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無料でできる科学の入口!どんぐりの種類分け、標本作り…子どもが持ち帰るどんぐりを知育教材に

  • 2025.10.23

秋も深まりどんぐりの季節到来! 幼稚園や保育園、公園などから、子どもが大量にどんぐりを持ち帰ってきて困っているという親御さんはいませんか?枝やら木の実やら、子どもたちが拾ってきたものが常に玄関の片隅に山積みになっている家……それは我が家!こんにちは。小4&小1の兄弟を育てている母、みみずくと申します。さて、大量のどんぐりを前にして、こんなふうに思ったことはありませんか?「邪魔だし、いつ虫が出てくるかわからないし、処分しちゃおう」「できればもう拾ってこないでほしいと注意しよう」――その行動、ちょっと待った!実はどんぐりって「万能な知育教材」なんです。しかもその知育教材をお子さんが自ら見つけて拾ったのなら、知的好奇心を伸ばすチャンス!秋の定番アイテム、どんぐりの知育活用法をご紹介します。

1、どんぐりで「じっくり観察」を体験

まず、どんぐりのすばらしいところは、ずばり「動かない」ということだと思っています。「……いや、何を当たり前のことを言っているの?」って感じですよね、わかりますわかります、おっしゃるとおり! でもこれが、「子どもが観察する」という意味においては、とても重要になってくるんです。たとえばこれが昆虫だと、あっという間に手元から逃げてしまいます。空にいる鳥は遠くて見えにくいし、摘んできた花は数日経たずにしおれてしまいます。ところがどんぐりなら、持ち帰ることができ、子どもが握りしめても形が変わらず、保存が可能! さらに「秋に拾える実」という季節感と特別感もあります。

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こちらは当時年長児だった長男が書いた観察記録。持ち帰ることができるからこそ、家でゆっくりと実物を見ながら絵を描くこともできます。このどんぐりはまるいかな? 細いかな? 色は何色? ぼうしはどんな形? じっくり観察できたら、次は親子で種類分けにチャレンジ!

種類分けにチャレンジ

動物でも植物でも鉱物でも、対象が何であるかを突き止めるのは、研究者たちにとって大切な作業です。近年のDNA研究によって、分類が見直された例もいくつもあります。2024年、国立科学博物館で開催された企画展「大哺乳類展3」の図録の中では、分類についてこう記されています。「ヒトという種類の面白い特徴の一つは、物事に名前をつけたり、グループわけしたりするのが大好きという点だ」「誰しも子どものころにこのような作業をやってきたのではないだろうか。積み木を形でわける、ビー玉を色でわける。(略)いい大人が似たような作業を、自然物を対象として何百年もやり続けているとしたら、皆さんは驚くだろうか」さて、そんな研究者のような「種類分け」を、どんぐりだと幼児でも体験することができるのだから、この機会を逃す手はありません!

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動かないどんぐりは、図鑑と見比べるのにぴったり! 葉っぱも一緒に手に入ると、より種類分けがしやすくなります。使用している図鑑は、「ポケット版 どんぐりさんぽ手帖」(世界文化社発行)です。写真なので実物と比較しやすく、葉っぱなどによる識別ポイントも掲載。ポケットサイズなので持ち運びしやすい1冊です。ほかに、「どんぐりハンドブック」(文一総合出版)や「どんぐりころころ」(ひさかたチャイルド)など、種類を見分ける手がかりになる図鑑や絵本はいくつもあります。また、「きょうと生物多様性センター」や「日本自然保護協会NACS-J」のページでは、無料でどんぐり見分け表をダウンロードすることができます。1枚にまとまっているので持ち運びしやすく、チャート式なので見分けもラクチン! ぜひダウンロードしてみてください。

きょうと生物多様性センター「どんぐりみわけ図鑑」

日本自然保護協会NACS-J「どんぐり検索表」

標本作りにチャレンジ

種類分けができたら、標本にするのもオススメ! 気分はすっかり研究者です。

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自分で作った標本箱を前にすると、「他のどんぐりも探してみたい!」「空いているスペースを埋めたい!」なんて、「もっと」という好奇心が子どもから湧いてくることも。これまで「ただのどんぐり」だったものが、「名前のあるどんぐり」に変化することで、秋の公園の楽しみ方がぐっと広がります。

2、どんぐりで「知ることの楽しさ」を体験

さて、どんぐりといえば、多くの親御さんが危惧することは「どんぐりの中に虫がいるかどうか」だと思います。では、そのどんぐり虫がなんという名前で、成虫になるとどんな姿になるかご存知ですか?「どんぐりの中から知らぬ間に、得体の知れない虫が出てくる」と考えると、確かに恐怖に感じてしまうかもしれません。でも、名前を知り、産卵方法を知り、なぜどんぐりの中から虫が出てくるかを知ると、どんぐり虫は「得体の知れない恐怖体験」ではなく、「身近に見つけられる自然科学」に早変わり!もしもお子さんがどんぐりを拾ってきたのなら、これを活用しない手はないです。

どんぐり虫の正体を知る

どんぐり虫の絵本は、「どんぐりころころむし」(福音館書店)や「どんぐりむし」(そうえん社)など、いろいろあります。この虫の正体は、ハイイロチョッキリやシギゾウムシなど「ゾウムシ」と呼ばれる昆虫の仲間! 「ゾウ」の名の通り、ゾウの鼻のような長い口吻があり、それを使ってどんぐりに穴を空けて卵を産卵します。内部でどんぐりを食べて成長した幼虫は、土の中で蛹になるため、やがて外に出てきます。

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親が卵を産むのは、まだどんぐりが若い緑色の頃で、気付かないくらい小さい穴です。つまり、写真のように大きな穴が空いているどんぐりは、中に幼虫がいるのではなく、外に出た後の可能性が高くなります。穴が空いたどんぐりを見つけたとき、つい「虫が入っているかもしれないから捨てて!」と思ってしまう方も多いはず。でも、親子でどんぐり虫について学ぶことで、「虫が出てきたどんぐりを見つけた!」という「発見の体験」につなげることができます。もし、どうしても子どもにどんぐりを手放してほしい場合は、このどんぐり虫の知識を活用するのもオススメ!。「虫が出てくるかもしれないから」というネガティブな理由ではなく、「どんぐり虫は土の中で蛹になるから、土の上に置いておいてあげよう」というポジティブな提案で、お子さんを説得することができるかもしれません。

どんぐりのメカニズムを知る

どんぐりはやがて芽を出す木の実であり、森で生きる動物たちのエサにもなることも親子で学ぶと、さらにどんぐりに対する解像度が上がります。

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「しぜんにタッチ!どんぐりもりのおきゃくさん」(チャイルド本社発行)では、木が落としたドングリをリスやネズミなどが食べ、やがて食べ残されたどんぐりから芽が出てくる様子が写真で紹介されています。かがくのとも傑作集の「どんぐりかいぎ」(福音館書店)は、「さすが、かがくのともシリーズ!」と唸る1冊。どんぐりが年によってどんぐりを作る量を変化させることで、動物たちの数を調整しているという驚きの内容です。

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さらに「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」では第93回企画展「どんぐりー魅力にはまってさぁたいへん♪―」が、来年1月25日まで開催中!どんぐりの基本情報はもちろん、「世界一大きいどんぐり」や、どんぐりを使った料理などが展示されています。

茨城県自然博物館企画展ページ

3、どんぐりで「作ることの楽しさ」を体験

どんぐりがたくさん集まったら、工作で遊ぶのもオススメです。どんぐりの遊び方を紹介した「どんぐりさんぽ どんぐりあそび」(かもがわ出版)や、かわいい秋の工作飾りを紹介した「どんぐり・木の実の森」(いかだ社)など、どんぐり工作関連の本がいくつも出版されています。

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当時小2だった長男は、子ども向けフリーマーケットに出店するために「ボール転がしゲーム」を作り、そのときにどんぐりを活用していました。

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ちいさなお子さんにオススメのどんぐり工作は、どんぐりケーキ! 紙粘土で土台を作ったあと、拾ってきたどんぐりや木の実を好きにのせるだけ。秋がたっぷり詰まったステキなおままごとケーキができあがります。秋はどんぐりだけでなく、たくさんの木の実を見つけることができる季節です。「ポケット版 木の実さんぽ手帖」(世界文化社)は、木の実と葉っぱ写真で掲載され、1ページ1種類と見やすく、持ち運びもしやすいのでオススメ!たくさんの「秋の落とし物」を使って、好奇心と科学の目を育てながら、親子で楽しい時間をお過ごしください。

文中でご紹介した書籍一覧

ポケット版 どんぐりさんぽ手帖【著者】宮國 晋一 【発行】世界文化社 【発行年】2018年→持ち運びしやすいポケット図鑑。写真で見やすく、どんぐりの識別ポイントが丁寧に記載されています。どんぐりハンドブック【著者】いわさゆうこ 【発行】文一総合出版 【発行年】2010年→こちらも持ち運びしやすいポケット図鑑。どんぐりの形だけでなく、木や葉、花についても紹介されています。しぜんにタッチ!どんぐりころころ【監修】大久保茂徳 【発行】ひさかたチャイルド 【発行年】2007年→実物大のどんぐりの写真が並べて掲載されているのがポイント! どんぐりが実をつけて地面に落ちるまでの過程が描かれています。どんぐりころころむし【著者】澤口たまみ/たしろちさと 【発行】福音館書店 【発行年】2022年→かわいらしいイラストで、どんぐり虫の生態を学べる絵本。写真は苦手だという方はこちらがオススメ。どんぐりむし【著者】有沢重雄/藤丸篤夫 【発行】そうえん社 【発行年】2013年→虫の写真が大丈夫な場合は、わかりやすくどんぐり虫について学べるサイエンス絵本。しぜんにタッチ!どんぐりもりのおきゃくさん【著者】香山美子/飯村茂樹 【発行】ひさかたチャイルド 【発行年】2009年→どんぐりを食べる動物についてなど、どんぐりに関する森の営みを写真で紹介してくれるサイエンス絵本。どんぐりかいぎ【著者】こうやすすむ/片山健 【発行】福音館書店 【発行年】1995年→「なりどし」「ふなりどし」ってどういうこと? 生き延びるためにどんぐりの木がしている作戦について学べます。どんぐりさんぽ どんぐりあそび【著者】おおたきれいこ 【発行】かもがわ出版 【発行年】2023年→どんぐり拾いのさんぽ、どんぐり染め、どんぐりクッキーなど、余すことなくどんぐりを楽しむための1冊。どんぐり・木の実の森【著者】岩藤しおい 【発行】いかだ社 【発行年】2021年→どんぐりや木の実、落ち葉などを使った秋の工作について紹介している絵本。作ってみたくなるかわいらしい作品ばかり!ポケット版 木の実さんぽ手帖【著者】亀田龍吉 【発行】世界文化社 【発行年】2017年→南天のように見える赤い実には実はいろいろな種類がある? 木の実と葉がわかりやすく写真で紹介されているポケット図鑑。

【Profile】みみずく

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小4長男、小1次男、夫の4人家族。昆虫、爬虫類、古生物、深海生物などの生物のほか、読書、工作、ロボコンなど幅広く興味関心がある兄弟に振り回されながらも、発見に満ち溢れた日々を送る。学校での勉強以上に、世界中に「楽しいことがたくさんある」と感じられる目を養うことが目標。ワークショップや観察イベント、ミュージアムなどの体験情報や、日常の中でも手軽に楽しめる体験の仕方について発信している。

Blog:たのしいをつくる~小4&小1わくわく兄弟

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