1. トップ
  2. 30年前、大物夫婦の結婚式で流れた“奇跡の歌” 愛の“かたち”を描いた静かな旋律

30年前、大物夫婦の結婚式で流れた“奇跡の歌” 愛の“かたち”を描いた静かな旋律

  • 2025.11.26

「30年前、あなたは誰と過ごしていましたか?」

秋の風が少し冷たくなり、街のイルミネーションがゆっくり灯り始める頃。そんな季節に、静かに心を温めるような一曲が生まれた。

SING LIKE TALKING『SPIRIT OF LOVE』(作詞:藤田千章、Cat Gray・作曲:佐藤竹善)――1995年11月25日発売

包み込む旋律と、透き通る歌声。愛の“かたち”をまっすぐに描いたこの曲は、SING LIKE TALKINGの代表的なバラードとして、今も多くのリスナーの記憶に残っている。

愛を奏でた“結婚式のための歌”

この曲が生まれた背景には、ひとつの特別な出来事がある。それは、騎手の武豊とタレント・佐野量子夫妻の結婚披露宴。そのTV中継で演奏されるために書き下ろされた楽曲だった。当時は有名人の結婚披露宴がよくテレビ中継されていた。

SING LIKE TALKINGは、当時すでに音楽的完成度の高さで知られていたが、『SPIRIT OF LOVE』には祝福という純粋な想いを音で描くという明確なテーマがあった。ゴスペル調の壮大なアレンジ、優しくも力強いコーラスワーク、そして佐藤竹善の伸びやかなボーカル。そのすべてが、愛の誓いを包み込むように設計されている。

「愛」という抽象的な言葉を、こんなにも具体的な“温もり”として感じさせる曲は、そう多くない。華やかさよりも、静かな感動が胸に広がる。 そんなバラードだ。

undefined
SING LIKE TALKINGのボーカル・佐藤竹善-1999年撮影(C)SANKEI

“技巧”より“祈り”を感じる歌声

SING LIKE TALKINGといえば、美しいAORサウンドと、緻密な演奏で知られる実力派バンドだ。耳の肥えた音楽ファンなら、その楽曲に1度は触れたことがあるだろう。

『SPIRIT OF LOVE』では、あえてシンプルに、声と旋律の“響き”が中心に据えられている。佐藤竹善のボーカルは、テクニックを誇示するのではなく、祈りのような静けさで語りかける。サビで広がるハーモニーには、まるで教会の天井から降り注ぐ光のような透明感があり、聴く者の心を自然に浄化していく。日本語と英語が溶け合うその響きは、愛のメッセージをより広く、深く伝える力を持っていた。

当時のJ-POPシーンでは、ダンスサウンドなどの派手な楽曲が席巻していたが、SING LIKE TALKINGは流行とは一線を画し、“音楽としての誠実さ”を貫いていた。

派手さのないサウンドが、逆に聴き手の想像を広げ、「心に残る音」こそが時代を超えることを静かに証明してみせた。

30年経っても変わらない、愛のかたち

『SPIRIT OF LOVE』は、いま聴いてもまったく古びていない。それは、この曲が“愛すること”の本質――つまり「誰かの幸せを願う」気持ちを、まっすぐに描いているからだ。

結婚式で流れても、別れの夜に聴いても、心のどこかに温かな灯りを残してくれる。そんな普遍的な包容力を持つバラードは、時代が移ろっても決して色あせない。

静かな夜にこの曲を聴けば、きっと誰もが思い出すだろう。誰かの笑顔を願ったあの日の気持ちを。そして、音楽が人の心をつなぐ“奇跡”を。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。