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大事な物だけを残す。Vlogger・深尾双葉さんが物を手放すようになったきっかけ

  • 2025.11.6
「捨てる」というよりも「大事な物だけを残す」 (C)深尾 双葉/KADOKAWA
「捨てる」というよりも「大事な物だけを残す」 (C)深尾 双葉/KADOKAWA

石川県在住のVlogger・深尾双葉さん。6年前から始めたYouTubeでの衣食住にまつわる動画投稿が人気を博しています。現在は築35年の賃貸マンションで夫婦2人暮らし。その生活のなかでの気づきや、心動かされた瞬間、厳選した暮らしの道具。そして「物を手放す」といったテーマをメインに発信を続けています。

都内での雑貨店勤務や、金沢市で器と古道具の店を営んだ経験もあることから、かつては収集癖とも呼べるほど物への執着が強かったという深尾さん。その意識に変化が起きたのは、2024年元旦に発生した能登半島地震でした。この災害をきっかけに「物を所有する意味とは一体、何なのだろう」という気持ちが込み上げ、半ば衝動的に「物を手放す」というアクションを起こすことに。

その結果、「今の自分には何が必要なのか、本当に大事にしている物は何なのか」など、自分自身と向き合う時間が生まれ、新たな価値観とともに軽やかに暮らせるようになったそう。

「ほんとうの豊かさ」を見つめ直し、「物を手放す」ためのヒントを、深尾さんのエピソードからご紹介します。

※本記事は深尾 双葉著の書籍『ほんとうの豊かさに出合うための9週間 部屋と心が自然に整う“一生もの”の暮らし』から一部抜粋・編集しました。

「残す」という意識が手放しの鍵 (C)深尾 双葉/KADOKAWA
「残す」という意識が手放しの鍵 (C)深尾 双葉/KADOKAWA

物への強い執着があった手放し前

物の手放しを始める理由は人それぞれですが、私の場合は「人生を変えたい」といった強い思いがあったわけではありません。身構えずに、心の赴くままにやってみたことが、うまくいく秘訣だったのかもしれないと今は感じています。

能登半島地震をきっかけに一時的に物への興味を失い、収集してきた器や古道具、家具などを次々と手放しました。ですが、もともと物への思いは強く、執着といってもいいほどの情熱を傾けてきました。

姉の影響もあり幼い頃からファッションが好きで、雑誌を見ながら「欲しい物リスト」を作り、洋服を見に出かけたりと、肝心の勉強はそっちのけで夢中になりました。当時から物を所有することに喜びを感じていたので、洋服の他にも、好きな雑誌やCD、雑貨などカテゴリーも問わずさまざまな物を集め続けていました。

大学卒業後に上京した時には、それらを十畳のアパートにすべて運び込みました。一人暮らしの心細さや寂しさを、愛着のある大量の物で紛らわしたかったのかもしれません。収集癖といってもいいほどの強い執着を持っていた私が、物を手放し始めるとは想像もしていませんでした。

雑貨などカテゴリーも問わずさまざまな物を集め続けていた (C)深尾 双葉/KADOKAWA
雑貨などカテゴリーも問わずさまざまな物を集め続けていた (C)深尾 双葉/KADOKAWA

「残す」という意識が手放しの鍵

物を手放すと聞くと、その言葉の通り「何を捨てるか」ということから考え始めると思います。ただ、実際にやってみると、「捨てる」というよりも「大事な物だけを残す」という感覚の方が強いのです。

物を手放すという行為は同じでも、「捨てる」と「残す」のどちらに意識を向けているかで、後々の暮らしに大きな違いが生まれると思います。

今の自分には必要ないと感じる物を手放すことは、言い換えれば、ほんとうに大切な物だけに囲まれる暮らしを手に入れることでもあります。

本棚に並ぶ本を見ればその人の好みや人間性が感じられるように、物にはその人の過去や選んだ時の気持ちが反映されていると感じます。

今、手元にある物と向き合い、「なぜ残したいのか」あるいは「なぜ手放すことにしたのか」と自分に問いかけることは、自分の人生観や価値観などと向き合う時間でもあります。今、必要な物が何なのかを判断するうちに、自然と自分の内面を掘り下げることになるのです。

私の場合、膨大な物と向き合う中で明らかになっていったのは、物に執着する理由でした。人から評価されるためだけの持ち物で固めて、自分自身を表現しようとしていたことに気がついたのです。

「捨てる」というよりも「大事な物だけを残す」 (C)深尾 双葉/KADOKAWA
「捨てる」というよりも「大事な物だけを残す」 (C)深尾 双葉/KADOKAWA

たとえば買い物をする時、私の喜びのピークは購入して開封する時にありました。欲しかった物が手に入って嬉しいはずなのに、「もっと人と違う物を持ちたい」といった理由で、すぐにまた別の物を手に入れたくなってしまう。SNSを見れば、新たな物の情報があふれていて、物欲は常に更新されていく状態でした。

物の力を借りて、私は素敵な人間になったのだと勘違いをしていました。発信を仕事にしているので、「私が選んだ物を見てほしい、認められたい」という承認欲求はとても強かったと思います。

夜な夜なパソコンと向き合い、惹かれた物を買い集めながらも、心の奥底にはずっとかすかな違和感があったのかもしれません。そのギャップがあったから、いつまでも心が満たされず、どこか息苦しさを感じていたのだと理解できました。

手放しの過程では、家のあらゆるスペースで物と向き合い、まるで自分自身との対話の「100本ノック」をするように、残す物を選択していきました。

手放しの過程では、家のあらゆるスペースで物と向き合い、まるで自分自身との対話の「100本ノック」 (C)深尾 双葉/KADOKAWA
手放しの過程では、家のあらゆるスペースで物と向き合い、まるで自分自身との対話の「100本ノック」 (C)深尾 双葉/KADOKAWA

著=深尾 双葉/『ほんとうの豊かさに出合うための9週間 部屋と心が自然に整う“一生もの”の暮らし』

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