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『VOGUE JAPAN』7月号、編集長からの手紙。

  • 2016.5.30
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『LEGS TO ADMIRE』今、自分を飾るのに必要なもの。それはまっすぐでしなやか、そしてうっすらと筋を携えた「美しい脚」。 Photo: John Akehurst, Styling: Sam Ranger

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美しさに宿る、 "バランス"という女神。

ここ数年、毎年7月号ではボディの特集を組んできました。夏の日差しの予感を感じるこの季節、自分自身のボディがいちばん気になり始める時期ですよね。憧れのセレブのボディを目標にしたり、 カリスマトレーナーに話を聞いたりと、これまでさまざまな切り口でボディメイクの特集を企画してきましたが、今年のテーマをビューティー編集者と相談しているとき、「Beauty」だけでなく「Health」の要素の重要性をより意識する必要性を感じました。当然のことなのですが、ここ数年で、その両方が切り離せないという感覚が私たちだけでなく、世の中全体にさらに強まってきているのを実感します。では、「Beauty & Health」の観点からボディを考える際に、何にいちばん注目すべきなのか?

私たちは、その答えが「脚」にあると考えました (p.108)。なぜならば、全身の筋肉の約7割もが下半身、特に脚に集中しているという事実があるからです。そして、ボディラインの美しさも代謝による健康も、筋肉がつかさどるものだから。また、ファッショントレンドとしても、大胆に露出された健康的な"脚"が女性の魅力のポイントとして年々注目度を増しているということもあります。それは、ますますエイジレスな傾向に。

事実、『People』誌に 2016年で「最も美しい女性」に選ばれたジェニファー・アニストンは、47歳にしてさらに魅力を増したメリハリのあるしなやかな美脚がご自慢。 今や美脚はエイジレスビューティーの象徴なのです (p.109)。今号では、健康な美脚をつくるアプローチを一つと決めつけず、心理的なことも含めてそれぞれの個性に合った方法をご紹介していますので、どうぞ、自分なりの「美脚への道」を見つけてみてください。 

 今月号では、久しぶりに、古典や古い学問から生き方を学ぶ「淑女のためのヴォーグ講座」が登場します (p.144)。今回のテーマはずばり、「美と健康」。「能とロルフィング」の専門家、脳科学者、チベ ット医、の3人の方々にお話をうかがいました。私が、それぞれのお話で最も興味を持ったのは、偶然にも共通して出てきた「バランス」という言葉。バランス=調和こそが「美と健康」の源である、ということ。当たり前のように聞こえますが、人間は環境や年齢など常に変化の中で生きているわけですから、その中でいいバランスを保つ、ということは最も難しいことと言えるかもしれません。

 バランスは、体だけでなく知的な側面も含めて総合的に目指されるべきものです。その知性の華麗なるバランスによって私たちを刺激し続けてきた現代女性作家の代表といえば、スーザン・ソンタグの名前を挙げないわけにはいかないでしょう。70年代から小説、評論、政治活動など幅広い分野でアメリカの思想や言論をリードして きたスーザンの没後12年目である今年、5月に最後の長編小説『イン・アメリカ』が翻訳出版されました。今月号では、その翻訳を手がけ、長年の友人でもあった木幡和枝さんに、スーザンの生き方や彼女が残してくれたものについて語っていただきました (p.202)。

「ものごとを知的に考え、発言し、書く人でありながら、思考や論理の出発点はいつも自分の感情や感じたこと、というのが独特だった」といいます。「ヴォーグ講座」に登場していただいた脳科学者の加藤俊徳先生は、脳のさまざまな活動野を満遍なく使うことの大切さを説いています。つまり、論理や感情のどちらにも偏ることなくいいバランスを保つことが重要なのですが、スーザンはその絶妙なバランス(女性ならでは、と言ってもいいかもしれません)から、類いまれなる知性を発動し、人々に数々の問題提起を行ってきたのでした。

スーザンはよく「文体(スタイル)は内容よりも雄弁よ」と語っていたといいます。私たち自身のボディ、あるいはファッションは、自らが生きる上での「文体(スタイル)」と言い換えることも可能かもしれません。スタイルと内容(内面)が美しいバランスを生み出す瞬間こそが、私たちの生き方が何よりも輝き始めるとき、といえるのではないでしょうか。

参照元:VOGUE JAPAN

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