1. トップ
  2. 【徹底レビュー】「期待の秋ドラマ」ランキングTOP3、第1話は実際どうだった?

【徹底レビュー】「期待の秋ドラマ」ランキングTOP3、第1話は実際どうだった?

  • 2025.11.1
(左上から時計回りで)北村有起哉、仲間由紀恵、及川光博、手越祐也、神尾楓珠、葵わかな クランクイン! width=
(左上から時計回りで)北村有起哉、仲間由紀恵、及川光博、手越祐也、神尾楓珠、葵わかな クランクイン!

10月に入り続々とスタートを切っている2025年秋ドラマの数々。クランクイン!では先日、「楽しみな2025年秋ドラマ」のアンケートを実施し、ランキングとしてトップ10を発表した。本稿では、ランキングトップ3の第1話をレビューする。

【写真】2025年秋ドラマ「2話以降も見続けたい」ランキングTOP10<フォトギャラリー>

■ いきなり理不尽な別れが描かれ衝撃的な『すべての恋が終わるとしても』


「楽しみな2025年秋ドラマ」ランキング第3位は、葵わかなと神尾楓珠がダブル主演する『すべての恋が終わるとしても』(ABCテレビ・テレビ朝日系/毎週日曜22時15分)だった。

本作は、“忘れられない恋”をテーマにした切ないラブストーリー。高校の卒業式に付き合いはじめた同級生の男女を主人公に、彼らを取り巻く人物たちも含めた8人の男女が織り成す、リアルでちょっぴりほろ苦い恋愛模様を描く。

第1話では、葵演じる由宇と神尾演じる真央の出会い、そして別れが描かれる。校内でボードにチョークで絵を描いていた真央を偶然目撃する由宇。素敵な絵だと思っていたら、完成した瞬間に水をかけて消してしまう真央に、由宇は驚いてしまう。なぜ消したか尋ねると、真央は「楽しかったから」とポツリ。「楽しい思い出ができたなら、後に残らなくていい」。これはもしかして以後、由宇を苦しめることになる真央の恋愛観を暗示しているのかもしれない。

真央の影響で自分でも絵を描き始めた由宇は、真央の勧めもあって美大を志望。高校卒業後、実家のある東京を離れ、神戸の美大へ進むことになる。と同時に、東京の大学に進む真央との遠距離恋愛がスタートする。絵の勉強とバイトに明け暮れる由宇にとって心の支えだったのが、神戸に遊びに来てくれる真央とのひとときだ。将来は、高校時代の2人の行きつけだった店のような、アートカフェを開きたい、という夢もできた。

ところが2人の未来は就活で暗転する。アート系の職種をがんばって受けるも、なかなか採用にいたらなかった由宇は、真央のそばにいれるなら、と希望の職種を断念し、東京の企業に営業職で内定をもらう。それを知った真央は由宇が信念を曲げたことに怒り、冷たく突き放すと、2人はあれよあれよという間に別れることになってしまう…。

は? そんなことで? 由宇の人生にここまで影響を与えておいてはしご外すの、酷くね? と思うけど、真央からすれば一度も無理強いはしていないし、由宇に願うのは「やりたいことをやってほしい」その一点のみ。最終的には由宇が自分の意思で神戸の大学に進んだ、ということなのだろうか。ある意味、恐ろしい男である。神尾君、『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)に続き、本作ではまた別種のサイコな役柄に挑戦することになるのかもしれない。

本作では、なにわ男子・藤原丈一郎ら演じる他の男女の恋愛模様も描かれる予定だが、第1話ではほかの3組はほとんど登場することなく、第2話以降に動きがありそう。また、大学時代の真央の不審な挙動(由宇が唇を噛むクセを「それヤダ」と拒絶したり、一度大学の課題で神戸に行けない、と言ったのにサプライズで由宇の家にやってきたり)も、のちのち理由が明らかになるのかもしれない。

第1話のラストでは、別々の人生を歩むことになったはずの由宇と真央が、お約束とばかりに仕事先でばったり再会してしまう。第2話以降、2人がやり直せるのか注目だ。

■ 心当たりある人にはホラー? 北村有起哉主演の『小さい頃は、神様がいて』


「楽しみな秋ドラマ」ランキング第2位は、北村有起哉が主演を務め、仲間由紀恵が共演する『小さい頃は、神様がいて』(フジテレビ系/毎週木曜22時)だった。

古くは『南くんの恋人』(テレビ朝日系)、『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)、最近では『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)などを手がけたヒットメーカー・岡田惠和の完全オリジナル脚本となる本作は、2人の子を持つ小倉渉(北村)と、その妻・あん(仲間)を中心に、登場人物たちの人生模様をユーモラスに描き出すホームコメディ。

ユーミンことシンガーソングライター・松任谷由実の代表曲の1つで、映画『魔女の宅急便』のEDテーマとしても知られる「やさしさに包まれたなら」の一節に、脚本の岡田がインスピレーションを受けて書いたという本作。第1話では冒頭から北村演じる渉が独白で「小さい頃は、神様がいて」と語り始めるが「いい子にしていれば、幸せになれると思っていた」と続き、キキとジジも「おや、何だか様子がおかしいぞ」と顔を見合わせるような、ちょっぴり不穏な“下の句”が続く。ただただ“いい子”にしていれば幸せになれると思っていたのに——これは本作のメインテーマかもしれない。

主人公の小倉渉(北村)は食品会社に務める平凡なサラリーマン。息子と娘に恵まれ、もう少しすれば妻と2人きり悠々自適な老後が待っている、という状況だ。ところが、妻のあん(仲間)にはそんな気はさらさらないようで、子どもたちがまだ幼かったころに夫と交わした「子どもたちが20歳を迎えたら離婚する」という約束を、指折り数えて待っていたのだ。

渉はまさに「いい子」で、不倫したり巨額の借金を作ったりする「悪い子」ではなかったようだが、妻の不満を一切ケアせずに生きてきたよう。そもそも「妻が不満を抱いている」こと自体に気づけていない様子だ。一方、すでに実家を出ている長男・順(小瀧望)は、あんからのチャットに対して息子として120点満点の返しをしてみせて母親のメンタルケアに成功しており、筆者は最初「あんは今流行りのAIとやり取りして心の隙間を埋める主婦か?」と勘ぐってしまったが、順はちゃんと実在しているようだ。

そのほか第1話では、台風をきっかけに同じマンションに住む、草刈正雄・阿川佐和子が扮する老年夫婦、小野花梨・石井杏奈が扮する同性カップルが渉とあんの部屋で一堂に会し、仲良くなることに。彼らが渉・あんにどういった影響を与えていくかも注目だ。

20年以上共に過ごしてきた最も身近な存在であるはずの配偶者と、見ている景色が全く違っていた…。ホームコメディだが、心当たりのある世の視聴者には少しホラーな物語が、毎週木曜日に繰り広げられるかもしれない。

■ 及川光博が穏やかながら熱い思いを抱くゲイを好演『ぼくたちん家』


「楽しみな秋ドラマ」ランキング堂々の第1位に輝いたのは、及川光博が主演する『ぼくたちん家(ち)』(日本テレビ系/毎週日曜22時30分)だった。

本作は、現代にさまざまな偏見の中で生きる「社会のすみっこ」にいる人々が、愛と自由と居場所を求めて、明るくたくましく生き抜く姿を描く完全オリジナルストーリー。及川が演じるのは、50歳の心優しきゲイ・波多野玄一。不器用で、やたら情に厚い玄一は、ある日ゲイの青年、中学教師の作田索(手越祐也)に偶然出会い、恋をする。それをきっかけに玄一の人生が動き出していく。

第1話では、玄一と索の出会いが描かれる。及川が21年ぶりに主演で演じるのは、心優しいゲイのおじさん、玄一。どれだけ優しいかというと、務めている動植物園に捨てられていた動物たちがかわいそうなあまりペット禁止のアパートで次々と飼い始めてしまい、ちょっとした動物王国になってしまうほどだ。当然追い出されてしまい、行き着いた次の物件は世界遺産登録待ったなしのようなオンボロアパート。隣人として訳ありな中学3年、ほたる(白鳥玉季)と出会い、ストーリーが動き出す。

対する索(手越)は、ゲイであることをその不自由さも込みで受け入れたようなクールな青年だ。ゲイであることもことさら隠すことはない様子。ただ、どうもそれが本当の姿なのか怪しいのは、別れたパートナーと書き記した結婚届の存在だ。本邦で同性婚はまだ認められていないため、「妻」の欄を二重線を引いて「夫」として書き記している届は出されることなく、相手とは破局したようだ。索には索で何か葛藤がありそう。筆者は気を抜いていたから最初、黒髪の彼が手越だと気づかなかった。普段は金髪がトレードマークの手越の黒髪姿、新鮮だ。

これまでも同性愛を扱った作品は数多あるが、そうした作品では、差別や偏見と戦う姿が描かれてきた。一方本作はもっとその先にあるゲイに生まれた者の権利や生き方に焦点を当てようとしているように思える。第1話終盤では、それまでほぼ全編を通して穏やかだった玄一が「ゲイに生まれた」ことで今まで何もかも諦めていたと明かし、「ほしいものはほしがらないと一生手に入らないから。ほしがることにしてみます!」と熱く宣言する。その「ほしいもの」の象徴が、愛する人と安らげる場所、「家」なのだ。

第1話のラストシーンでは、出どころ不明の怪しすぎる3000万円が登場し、いきなり玄一に家を買うチャンスが到来。この先どうなるのか気になる第1話となっている。

『すべての恋が終わるとしても』はABCテレビ・テレビ朝日系にて毎週日曜22時15分、『小さい頃は、神様がいて』はフジテレビ系にて毎週木曜22時、『ぼくたちん家』は日本テレビ系にて毎週日曜22時30分放送。

元記事で読む
の記事をもっとみる