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25年前、芸人2人が鳴らした“本気のロック” 世間を驚かせた3つの“異変”

  • 2025.11.25

2000年の冬の空気には、“意外性”の連鎖が確かに漂っていた。深夜明けの幹線道路、まだ乾ききらない街路樹、カーラジオからは硬質なビート。バラエティ番組で人気ので2人が、テレビの中で制服を着て走り、主題歌では“歌手”として走る。その奇妙な二重露光が、時代の縁を少しだけ揺らした。

ロンドンブーツ1号2号『岬』(作詞・作曲:真島昌利)――2000年12月6日発売

この1曲には「お笑いコンビの歌手デビュー」「テレビドラマ初出演にして初主演」「ロックを代表する作家の書き下ろし」という三つの“驚き”が重ね書きされていた。

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2000年、ファンタンゴ設立会見に参加したロンドンブーツ1号2号(C)SANKEI

初挑戦のステージに響いた、真島昌利のロック

当時、ロンドンブーツ1号2号の2人は、テレビのバラエティを中心に人気を集めていた。そんな彼らが挑んだのが、日本テレビ系ドラマ『新宿暴走救急隊』。元暴走族という過去を持ちながら救急隊員として生きる若者たちの姿を描いたこの作品は、ロンドンブーツ1号2号のテレビドラマ初出演にして、初主演作だった。

そのオープニングに流れていたのが、彼ら自身の歌う『岬』。ロックの疾走感をまといながら、ドラマのテーマと自然に呼応していた。作詞・作曲を手がけたのは、ザ・ブルーハーツやザ・ハイロウズで知られる真島昌利。彼が芸人コンビのデビュー曲に楽曲を書き下ろすというのは異例中の異例だった。

荒削りで、まっすぐで、飾らない。『岬』の音には、真島らしい“リアルな生々しさ”が詰まっている。イントロからドラムが転がり、ギターが風を切る。軽快ではなく、どこか焦燥感をはらんだロックナンバーだ。

“芸人の歌”ではなく、“ロックバンドの音”

この楽曲を聴いて驚かされるのは、話題性ではなく“本気度”の高さだ。多くの人が想像した“芸人の歌”ではなく、しっかりとロックバンドとしての構成で作られている

2人が分け合うボーカルは決して技巧的ではないが、そこに生まれる粗削りなエネルギーが、むしろ曲の輪郭を際立たせている。真島が描く旋律は、笑いとも悲しみとも違う“無骨な青春”の匂いを放っていた

結果的に仕上がった音源は、プロのテクニックよりも“挑む気配”に満ちている。うまさではなく、真剣さが響くタイプのロックだった。

“境界線の向こう”で鳴ったリアル

『岬』は、「芸人」「俳優」「歌手」といった境界を軽やかにまたいでいった。笑いの延長ではなく、演技の片手間でもなく、ひとつの“表現”として音を鳴らす。肩書きを脱ぎ捨てた瞬間にだけ生まれる音の強さ――この曲にはそれがあった。

テレビドラマで流れるたびに、画面の奥にあるリアルがふっと立ち上がる。『岬』は、芸人のデビュー曲でもあり、ひとつの時代が“ジャンルの壁を越えて動き出した瞬間”の記録でもある。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。