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27年前、火花のように飛び込んだ“160万の衝撃” 人気バンドの“決定打”となったワケ

  • 2025.11.26

「27年前、あのギラついた夜の衝動を覚えてる?」

街のネオンが雨に滲んで、どこか焦燥と高揚が同時に胸をかき立てていた1998年の春。景気の明暗が入り混じり、社会は不安を抱えつつ、それでも前へ走り抜けようとしていた。そんな空気の中、まるで火花のように飛び込んできた1曲があった。聴いた瞬間、誰もが息をのみ、心拍数が上がる。あの時代を象徴する“衝撃”だった。

GLAY『誘惑』(作詞・作曲:TAKURO)――1998年4月29日発売

リードギターの鋭いカッティング、めまぐるしく点滅する情景のようなアレンジ、そしてヴォーカルが放つ熱量。そのすべてが、98年という時代の速度と狂気を封じ込めていた。

灼けつく音と衝動が走り抜けた“瞬間の力”

『誘惑』はGLAYの中でも、特にロックバンドとしての本能がむき出しになった作品だ。作詞・作曲を手がけたTAKUROが描くメロディは、緊張と解放が繰り返されるスリリングな構成で、わずか数秒でリスナーを曲の“中心”に引きずり込む。

イントロのギターからすでに、当時のシーンの中で突出したスピード感があり、曲全体を貫く攻撃的なビートは、GLAYのイメージを一段階上のフェーズへ押し上げていった。

さらに、この曲がCMで流れた瞬間に受けるインパクトは凄まじかった。TDK「ミニディスク XAシリーズ」の映像と共鳴し、街の空気にまで火花が散るような存在感を放っていた。

流れたら最後、耳から離れない。そんな強烈な印象が、多くの人の記憶に刻まれている。

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1998年、GLAY西武ドームコンサートより(C)SANKEI

なぜ、この曲はここまで人を惹きつけたのか

『誘惑』の魅力は、GLAYの持つメロディアスな側面と、ロックバンドとしての激しさが奇跡のように同居している点にある。

Aメロでは抑制が効いた流れをつくりながら、サビで一気に爆発する起伏。そのダイナミクスは、当時のリスナーだけでなく、バンドを知らなかった層にも刺さった。

歌声は力強く伸び上がりながらも、どこか危うい。“情熱”と“破滅の匂い”が絶妙に混ざり合う、そのギリギリの温度が、曲全体を官能的にしている。

GLAYの作品の中でも最も“熱が暴れている”と評されることの多い理由は、この温度感にある。

社会の速度が増していく中で生まれた“象徴的な一曲”

98年といえば、音楽シーンはミリオンセールスが連発され、J-POPが巨大な勢いを持っていた時代。激化する競争の中で、『誘惑』はランキング初登場1位を獲得し、最終的には160万枚以上を売り上げる特大ヒットとなった

当時のGLAYはアルバムもシングルも破竹の勢いで、既にスタジアムクラスの動員を誇る存在だったが、この曲はその人気をさらに広げる“決定打”となった。

タイアップの影響力だけでは説明しきれない、純粋な曲の強さ。そこには、バンドの勢いと、リスナーの心情が見事に重なった“時代の合致”があった。

また、アレンジや演奏は決して過度に装飾されていない。むしろ直線的で、生々しい。だからこそ、曲の持つ“本能の力”がそのまま届くのだ。

胸の奥でいまも脈打つ、“あの速度”の記憶

『誘惑』は、約四半世紀が過ぎた今もなお、ライブで鳴らされると会場の空気を一気に揺らす。年代を問わず体が反応してしまうのは、この曲が“ロックの衝動”を最も純粋な形で閉じ込めているからだ。

あの頃の街の匂い、夜の色、焦燥と期待が入り混じった空気、そのすべてが、イントロの瞬間に蘇る。

時代の速さにも負けないほどの熱を持った曲は、時間を超えてしまう。

『誘惑』はまさに、そんな永続性を備えた一曲だ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。