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「どう読むの!?」SNSで騒がれた読めない名前は本当にある?保育士が感じる最近の子どもの名前の変化

  • 2025.10.20

こんにちは、保育士のはるです。2000年頃からDQNネームなど「子どもの名前が読めない」といった現象が話題になり始め、2010年代に『キラキラネーム』という言葉が広まりました。保育園現場で過ごしていると、たくさんの子どもの名前と出会い、懇談会や地域イベントなどで保護者の方から名づけのエピソードを教えていただく機会が多くあります。最近は漢字の意味や響きを大切にした、名前がとても増えました。なかには、「えっ、あの子の名前、漢字だとその字で書くの!?」「保育園ではひらがな表記だから気づかなかった……」と、進学のタイミングで驚かれる保護者の方も少なくありません。それは、名前に込められたご家庭の想いや個性の豊かさの表れ。今回は保育現場で感じた名前の変化についてお話します。

保育園で感じる子どもの名前の変化

保育園で働いていてきて、今までたくさんのお子さんの名前を見てきました。最近はまた昔のような「~郎(ろう)」「~こ(子)」というような名前も聞かれるようになりましたが、同じ読み方でも漢字に違いがあるように感じています。

読み方が難しい漢字の子は実習時代がピーク

私が実習に行っていたのは2010年の頃、そのため「キラキラネーム」といった話題が出て少したった頃かなと思います。当時、実家の長野県にある幼稚園に実習に行って、まず驚いたことが「読めない名前の多さ」でした。「あれ、この漢字でなんて読むんだろう……」ともらった名簿を見て思ったのですが、この頃は当て字が多かったなという印象があります。幼稚園の棚や下駄箱はひらがな表記ですし、実習日誌に名前を記入するときもひらがなでOK(2010年当時、現在は伏字で対応することが多いかと思います)だったので、そこまで大変に感じることはありませんでしたが、「へえ、こんな読み方するんだ」と驚いたことは今でも覚えています。

「心」→み、「愛」→ら・あ……などの読み方が当たり前な時代に

「心(み・こ)」「愛(ら・あ)」などの読み方が一般に定着してきたと感じます。保育園での新規入所のお子さんに「鈴木乃愛ちゃん」がいらっしゃっても、「すずきのあちゃんだな」とすらすら読める方も多いのではないでしょうか?以前であれば「の…あい?」となったかもしれませんが、子どもの名づけの変化からパッと見て読めないという名前はかなり減ったように感じます。

男女共に使える名前が増えた

ここ数年「ひなた」「みずき」「ひかり」「はるか」「あおい」「ゆうき」など男女ともに使えるお名前が増えてきました。漢字でまた印象が変わることはありますが、同じ名前の読みで男の子も女の子もクラスにいるということも。保育でもそれは同じで、昔なら「男の子なんだから」「女の子なんだから」と言われがちだった場面でも、今はその子の「好き」を尊重して、どんな遊びも自由に選べるようにしていますし、男子は青、女子は赤といった色での分け方もなくなり、トイレのスリッパは一色でという園も多くなったのではないでしょうか。ランドセルの色からも、その様子は見て取れますよね。名前も同じように、枠にとらわれず、その子の人生のスタートにふさわしい「自由な選択肢」として親が贈るものなのかもしれません。

女の子?男の子?名前の漢字で実際にあったこと

隣に住んでいた仲の良かった友だちが「遥」くんだったのですが、お名前「はるか」ではなく「よう」と読む男の子。当時は「遥」と一文字だとどうしても「はるかちゃん」をイメージすることが多いからか、某通信教育教材のDMが女の子パターンだったそうです。封入されていた漫画が、先輩に恋して勉強を頑張るようになった女の子の話ばかり……、友だちの家でたまたま同じ時期に届いたDMの漫画が、サッカー少年が部活だけではなく勉強も頑張る!みたいな内容だったことを知った際には「なんだこれ!ふざけんな!」と思ったんだとか。逆パターンで名前の漢字で男の子に間違えられ、振袖のDMが一切届かず、ある意味ラッキー(大量のDMが届かないから)だったなんて言う話も聞いたことがあります。

名前は一般的、でも漢字が……

ここ最近本当に増えた!と感じるのが「漢字のバリエーション」です。ななちゃんの「な」という漢字は、「菜、奈、那」を今までよく見てきましたが、最近は「梛、楠」という漢字を見かけるようになりました。正直私は初めて見て「こんな漢字があったのかとびっくりしました(笑)。「はると」くんや「りくと」くんといった「と」も「斗、翔」ではなく「杜」という漢字をよく見るようになりました。保育園ではひらがな表記のことが多いので、お友だちの名前はこんな難しい漢字を使うのか!と驚いたこともあるのでは。

読めない!ではなくどっち!?が増えた

先ほど例にあげたような「梛、楠」を使うお名前で以前知り合いの園であったことが、「美梛」ちゃんという子の入所書類。おそらく記入ミスかと思われますが、フリガナが「ヤマダミヤ」ちゃんだったんですよね。梛という漢字を椰と勘違いして、「や」と読んでしまったのかと思います。最近はどうやって読むの?となるのではなく、この漢字はどっち?となる場面が多く、「羚」なのか「伶」なのか「玲」なのか、「凌」なのか「淩」なのか、「胡」なのか「瑚」なのか、と考える場面が増えるようになりました。これら一つ一つの漢字に意味があり、保護者の方が思いを込めて考えられた漢字だと思います。保育園は基本的にお名前はひらがな。漢字でフルネームを記入する機会はそう多くありません。だからこそ、一番大事な卒園式の卒園証書などは「この漢字あってる!?」と何回も確認しています。世代によって「読みを大事にした名前」が多かったり、「海外でも呼べる名前」が多かったり。その時期、その時の環境によって名前の付け方の変化があるな、と保育士として働いていて感じることがあります。名前は初めて保護者が子どもに贈るもの。「どんな子に育ってほしいか」「どんな人生を歩んでほしいか」「どんな世界で生きていってほしいか」そのすべてが、たった一つの名前にぎゅっと詰め込まれています。懇談会で「名前の由来は?」と聞いた時に保護者の方がキラキラとした笑顔でお話される瞬間が好きで、つい毎年のように話のネタでふってしまうのですが(笑)。だからこそ保育士として、子どもたちの名前を正しく、丁寧に呼びたい。そしてその先にある、その子らしさを大切に見守っていきたいなと思っています。

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