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50代。週末、山梨県清里暮らし。コツコツ貯めた老後資金をセカンドハウス建設に使うことにした理由

  • 2025.10.21

今回お話を伺った二拠点生活者は、東海地区にある工業地帯と、山梨県北杜市に位置する清里で生活をする、かとこさんです。超がつくほど慎重派で堅実な彼女が、コツコツ働いて貯めていた老後の資金を使ってセカンドハウスを建て住み始めたのは2024年の9月の話。何の不満もなかった便利が溢れる暮らしに加えて、あえて不便な場所での二拠点生活をはじめた理由とは?かとこさんの二拠点生活に迫ります。

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〈プロフィール〉かとこ

山梨県北杜市 清里⇔ 東海地区工業地帯 で、二拠点暮らし。

53歳で会社を辞め、老後の資金を使ってセカンドハウスを建てることに。

家づくりで学んだ後悔しないポイントをインスタグラムで発信中。

Instagram: @katoko_home

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二拠点生活、老後の資金を使うことに不安はなかった?

– かとこさんが二拠点生活をはじめた経緯について教えて下さい。

かとこさん: 一番のきっかけは、コロナ禍でした。私たち夫婦は、コロナ禍以前から旅行が好きで色々な場所に行っていたんです。その中でも清里は、特に大好きな場所で年に数回訪れていました。コロナになって気軽に旅行できなくなってしまった一方で、清里であれば大丈夫だろうと思ったんです。なぜなら、滞在中は自然の中を散歩するというのが主なアクティビティになるので、三密を避けられると思ったから。また、私達は大型犬のラブラドールを飼っているのですが、一代目の子は高齢犬で、コロナ禍当時、散歩もだんだんと難しい年齢になっていました。ただ、自然の中を歩くのが大好きで、特に清里に連れていくと、すごく元気に歩いたんですね。そういったこともあり、清里に足繁く通うようになりました。すると、徐々に違和感のようなものを感じるようになってきてたんです。

– 違和感とは?

かとこさん: 特に感じたのは、景色ですね。私は生まれも育ちも東海地区で、それまでなんの不満もありませんでした。お店もたくさんあって、とても便利です。だから、結婚して、家も建てたわけなのですが…それでも清里の大自然の中で過ごす時間が増えたことで、そちらの方が良いと思うようになったんです。

– 具体的にどういった景色に差を感じるようになりましたか?

かとこさん: 簡単に言うと、清里は自然が多く、見渡せる景色があったり、木々の中に家がポツンポツンあるという感じです。一方で、東海地区の方は家やお店がぎっしり詰まっていると感じます。地元から清里へ行くと、物理的な余白のようなものを感じて安心するようになって、それで清里に行くたびに「ここに住めたらいいね」と夫と話すようになっていきました。ただ、まさか自分にそんなことができるなんて思ってもいなかったので、私は冗談半分ではありましたね。

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– 冗談半分で考えていたことが、現実になったのはどうしてでしょうか?

かとこさん: ある日、夫が清里の「別荘」情報を仕入れてきたんです。彼の中では「これだけ、たくさん清里に通っているのだから、ホテル代わりとなる別荘を買ったほうがいいのではないか」と思ったようなんです。それが、たまたま私が前々から気になっていた清里の工務店のもので、すごく興味を持ったのですが、最初のうちは、私は聞く耳を持ちませんでした。と言うのも、あまりにも現実離れしたように感じて。私は、夫とは対照的に、すごく現実的で、安定を好むタイプの人間なので、清里に住みたい、だけどどこか夢物語という感覚がありました。ただ、夫に意図があるのかどうかは分からないのですが、事あるごとにちょこちょこその話を挟んできて、徐々に「見るだけだったらいいかな」という気持ちが芽生えてきました。結局、その別荘は、あっという間に売れてしまい見学することはできませんでした。「現実に清里に別荘を買う人がいるんだ」「それができる人がいるんだ」ということを目の当たりにして、そこから徐々に私の中でも「私も清里に住みたい」という気持ちが膨らんでいったような気がします。それで、「中古物件でも探してみよう」という話になっていきました。ただ、結局中古物件は取り合いという状況で、「売りに出せば、すぐ売れる」という感じだったんです。それで、「だったら土地を探そう」という話になりました。それで、せっかく家を建てるのなら将来的には移住できるようにきちんと考えた家を作ろうかみたいになっていきました。

– かとこさんのInstagramで家づくりや二拠点生活についての発信をされていますが、そのポストの中で、「老後の資金を使って家を建てた」というものがとても印象的でした。東海地区の方にすでに持ち家がある中で、老後資金を使ってセカンドハウスを建てるということに対しては、不安はありませんでしたか?

かとこさん: とても不安でした。先程もお話したように、私はもともととても慎重派で、安定を好むタイプなんです。だから、老後の資金を貯めるためにコツコツ働いたりしてきたわけなんですが。一方で、時々大胆な行動というか、感情や直感で動いてしまうということがあるんです。それで、この老後資金を使ってセカンドハウスを建てるということに対しては、完全に直感的に動いた結果ですね。ただ、やはり不安があるから少しずつ微調整しながら進めるようにはしました。

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– すごく大きな決断を直感的にしたわけですね。

かとこさん: そうですね。ただ、清里の家にはいずれ移住して老後はそこで住むつもりで建てようと決心したので、中途半端にお金かけるのはしたくないと思ったんです。老後を安心して住むことができるようにと考えた結果だったので、広い意味で老後のための投資だと思っています。

一番不安だったのは「老後はここで暮らしていけるのか?」ということ

– 現在は、どれぐらいの頻度で行き来をされているのでしょうか?

かとこさん: 今は毎週末行っています。車で片道3時間半かけて行き来しているので、2泊はしたいということで、夫はテレワークをからめるようにしています。

– ご旅行で、清里の方にはよく行かれていいたということなので、土地勘などはあったのだと思いますが、旅行で行く/滞在するのと住むのとではまた変わってくるのかなと思います。清里の生活に馴染むためにしたことは何かありますか?

かとこさん: 土地を探している段階から、自信をつけるために、春夏秋冬季節を通して通うようにしました。

– 山梨県だと冬はすごく寒くなるのではないでしょうか。

かとこさん: 寒いです。特に清里は標高1200メートルなので、冬は−10度くらいになることもあるんですよ。それもきちんと分かった上で、家を建てると決断しました。あとは、いろんなお店に通いながら顔見知りになって、買い物はどこでしているのか、病院はどこにあるのという情報を収集するようにしました。私が一番不安だったのは生活が不便になること、老後が不便になることだったんです。

– 確かに自然豊かな場所で老後を過ごすのは理想的ではありますが、病院や買い物へのアクセスは重要なポイントになってきますよね。そういった不安は、二拠点生活前に解消できましたか?

かとこさん: 顔見知りになった地元の方々と交流していく中で、年を重ねてもみなさんちゃんと暮らしてらっしゃる姿を間近で見たので、これなら大丈夫だと思いましたね。あとは、老後に備えた家づくりもしました。

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– 清里で暮らすようになって、東海地区への価値観や見方は何か変わりましたか?

かとこさん: はい、変わりました。一拠点で住んでいた頃は「自分が住んでるところは不便だ」と思ってたんです。けれど、清里に住むようになってからは実は自分が住んでいるところはすごく便利な場所だったんだということに気づきました。東京のような都会とは違いますが、地方都市としての都会だと感じますね。お店もたくさんありますし、必要なものや欲しいものは一通り揃います。

– 暮らしやすさがあるということですね。清里と東海地区では、時間の使い方は変わりますか?

かとこさん: 清里の方は、窓の外の景色を眺めるとか、愛犬と散歩するとか、全然お金を持たないで出歩くのが普通だったりします。滞在するのが週末だけで時間も限られているので、なるべく家で過ごすことが多いですね。一方で、東海地区に帰ってくると、買い出して、用事を済ませたり。だから、時間の使い方は変わりますね。

– それぞれの場所に移動するだけで、すぐにモードは変わりますか?

かとこさん: 向かってる道中からだんだん景色が変わっていくのでそれで自然と変わります。

>>後編へつづく

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。

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