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【うるおい女子の映画鑑賞/涙で心のデトックス】『エール!』(仏・2014年)

  • 2016.5.28
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身体と同様に、こころもエクササイズが必要。週に1本映画を観ることで、こころの筋肉をしっかりと動かし、”きれい”を活性化しませんか? そんな”きれいになれる”映画を毎週紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。

第27回は、「泣いてすっきり!」をテーマに、気持ちのいい涙を流した後にすがすがしい笑顔になれるであろうフランス映画『エール!』を紹介します。フランス映画祭で観客賞最高賞を受賞したという、いわば”間違いない”1本です。

『エール!』ブルーレイ発売中 ¥3,800(税抜) 発売:ニューセレクト/クロックワークス 販売:アルバトロス LaFamilleBélier©2015-Jerico-MarsFilms-France2Cinéma-Quarante12Films-VendÔme Production-Nexus Factory-Umedia ※2016年5月28日現在

フランスの田舎町で農家を営むベリエ家。高校生の長女ポーラは毎日、家の手伝いに学校にと忙しく過ごしています。男らしいパパに美人で明るいママ、エッチなことで頭がいっぱいの弟のいる仲良し家族。

【仲良く自家製のチーズを市場で売るベリエ家】

ベリエ家はポーラ以外の3人ともが耳が聴こえません。ですが、手話やボディタッチ、ライト(部屋の照明をつけたり消したりして相手の注意をひく)などを駆使したコミュニケーションはむしろ、家族の絆をより深くしていているように映ります。

市場での自家製チーズの販売、両親の病院の通院、TVのニュースの内容、あらゆるシーンでポーラは手話で、愛する家族と社会を繋いでいます。ポーラはベリエ家の”声”であり、命です。

【ヘッドホンで音楽を聴いているとき、彼女は自由】

ある日、気になる男の子を追って学校のコーラスの授業を履修したポーラ。音楽教師(シニカルで偏屈で最高のキャラ!)は彼女の美しい歌声と才能をすぐさま見抜き、パリの音楽学校のオーデションを受けるようすすめます。一方、歌と出会い、いろんな感情を解放していく体験をするうちにポーラのこころにも夢が芽生えていきます。

【口が悪くて厳しいが、彼女の才能を誰より買っている音楽教師との特訓】

しかし彼女がいなければ家族の生活が成り立たないことは彼女にも十分にわかっていました。オーディションに受かってパリに行くことになれば、残された家族はいったいどうなるのか。家族はもちろんオーディションに大反対です。

【誇り高く生きる男らしくもちょっとお茶目な父。ポーラの声に”触れる”】

なにより、「才能がある」と言われても両親はポーラの美しい声を聴くことができません。彼女の才能も、歌がもつ力もわからない両親は、ポーラ以上に大きく揺れ動いていました。正直な気持ちを家族とぶつけ合い、悩み苦しんだポーラは夢を諦めます。しかし、わたしたちが最後に目撃するのは、さらに大きく膨らんだベリエ家の風通しのいい暖かい愛なのです!

【モテ男をも魅了するポーラの美声とピュアなこころ】

ポーラの境遇はひと言で言うと”不憫”だし、こうして活字で書くとかなり過酷なものなのですが、この映画では、それらが同情無しにからりとユーモラスに描かれます。

話しかけられたことがわからず(聴こえないので)共同不振な両親に対して、市場の客やポーラの知人はめちゃくちゃストレートに「変な人ね」と娘であるポーラに言い放つのですが、それに対する彼女の切り返しが実にユーモラスで痛快!

【ポーラは歌と出会い、自分と出会う】

どんな境遇であっても、愛があれば家族はひとつ。それはお互いを「縛る」ことではなく、それぞれが自由に羽ばたいていつでも帰ってこれるひとつの場所であるということ。

設定から想像するようなお涙頂戴感は皆無。たくましくユーモラスに明るく生きる仲良しベリエ家。家族の愛をたっぷり受けて育っていると同時に、家族にたっぷりの愛を与えているポーラ。そんな彼女が「歌うこと」と出会った瞬間。ポーラの生命力のある美しい歌声。これらとわたしたちのこころのきれいな部分が共鳴し、涙が流れるというしあわせな体験ができると思います。

今週末、「おうちシネマ」で気持の良い涙を流し、こころのデトックスをしませんか?

text:kanacasper(カナキャスパ)

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