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「バラエティ番組に出るとプレッシャーが…」堤真一が語る、歳をとっても“学び続けること”の面白さ

  • 2025.11.6
堤真一さん。

舞台、映画、ドラマと幅広く活躍する堤真一さん。「まだ何も知らない」という謙虚な姿勢で、挑戦と学びを重ねています。俳優という仕事の難しさ、若い世代から受ける刺激、そして「自分を認める」という新たな気づきについて語ってくれました。


「よくやってるな」と自分を認めてあげたい

堤真一さん。

――映画や舞台、ドラマなどさまざまな現場で活躍される一方で、このように取材を受けたり、バラエティ番組にも出演されたりしていますよね。どのように気持ちを切り替えていらっしゃいますか?

切り替えるって言うほどのことは何もしてないんです。でも役者以外の仕事は、どこか「よっこらしょ」という気分にはなりますね。

――「よっこらしょ」とは?

やっぱりバラエティ番組に出ると、「面白いことを言わなきゃいけないのかな」とプレッシャーを感じます。だから、芝居とはまた違った気合いの入り方になりますね。(明石家)さんまさんの番組などは、さんまさんが全部面白くしてくださるので、こちらが何かする必要はないんですけど、それでもさんまさんが楽しそうにしてくれたらいいなぁと思って余計な緊張をしてしまう。バラエティは出ていてとても楽しいし、勉強になるんですが、やっぱりいつまで経っても慣れません。

――長年第一線で活躍されていますが、やる気をキープするために意識していることはありますか?

うーん。普段から意識していることっていうのが本当にないんです。

――他のインタビューでは、「趣味がない」とおっしゃっていました。

そうそう、趣味もないんです。つまらない男でしょ(笑)?

――いえいえ、そんな風には見えません。では、仕事が嫌になることはないですか?

もちろん、ありますよ。俳優ってやっぱり奇妙な仕事なので、全くの他人を理解して演技しなければいけないから、その人物についてたくさん考えてしまう。気づけば頭がそれでいっぱいになってしまって眠れなくなることもあります。自分も含めてよくみんなこんな大変なことをやってるなぁ、と思います。

堤真一さん。

――心も体も使うお仕事ですよね。

そうなんですよ。なので他の人が出演している舞台を観ると感動します。

努力すればもっと良い演技ができるはずだと、つい考えてしまいがちなので、自分を褒めるというのは本当に難しいことなんですが、「よくやってるな」と認めてあげることも大切なんじゃないかと、最近は感じています。人生は長いし、これからも失敗したり、思い通りにいかなかったりすることはきっとたくさんあるでしょう。でも、だからこそ、自分をきちんと認めてあげられる環境を意識的につくっていかないといけないなと思っています。

「自分はまだ何も知らない」という意識を持つように

堤真一さん。

――かつて他のインタビューで「学べる環境に身を置くことが大切」と語られていましたが、今も意識して取り組まれていることはありますか?

特別に何かを学んでいるわけではありませんが、「自分はまだ何も知らない」という前提を常に意識するようにしています。これまで培ってきた価値観や、今身を置いている環境はすごく狭いことを頭に入れていないと、新しいことを拒否してしまいそうなので。

もういい歳になったんだからこそ、いろんなことを柔軟に受け入れて、学び続けなければいけないと思っています。歳をとると、自分を守るためなのか、心地よくいるために自分の領域を狭めてしまいがちです。そうならないように意識的に視野を広げようと努力している最中です。

――どうしてそんなに自然体で、謙虚でいられるんでしょう?

そんな立派なものじゃないですよ。いまの若い世代の子はみんな才能があってのびのびやっているので、見習うことが多いですし、勉強になります。今作の三宅監督も僕よりずっと下の世代ですが、才能に溢れています。ちょっと切ないけど思わず笑えるようなエピソードを絶妙なバランスで散りばめていて、本作を「人生ってなんだかんだ面白いよね」と感じさせてくれる作品に仕上げている。完成したものを観て、さすがやなぁと改めて感じました。

それに比べて自分は感情がコントロールできないこともあるし、何もできてないなって感じることも多い。なので自分を責めてしまうこともあるんですが、責めてばかりじゃ良くないですし、ちゃんと褒めてあげようとは意識しています。

――先ほどの「よくやっている自分を認めてあげる」というお話に繋がりますね。

そう。自分のいる世界を広げていくためにも、まず自分を認めてあげることは大切なのかな。

堤真一(つつみ・しんいち)

1964年7月7日生まれ、兵庫県出身。『弾丸ランナー』(96/SABU監督)で映画初主演を果たし、2000年放送のドラマ『やまとなでしこ』で幅広い世代の支持を獲得する。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞ほか国内の映画賞を多数受賞。本年は、NHK 連続テレビ小説『ばけばけ』、舞台『ライフ・イン・ザ・シアター』に出演。

文=高田真莉絵
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=奥山信次(barrel)
スタイリスト=中川原寛(CaNN)

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