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マリア・グラツィア・キウリがフェンディの新チーフ クリエイティブ オフィサーに就任

  • 2025.10.14

フェンディFENDI)は、マリア・グラツィア・キウリが新たにチーフ クリエイティブ オフィサーに就任したことを発表した。初コレクションは、2026年秋冬として来年2月のミラノファッションウィークで披露される予定だ。

今回の就任は、キウリがディオールDIOR)のクリエイティブ・ディレクター職を退任してから約6カ月後のこと。ローマ出身の彼女にとってフェンディは“原点”ともいえる存在であり、1989年から1999年までアクセサリーデザイナーとして在籍。当時、メゾンのアイコン「バゲット」バッグの開発にも携わった経歴を持つ。

LVMHグループ会長兼CEOのベルナール・アルノーは声明でこう述べている。「マリア・グラツィア・キウリは、現代のファッション界において傑出したクリエイティブな才能の持ち主です。自身のファッションに対する大胆なビジョンを共有した後、LVMHグループ内で創造性を発揮し続けるために、フェンディに戻ることを大変嬉しく思います。フェンディのチームに囲まれ、彼女にとって特別な街であるローマにおいて、マリア・グラツィアはメゾンの比類なき遺産を受け継ぎながら、その芸術的な革新と将来の成功に大きく貢献してくれると信じています」

フェンディは2024年10月にキム・ジョーンズが退任して以来、ウィメンズ部門の専任クリエイティブ・ディレクター不在が続いていた。創業者アデーレ&エドアルド・フェンディの孫であるシルヴィア・フェンディは、ブランド創立100周年を迎えた2025年にはメンズに加えてウィメンズも兼任。本年、9月29日付でデザイン業務から退き、名誉会長としてアンバサダー的な役割に就任した。

Silvia Venturini Fendi.

フェンディの会長兼CEO、ラモン・ロスは次のようにコメントしている。「マリア・グラツィアをチームに迎えられることを非常に光栄に思います。いまやクリエイティブ・ディレクターの役割は、美しい服をデザインするだけでなく、カルチャーを構築し、私たちが生きる時代を映し出すことにあります。彼女の才能とビジョンは、フェンディのヘリテージをさらに強固にし、次世代の才能を育み、イタリアのクラフツマンシップへのコミットメントを深めるうえで欠かせない存在になるでしょう」

Maria Grazia Chiuri and Pierpaolo Piccioli in 2010.
Fendi 'O For Pixie Lott - Paris Fashion Week Spring/Summer 2010Maria Grazia Chiuri and Pierpaolo Piccioli in 2010.

一方のキウリは今回の発表に際し、「フェンディに戻れることを光栄に、そして喜びに感じています。キャリアの始まりを創業者である5人姉妹のもとで過ごせたことは、私にとって大きな特権でした。フェンディは常に、才能を育てる“炉”のような存在であり、彼女たちは世代を超えてビジョンと技術を伝えてきました。この素晴らしい女性創業のメゾンで、新たな章をともに描く機会を与えてくれたアルノー氏に心から感謝しています」と語っている。

今回の就任は、ローマを拠点とするキウリにとっても自然な流れだ。フェンディが本社を構える同地で、ディオール退任後は歴史的劇場「テアトロ・デッラ・コメータ」の修復など、個人的なプロジェクトに取り組んできた。

キウリは1999年にフェンディを離れたのち、ローマを拠点とするヴァレンティノVALENTINO)でキャリアを重ね、2016年にラフ・シモンズの後任としてディオールのウィメンズ・クリエイティブ・ディレクターに就任した。

ディオールでは、メゾン初の女性リードデザイナーとしてウィメンズ部門を統括。「We Should All Be Feminists」Tシャツに象徴されるように、フェミニズムを前面に打ち出したメッセージを発信した。ジュディ・シカゴ、フェイス・リングゴールド、エヴァ・ジョスパン、ミカリーン・トーマスら女性アーティストと積極的にコラボレーションし、またアクセサリーデザインの専門性を活かして職人との連携を広げ、メゾンの表現の幅を拡張した。

そしていま、キャリアの集大成ともいえるタイミングで、“すべてが始まった場所”フェンディに戻るキウリ。次なる章でどんな創造を見せてくれるのか、その一歩に世界中の視線が注がれている。

Text: LUKE LEITCH, LAURE GUILBAULT Adaptation: Saori Yoshida

From: VOGUE.COM

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