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浅草からも徒歩圏♪下町・向島で老舗の和菓子「言問団子」にほっこり

  • 2025.11.2

浅草に程近い向島界隈は、どこか昔の風情を残す粋な下町。その向島の墨田川沿いにある「言問団子(ことといだんご)」は江戸時代の終わりに創業した菓子処です。創業当時はお団子だけ。その後、最中が加わり、たった2種類しかない和菓子の味は長い時を経て受け継がれ、今なお人々に愛されています。

浅草からも徒歩圏♪下町・向島で老舗の和菓子「言問団子」にほっこり
浅草からも徒歩圏♪下町・向島で老舗の和菓子「言問団子」にほっこり

店名にも菓名にもなっている言問団子

浅草からも徒歩圏♪下町・向島で老舗の和菓子「言問団子」にほっこり
小上がりスペースのある広々とした店内はお茶屋を思わせるたたずまい

東武伊勢崎線・地下鉄浅草駅から隅田川沿いにそぞろ歩くこと15分。向島ICのすぐ脇に「言問団子」は店を構えます。平安時代の歌物語『伊勢物語』の中で、在原業平が都に残してきた恋人を思いながら詠んだ和歌の一文から、明治元年に「言問団子」と名づけられました。

ショーウィンドウに並ぶのはお団子と最中の2種類のみ。これだけ? と思うかもしれませんが、店名にも菓名にもなっている言問団子は向島を代表するお団子。向島の老舗和菓子店「長命寺桜餅(ちょうめいじさくらもち)山本や」「志”満ん草餅(じまんくさもち)」と共に、「向島三大和菓子」に数えられています。

世代を超えて愛されるまんまるのお団子

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渋めの川根茶と一緒にいただく言問団子 1人前840円

言問団子は串に刺していないお団子です。創業当時、串に刺していないお団子はたいそう斬新だったのだとか。店内でいただくお団子は、団子皿に漉しあんのお団子がころんと3つのって1セット。黒と白のお団子は米粉のお餅を小豆あんと白あんで包み、青味がかった黄色のお団子は味噌あんをクチナシで色付けした白玉粉のお餅で包んだあとに蒸し上げています。特に黄色のお団子はほのかな塩味と味噌の風味が口いっぱいに広がる上品な甘さが癖になる味わいです。

お団子はすべて手作りで、繁忙期には5人の職人さんが寝る間を惜しんで一日1万個以上まるめることも。春のお花見や夏の花火大会のシーズンには、お団子を求めて店には長蛇の列ができるそうですよ。

店内でいただくお団子のお皿はオリジナル。都鳥(みやこどり)が描かれています。都鳥は在原業平の歌に登場する鳥でユリカモメのこと。都鳥と隅田川は古典文学や歌舞伎の題材にもなるほど人気の組み合わせです。
その時代の陶芸家によって描かれてきた都鳥の団子皿は手描きならではの趣があり、お団子を食べ終えたあと、どんな表情の都鳥に出会えるかも楽しみのひとつです。

お店でこそ食べたい♪ 出来たてを味わうパリパリ皮の言問最中

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都鳥の形をしたかわいらしい最中

交通手段がまだまだ整い始めたばかりの大正時代、賞味期限がその日限りの言問団子とは別に、日持ちのするおみやげを、という常連客の要望から3代目の当主が作り上げたのが言問最中です。都鳥を模したパリパリの皮に潰しあんと白あんがたっぷり入っています。

贈答用のお菓子として考案された最中ですが、ぜひお店で作りたてを食べてみてください。
注文を受けてからあんを詰める最中は香ばしく、皮の食感とトロリとしたあんは持ち帰ってからでは味わえない特別なおいしさ。せっかくお店に来たのなら、出来たての最中に舌鼓を打ちながら、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょう?

お屋敷に出入りしていた植木屋さんがルーツの6代続く菓子処

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「花よりだんご」と書かれた色紙は、宇野千代さんや「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子さんなど、明治~昭和に活躍した女流文人の寄せ書き

植木屋を営んでいた初代は向島に住む文化人との親交が厚く、彼らに振る舞っていたお菓子が評判を呼び、菓子処に転身しました。自らがお団子を丸める現在の当主は6代目。店内の中央奥には6代ものあいだ受け継がれてきた言問団子の歴史がわかる常設コーナーがあり、言問団子の店舗が描かれた錦絵や寄せ書き、歴代の団子皿のほか、向島の歴史を紐解く展示を見ることができます。

また、言問団子には老舗ならではの3つの家訓があります。
1つ目は、店主は店のあるこの場所に住むこと。2つ目は、暖簾分けをしないこと。3つ目は言問団子以外の商品を作らないこと。
そんな厳しい家訓を守り、おいしい団子作りに精進してきたからこそ、その店名から墨田川に架かる橋が「言問橋」と名付けられるほど地元でも愛されてきました。

3つめの家訓を破ってお団子以外に最中を作ったことはご愛敬。お客さまを思ってのこととして、初代もきっと空の上で満面の笑みを浮かべていることでしょう。

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店舗から徒歩10分強のところにある言問橋は、迫力あるスカイツリーが眼前に迫るビュースポット
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