夫、大丈夫」って、自分でちょっとずつ落ち着かせることが以前よりは増えてきたかなとは思いますね。

――最後に、新たな節目を迎える伊達さんの、これからへの思いを教えてください。

【伊達さゆり】私は声で表現することが大好きですし、自分の声も好きなので、私がそう思っていることを応援してくださっている皆さんが「好き」って言ってくださることはもっとうれしいです。でも、自信があるわけではまったくなくて。なのでこの声を使って、自信がつくようなお仕事だったりをもっといただけるように努力していきたいと思っています。

 撮影:藤原宏、ヘアメイク:島守沙也花、スタイリスト:ミク、衣装協力:カーディガン(6600円)/オルドット、ワンピース(1万2100)/ダーリッチ、そのほかスタイリスト私物
撮影:藤原宏、ヘアメイク:島守沙也花、スタイリスト:ミク、衣装協力:カーディガン(6600円)/オルドット、ワンピース(1万2100)/ダーリッチ、そのほかスタイリスト私物

取材・文=国分洋平

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