デザイナー総入れ替えでどう変わった？ フロントローやレッドカーペットでルックを纏うセレブの顔ぶれ

15人もの新任クリエイティブ・ディレクターにアーティスティック・ディレクターがデビューを果たした2026年春夏コレクション。服やアクセサリー、メゾンの世界観そのものに変化が見られたのは言わずもがなだが、フロントローやレッドカーペットで新作のルックをいち早く纏うセレブやアンバサダーの顔ぶれは、どのように変わっているのか？

ファッションとハリウッドの関係は、オードリー・ヘプバーンとユベール・ド・ジバンシィに遡ることができる。ヘプバーンの主演作品の衣装をジバンシィが手がけたりと、ふたりは何十年にもわたりコラボレーションを続け、友情を育んだ。以来、セレブと密な関係を築くのは、ブランドのビジネス面において重要になり、セレブたちは知名度や話題性が高まるにつれ、キャンペーンに起用されたり、アンバサダーに任命されることが当たり前になった。

そして一部のセレブは、自らがアンバサダーを務めるブランドの代名詞的な存在になった。エマ・ストーンとルイ・ヴィトン（LOUIS VUITTON）、マーガレット・クアリーとヴィルジニー・ヴィアール期のシャネル（CHANEL）、キム・カーダシアンとデムナ期のバレンシアガ（BALENCIAGA）などがその好例だ。しかし、ヴァレンティノ（VALENTINO）へ移籍した友人のアレッサンドロ・ミケーレの後を追わず、グッチ（GUCCI）のアンバサダーを務め続けるダコタ・ジョンソンなど、中にはクリエイティブ・ディレクターが交代しても、メゾンの顔であり続けるセレブもいる。

まるで“椅子取りゲーム”のようなデザイナーの交代劇が繰り広げられた2026年春夏シーズンだが、アンバサダーやフレンド・オブ・ザ・ハウスなどの顔ぶれが大きく変わったブランドもあれば、依然として同じ面々を起用し続けるブランドもある。

例えばマチュー・ブレイジー時代からボッテガ・ヴェネタ（BOTTEGA VENETA）と親交のあるジュリアン・ムーアは、クリエイティブ・ディレクターがルイーズ・トロッターに変わった今も、メゾンのピースを至るところで着用。今年のカンヌ国際映画祭ではトロッターがブランドのために初めてデザインした新作を纏い、新生ボッテガ・ヴェネタの初のティザーキャンペーンにも出演した。ジェニファー・ローレンスとアニャ・テイラー＝ジョイも体制変更に影響されず、ジョナサン・アンダーソンを迎えたディオール（DIOR）で、引き続きメゾンのアンバサダーを務めている。

その一方で、バレンシアガのアンバサダーだったニコール・キッドマンは、アイオウ・エディバリーとともにシャネルの新アンバサダーに就任。ロエベ（LOEWE）のアンバサダーを務めていたグレタ・リーは、ジョナサン・アンダーソンを追ってディオールに移った。新たなデザイナーがメゾンの指揮をとり始めると、実にいろいろなところで変化が訪れるものだ。

シャネル（CHANEL）

ヴィルジニー・ヴィアール

【ヴィアール期のシャネルといえば】キーラ・ナイトレイ、クリステン・スチュワート、マーガレット・クアリー、マーゴット・ロビー、ソフィア・コッポラ、ルピタ・ニョンゴ、リリー＝ローズ・デップ、マリオン・コティヤール、ジェニー

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】ソフィア・リッチーのウエディングドレス、シャルロット・カシラギが馬に乗って登場した2022年春夏オートクチュールショー。

マチュー・ブレイジー

【ブレイジー期のシャネルといえば】マーゴット・ロビー、ペドロ・パスカル、ティルダ・スウィントン、グレイシー・エイブラムス、ナオミ・キャンベル、リリー＝ローズ・デップ、ヴァネッサ・パラディ、ペドロ・アルモドバル、ジェニー、ミカエラ・コエル、ジュリア・ルイス＝ドレイファス、イマネ・ケリフ、キャリー・クーン

【新アンバサダー】アイオウ・エディバリー、ニコール・キッドマン

【印象的なルック＆ショー】エディバリーが第82回ヴェネチア国際映画祭で初出しした、新生シャネルによる白いツイードスーツと赤いストラップレスガウン。

ボッテガ・ヴェネタ（BOTTEGA VENETA）

マチュー・ブレイジー

【ブレイジー期のボッテガ・ヴェネタといえば】ジュリアン・ムーア、ジェイコブ・エロルディ、アイオウ・エディバリー、ウルスラ・コルベロ、グレタ・リー

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】ケンダル・ジェンナーとエイサップ・ロッキーのパパラッチ風写真を用いたキャンペーン、トロンプルイユのレザーデニムにタンクトップにフランネル、動物型のラウンジチェア、デュア・リパが映画『バービー』のプレミアで着用したネイキッドドレス。

ルイーズ・トロッター

【トロッター期のボッテガ・ヴェネタといえば】ジュリアン・ムーア、ヴィッキー・クリープス、トラメル・ティルマン、ユマ・サーマン、カイル・クズマ、ルイーザ・ジェイコブソン、ミシェル・ヨー

【新アンバサダー】ヴィッキー・クリープス、ロレンツォ・ムセッティ

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】ミラノでのデビューショーに先駆けて公開されたキャンペーン。出演者にはムーア、クリープス、ムセッティ、ジャック・アントノフ、タイラー・ザ・クリエイター、ゼイディー・スミス、ローレン・ハットン、ヴィットリア・チェレッティなどが名を連ねる。

ディオール（DIOR）

マリア・グラツィア・キウリ

【キウリ期のディオールといえば】ナタリー・ポートマン、ジェニファー・ローレンス、カーラ・デルヴィーニュ、レイチェル・ゼグラー、アニャ・テイラー＝ジョイ、リアーナ

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】リアーナがを第一子を妊娠中に纏ったランジェリー風のマタニティドレス、2024MTVビデオ・ミュージック・アワードでテイラー・スウィフトが着用したルック、デルヴィーニュが2021年のメットガラ（MET GALA）で披露したベスト。

ジョナサン・アンダーソン

【アンダーソン期のディオールといえば】アニャ・テイラー＝ジョイ、テイラー・ラッセル、070シェイク、グレタ・リー、ジェニファー・ローレンス、ロザリア、マイキー・マディソン、モニカ・バルバロ、ジェナ・オルテガ、ブリジット・マクロン、ジス、ジョニー・デップ

【新アンバサダー】グレタ・リー、マイキー・マディソン、ミア・ゴス

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】第82回ヴェネチア国際映画祭でグレタ・リーが纏ったグリーンのオーガンザとブラックサテンのミニドレス。深いネックラインとリボンのディテールが目を引く1着は、新生ディオールの初ウィメンズコレクションへの期待を大いに高めた。

ロエベ（LOEWE）

ジョナサン・アンダーソン

【アンダーソン期のロエベといえば】グレタ・リー、アイオウ・エディバリー、ジョシュ・オコナー、エミリー・ラタコウスキー、テイラー・ラッセル、ダニエル・クレイグ

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】第76回エミー賞でオーブリー・プラザが着用し、ネットで話題となった“ポスト・イット”ドレス、ゼンデイヤが『チャレンジャーズ』（2024）のプレスツアーで披露したテニスドレス、『チャレンジャーズ』の主人公たちが着た「I TOLD YA」Tシャツ、リアーナの第57回スーパーボウル・ハーフタイムショーの衣装、マギー・スミスを起用したユルゲン・テラーによるキャンペーン。

ジャック・マッコロー＆ラザロ・ヘルナンデス

【マッコロー＆ヘルナンデス期のロエベといえば】ブリット・ロウワー、エヴァ・ヴィクター、アイラ・ジョンストン、トレイシー・エリス・ロス、ペドロ・アルモドバル、エミリー・ラタコウスキー、パーカー・ポージー、サラ・ポールソン、レスリー・マンヴィル、サラ・スヌーク、リヴ・タイラー

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】ヴィクター、ジョンストン、エリン・ケリーマン、オーランド・ノーマン、ルイス・グリッベン、メーガン・ノーサム、テオドール・ペルランなど、フレッシュな顔ぶれが揃う、デビューショーに先んじて公開されたティザー映像とポートレート写真。

グッチ（GUCCI）

サバト・デ・サルノ

【デ・サルノ期のグッチといえば】デイジー・エドガー＝ジョーンズ、ダコタ・ジョンソン、ジュリア・ガーナー、ヤニック・シナー、キングズリー・ベン＝アディル、アーリヤー・バット

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】マイクロミニ丈のショートパンツとプラットフォームの「ホースビット」ローファー。

デムナ

【デムナ期のグッチといえば】デミ・ムーア、グウィネス・パルトロウ、エドワード・ノートン、エリオット・ペイジ、ハリナ・ライン、スパイク・ジョーンズ、ジュリアン・ニコルソン、ライラ・モス、マリアカルラ・ボスコーノ、セリーナ・ウィリアムズ、デヴィッド・ジョンソン、アレックス・コンサーニ、アーリヤー・バット

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】従来のランウェイショーを行う代わりに、スパイク・ジョーンズとハリナ・ライン制作のショートフィルムのプレミア上映を初コレクション「La Famiglia」のプレゼンテーションとしたデムナ。フィルムにはムーア、ノートン、キキ・パーマー、ペイジ、ケンダル・ジェンナー、アレックス・コンサーニなどが出演。

バレンシアガ（BALENCIAGA）

デムナ

【デムナ期のバレンシアガといえば】キム・カーダシアン、ニコール・キッドマン、レイチェル・セノット、イザベル・ユペール、ミシェル・ヨー、チャーリーXCX

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】キム・カーダシアンが2021年のメットガラで着用した“黒子ルック”、モデルたちが激しい吹雪の中を歩いた2022-23年秋冬ショー、ロサンゼルスで開催された2024年フォールショー、高級スーパーのエレウォンとのコラボレーション、パンタブーツ、タオルスカート、ポテトチップスの袋を模したバッグ、イケア（IKEA）のショッピングバッグをオマージュしたトートバッグ。

ピエールパオロ・ピッチョーリ

【ピッチョーリ期のバレンシアガといえば】メーガン妃、アン・ハサウェイ、シモーヌ・アシュリー、アドゥ・アケチ、ピンクパンサレス、アリアナ・グリーンブラット、クリスティン・スコット・トーマス、イザベル・ユペール、FKAツイッグス、シェイリーン・ウッドリー、ローレン・サンチェス・ベゾス

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】2026年春夏コレクション。新生バレンシアガのデビューだったことはもちろん、メーガン妃がゲストとして出席したことでも話題を呼んだ。

ヴェルサーチェ（VERSACE）

ドナテラ・ヴェルサーチェ

【ドナテラ期のヴェルサーチェといえば】アン・ハサウェイ、デュア・リパ、オリヴィア・ロドリゴ、ブレイク・ライブリー、アマル・クルーニー、レディー・ガガ、デミ・ムーア、ベラ・ハディッド、ジジ・ハディッド

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】2000年のグラミー賞でジェニファー・ロペスが纏ったことで有名なジャングルドレス、2021年のゴールデン・グローブ賞でジャニュアリー・ジョーンズが10年ぶりに再着用したドレス、2019年のメットガラでケンダルとカイリー・ジェンナーが披露したお揃いのショーガール風ルック。

ダリオ・ヴィターレ

【ヴィターレ期のヴェルサーチェといえば】ビアンカ・ジャガー、ジョン・ハム、アンバー・ヴァレッタ、タリア・ライダー、ロメオ・ベッカム、ミア・ハリファ

【印象的なルック、ショー、キャンペーン】第82回ヴェネチア国際映画祭でジュリア・ロバーツが纏ったブレザーとデニムを合わせたテーラードルック。翌日、アマンダ・サイフリッドが全く同じものを着用したことで話題に。レッドカーペットでもロバーツはヴィターレが手がけたドレスに身を包み、新生ヴェルサーチェを世にお披露目した。

Text: Hannah Jackson Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

READ MORE

• 【2026年春夏ファッションウィーク】パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、東京のスケジュール・レビュー
• イラストで着用ルックを記録！ 今季の注目モデル、ルナ・ヨハンナンが描く2026年春夏コレクション
• ヴェネチア国際映画祭で初出し！ ジュリア・ロバーツが纏う、新生ヴェルサーチェ
• ディオールにボッテガ・ヴェネタ、シャネルにヴェルサーチェ。続々とお披露目される、新任クリエイティブ・ディレクターによるニューデザイン
• 20周年イヤー開幕！ 2026年春夏の東京コレクション、注目ランウェイを総まとめ
• Vogueエディターおすすめ記事が届く── ニュースレターに登録