「不倫は絶対許せない」と言ってた親友が私の旦那と手を繋いでいた…我慢できず問い詰めた結果【短編小説】

「不倫は絶対許せない。する方もされる方も不幸になるだけ。」

それが親友の口癖でした。
正義感が強くて、白黒ハッキリさせたいタイプ。
私はそんな彼女をずっと信頼していました。
まさか、あんな裏切りが待っているなんて夢にも思わずに。

あの日、私は仕事の用事が早く終わり、駅前のカフェで一息ついていました。
ふと窓の外に目をやると、見慣れた二つの背中が。私の夫と、あんなに不倫を憎んでいたはずの親友でした。
二人は楽しそうに笑い合い、ごく自然に手を繋いで歩いていたのです。

頭が真っ白になりました。
心臓が冷たい手で掴まれたようでした。
私は気づいたら、カフェを飛び出し、二人の前に立ちはだかっていました。

「……どういうこと？」

震える声で、それだけ言うのが精一杯でした。
夫は目を丸くし、親友はサッと顔を青くして手を離しました。

「あ、いや、これは…」「違うの、これは…！」

二人の慌てた姿が、すべてを物語っていました。
あんなに「許せない」と言っていた彼女が、今まさにその「許せないこと」をしている。
怒りよりも先に、裏切られた悲しみと、目の前の現実が信じられないという混乱が押し寄せてきました。

結局、二人は言い訳を重ねましたが、私はもう何も聞きたくありませんでした。
あれだけ固く信じていた親友の言葉も、夫とのささやかな生活も、すべてが嘘だったように感じました。

私はその場で二人と別れ、今は離婚と引っ越しの準備を進めています。
「絶対許せない」と言っていた彼女は、本当は何が許せなかったのでしょうか。
今となっては、それは「自分が当事者ではない不倫」だけだったのかもしれません。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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