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「すごく緊張しやすい性格ですが…」声優・早見沙織が明かす『プレデター:バッドランド』で意識した“役への向き合い方”

  • 2025.11.7
早見沙織さん。

「プレデター」シリーズ最新作、『プレデター:バッドランド』でアンドロイド・ティアの日本版声優を務めた早見沙織さんにインタビュー!

シリーズで初めてプレデターが“主人公”となる本作の魅力と、ご自身が演じたティアの役作りについてお聞きしました。


――『プレデター:バッドランド』で、ティア役日本版声優のオファーを受けた時のお気持ちをお聞かせください。

実は、「プレデター」シリーズの新作映画が公開になることは、オファーをいただく前から知っていました。ティアを演じたエル・ファニングさんが、インスタグラムで予告映像を投稿されたのを拝見して、面白そうな作品だと思っていました。

これまでにない新しいプレデターが観られそうだと楽しみにしていたので、日本版声優のオファーをいただいた時は、驚きとともに、すごく嬉しかったです。

早見沙織さん。

――これまでの「プレデター」シリーズへの印象は?

「プレデター」シリーズは、幼少期に親が観ていたのをきっかけに、私も観るようになりました。私の中では、得体の知れない怖い存在で、“戦いに強いハンター”というイメージがあったのですが、本作でそれがガラリと変わりました。

――どんなふうに変わったのですか。

これまで、狩りをする戦士として描かれてきたプレデターは、敵役として登場することがほとんどでした。それが、本作では初の主人公です。しかも、アンドロイドのティアが介在することで、プレデター・デクの思考が言語化され、「プレデターは、こんなことを考えていたのか」と、親近感が湧きました。

孤高のハンターのプレデターが、誰かとバディを組むのも本作が初めてです。ティアと関係性を構築していく過程でも、プレデター・デクの気持ちに寄り添うことができた気がします。

――人間ではない、アンドロイドという役にどう向き合われたのか教えてください。

アンドロイドというと、感情の起伏に乏しいイメージを勝手に抱いていましたが、ティアはすごく表情が豊かです。陽気でチャーミングなキャラクターなので、私自身も楽しみながら収録に臨みました。

私は緊張しやすい性格で、はじめての現場はどうしても緊張してしまうことが多いんです。ですが今回は、できるだけ自分の心を開いて、開放的な気持ちで最初のシーンに臨みました。

早見沙織さん。

――アンドロイドというよりも、ひとりのキャラクターとして向き合った?

そうですね。ティアを演じるにあたっては、「アンドロイドだからこうしよう」というのは、むしろ考えないようにしていました。

それよりも、誰よりも豊かな表情をもち、デクと積極的にコミュニケーションが取れる能力を有するなど、人間やアンドロイド、プレデターといった“種”の垣根を越えて交流ができるティアというキャラクターを大切に演じました。もしティアが人間だったのであれば、まったく違う演じ方になっていたかもしれません。

声でどう表現するのか悩みました

早見沙織さん。

――実際にティアを演じたエル・ファニングさんのお芝居はどのように意識されましたか。

もともとエル・ファニングさんのお芝居や声の表現が大好きなんです。今作ももちろんそうですが、私がこれまで吹き替えで担当させていただいた別の作品でも、エル・ファニングさんが演じる陽気でコミカルな表現やお芝居は、しっかりと私の中に残っているので、声の抑揚や声色など、彼女の持つ雰囲気や魅力を、日本語でも損なわずに表現したいと思いました。

――チャーミングなセリフが多かったということですが、実際に演じてみて、特に印象的だったセリフはありますか。

具体的なセリフではありませんが、出会った瞬間からずっと一人で喋り続ける、デクとの出会いのシーンは「ティア節全開」だと思っています。

デクから遠く離れるシーンもティアらしいセリフが出てきます。泣き言や恨みを口にするのではなく、置かれた状況を楽しむ、というのがティアらしくて、とても好きなシーンです。

エル・ファニングさんの表情も本当にチャーミングなので、アフレコしていても楽しかったです。

早見沙織さん。

――役作りにおいて、どんなところが大変でしたか。

エル・ファニングさんは今回、陽気でおしゃべりなだけでなく、ものすごくシリアスな表現もされています。その広い振り幅を、日本語の声でどう表現していくかは、かなり悩んだところです。どういう雰囲気で、どこまで声を変えていくのかは、正解がないので、音響監督やスタッフのみなさんにたくさんアドバイスをいただきながら、少しずつ声を決めていきました。

――監督からはどのようなアドバイスがあったのですか。

「声にしっかり振り幅をつけていい」と言っていただきました。そのお言葉をいただくまでは、自分のなかで、いちキャラクターを演じるにあたり、どの程度変化をつけてよいのか迷っていたのですが、「しっかり変えてやってみましょう」と言われて手がかりがつかめました。

――早見さんがお考えになる本作の魅力を教えてください。

本作は「プレデター」シリーズとはこういうもの、という固定概念を根底から変える作品になっていると思います。初代から受け継がれてきた、狩りをするプレデターの戦いの流儀や信念はブレずに、これまで観たことがない新しいプレデターに出会えるのは、本作のいちばんの魅力だと思います。

もちろん、プレデターに“相棒”が生まれる、という点も大きな見どころです。自分以外の誰かとタッグを組み、共に息を合わせる。そんなプレデターをあなたは見たことがありますか、と大きな声でおすすめしたいです。

ぜひ劇場の大きなスクリーンで、プレデターとアンドロイドという規格外コンビをお楽しみください!

早見沙織(はやみ・さおり)

声優。5月29日生まれ、東京都出身。中学3年のときに声優デビューを果たす。主な出演作は『鬼滅の刃』(胡蝶しのぶ役)、『SPY×FAMILY』(ヨル・フォージャー役)、『ONE PIECE』(ヤマト役)等。2025年には、『雨と君と』主人公の藤役、『ブスに花束を。』主人公の田端花役などがあり、2026年1月からも『魔術師クノンは見えている』主人公のクノン役などで出演予定。

文=相澤洋美
撮影=松本輝一

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