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映画「ヒグマ!!」公開延期は “英断” か “忖度” か?現実での被害拡大が問う、「エンタメの役割」と「社会的配慮」の線引き

  • 2025.10.24

闇バイト×ヒグマ 斬新なアイデアの新作映画

ヒグマ
ヒグマ

映画「ヒグマ!!」の公式Xアカウント(@HigumaMovie)が2025年10月24日、最近のクマ被害を考慮し、11月21日からの予定だった公開を延期すると発表しました。

同作は主演に鈴木福さんが「闇バイトをやって、ヒグマに襲われる」ストーリー。主人公はやむにやまれぬ事情から闇バイトをすることに決めたものの、仕事内容には“ターゲット”の女性を殺害・遺棄することが含まれていた。森の中まで運び、いよいよ殺害しようとしたそのとき……! というあらすじです。

しかし、北海道や東北を中心にクマによる人的被害が急増する中、制作側は公開時期の見直しを決定。同作の製作委員会は10月24日18時、被害者や出没地域の住民らに「心よりお見舞い申し上げます」とした上で、「落ち着いた環境で映画を楽しんでいただける公開時期を再調整することとした」とのコメントを発表しました。

X上では、発表直後から賛否両論が飛び交っています。支持する声は、被害の深刻さを踏まえた英断と評価し、「仕方ない」「誠実な対応」といった意見が目立ちます。一方、反対派は「今公開することでクマの危険性を啓発できるのでは」と主張し、「現実とフィクションの区別を付けるべき。区別できない人への忖度か」と疑問を呈します。

また、「クマ被害は近年ずっと続いているのに、なぜ今この題材で映画を作ったのか?」という趣旨の指摘も。2023年や2024年のニュースでクマ被害が大きく報じられたことを背景に、制作のタイミングやリスク管理について「むしろ公開できるタイミングってあるのか」「今の状況が続くなら一生日の目を見ずにお蔵入りになってしまう気がする」との懸念もありました。

実際の被害者が出ている事案や現象を扱ったエンタメ作品は、どのように扱われるべきなのか。例えば米国やオーストラリアなどではたびたびサメによる被害が報告されていますが、「ジョーズ」をはじめとするサメ映画はいくつも作られ続けています。先に引用したコメントのように、現実とフィクションを区別して捉えることは可能であるはずですし、クマ自身は映画を見ることはないのでさらなる被害を助長することにはつながらないと考えられます。

一方、米国やオーストラリアを比べて国土の狭い日本では、どのエリアに住んでいたとしても体感としてクマ被害が極めて身近なものであると感じ敏感になっているのも確か。製作委員会が、声明にあった通り「落ち着いた環境で映画を楽しんでいただける公開時期」が“今ではない”と判断したことにもうなずけます。

X上では「エンタメの役割」と「社会への配慮」のバランスをめぐる議論が続いており、クマ被害へにの警鐘とともにフィクション作品の捉え方についても考えを深めるユーザーが多く見られます。

(LASISA編集部)

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