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50代からの韓国旅。懐かしい市場と“東洋のナポリ”統営へ—映画『最後のピクニック』の舞台・南海も散歩

  • 2025.10.20

50代からの韓国旅。懐かしい市場と“東洋のナポリ”統営へ—映画『最後のピクニック』の舞台・南海も散歩

韓国のハルモニ(おばあちゃん)2人が主役の映画『最後のピクニック』。深くて濃い60年来の友情と、老いてなお心に残る想いを丁寧に描いた名作です。舞台となったのは、朝鮮半島の南に位置する南海という小さな町。 今回、秋夕(旧盆)の連休で訪れることになったので、私の義父母が住む隣町・統営と併せてご紹介します。

昔懐かしい風景が残る、のどかな町・南海

釜山から車で150キロほど離れた、慶尚南道の最南東に位置する南海。陸に続いていない島からなる町で、人口はわずか4万人弱。映画では美しい島並や海の景色がたびたび映し出されました。特産物はミョルチ(カタクチイワシ)で、海にはイワシ漁の形跡があちらこちらに。

南海にはドイツ村という観光地が2001年につくられましたが、現在は繁忙期以外は閑散としているよう。これといった観光地がなく、若者も少ないのでとても静かです。

けれど、食堂のなかは昼からお酒の入ったアジョッシ(おじさん)の宴会で大賑わい。ソウルだったらクレームが入るであろうほどの大きな声で笑ったり、怒ったり。これぞ韓国のアジョッシです。南海をはじめ、韓国の南部地方はまだまだ威勢のいい人が多く、人情味もたっぷり。忘れていた“韓国らしい”風景を見られて私はほっこりしましたが、一緒にいた旦那さんはじめ、義理の両親は遺憾だったよう。「店選びに失敗した」と愚痴をこぼしていました。

集落があっても10棟ほどが集まっているだけで、人の行き来はまばら。カメラ片手に散歩をしていたら、日本の平屋のような建物が目に入り、思わず写真を撮りました。

この後、実は追突事故に遭い、2時間ほどロスすることに。はじめての自動車事故で戸惑いましたが、旦那さんはいたって普通でした。ハザードをつけて一時停止していたところ後ろから突っ込まれたのですが、韓国では保険会社がすべてサポートしてくれるので問題ないとのこと。ソウルに帰ってから痛くもないのに病院に行き、マッサージや針を受けて、韓薬ももらいました。

その後、目的地の南海宝島展望台に行きましたが、落ち込んだ気持ちと同様に空模様が怪しくなり、思っていたほどの絶景は拝めませんでした。

南海の市場にも寄りたかったのですが、事故の影響でタイムアウト。市場は義理の実家がある統営で行くことにします。

海の幸の宝庫! 毎日通いたくなる統営の市場

韓国の嫁、姑と聞くと厳しい印象があるかと思いますが、最近は随分と良好な関係が築けるようになってきています。かく言う私も、結婚後や産後間もないときは義実家のある統営への帰省が苦痛で仕方なかったのですが、ここ数年は私自身が大人になったこと、義理の姉が結婚したことでシオモニ(義母)の関心がそちらにいったことなどが重なり、かなりラクになりました。

統営と言ったら、韓国では“東洋のナポリ”という別名があるほど、海辺の街並みがきれいなことで知られています。けれど、私としてはやはり市場がイチ押し。海の幸が抜群においしい町です。

ただ、統営は港町特有で方言がキツイので、市場での交渉は難易度が高め。私はシオモニの影に隠れ、あれが欲しい、おまけ欲しいと伝えるだけでした。これは韓国人も同じで、「ソウルの人がこうして市場に来てもうまくできないだろう」とシオモニ。

食材を買うだけでなく、食事も楽しめるのが市場のいいところ。入り口付近の観光客でにぎわうお店ではなく、シアボジ(義父)おすすめのシレギグッ(干し大根の味噌汁)のお店に行きました。辛い韓国料理もいいですが、やはり日本人は味噌を食べると気持ちが落ち着くもの。派手さはありませんが、滋味深い味でシレギグッは大好きです。

ソウルからはバスで5時間弱、釜山からも2時間弱かかるのでなかなか海外旅行客が行くには難易度が高めですが、南海や統営は昔ながらの風景が未だに色濃く残っていて懐かしい気持ちになれるはず。流行最先端なものが集まるソウルも楽しいですが、年を重ねると、こうした異国の田舎町が恋しく感じられます。また次回帰省した際は、違う風景をお届けしたいと思います。

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