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茶筒の老舗・開化堂の新しい試み「Kaikado Café」が話題!

  • 2016.5.26
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京都でいま注目を集めているのが、茶筒の老舗、開化堂が5月21日にオープンしたばかりのカフェ。場所はお店から歩いて5分ほどの河原町通沿いにある、市電の架線事務所兼車庫として使われていた築90年ほどの建物。約40年間、シャッターが閉じられていた場所が、明るく開放的な空間に生まれ変わった。

新旧のデザインがミックスした心地よい空間。店の奥に中庭がある。開化堂の茶筒のほか、カフェで使っているカップ&ソーサーやグラス、コーヒー、紅茶などはすべて購入可能。経年変化で色艶のでた大小の茶筒や、ミナ ペルホネンを始めとするオリジナル茶筒が並ぶショーケースも圧巻。

「数年前から中川ワニさんと京都の職人で一緒にかっこいいコーヒーの道具を作ろうと話をしていたことや、父が喫茶店をやりたいと言い出したことなど、いろんな流れが一気に集まって、オープンが実現したという感じです」と開化堂6代目の八木隆裕さん。八木さんは、京都の伝統工芸の若き後継者たちによるプロジェクトユニット「GO ON(ゴオン)」のメンバーだが、そのクリエイティブ・ディレクターでもあるデンマーク人のトーマス・リッケがインテリアデザインを手がけた。古びたコンクリートの壁や鉄の窓枠など当時のままの意匠と、開化堂の素材を使ったランプシェードやカウンターの前板、無垢のテーブルやベンチといった新しいデザインが見事に融合。高い天井と通りに面した大きな窓で、なんとも気持ちのよい空間に仕上がっている。

コーヒー界のカリスマ、中川ワニさんの教えどおり、丁寧にコーヒーを入れる開化堂6代目の八木隆裕さん。水栓はオランダから輸入したもので、コーヒーを入れるのに適切な温度の浄水が出る優れもの。

メニューは厳選されたラインナップで、コーヒーと紅茶はここでしか飲めないオリジナル。それぞれ「中川ワニ珈琲」と、開化堂の海外進出のきっかけにもなったロンドンの「ポストカード ティーズ」によるものだ。イチオシは、京都の多くの料理店が信頼を寄せるパン屋「ハナカゴ」の「ハナカゴ セット」。クリスマスのお菓子であるシュトーレンが、今後、季節ごとの素材を使って登場するとか。ほかにも、「丸久小山園」の抹茶ラテや「利招園茶舗」の玉露の雁金、那須高原の人気店「チーズガーデン」のチーズケーキ、城崎の地ビールなどが楽しめる。

中川ワニ珈琲のコーヒー(¥810)は、コクと、ほのかな甘みと酸味が特徴。「ハナカゴ セット」(¥864)は季節替わりのシュトーレンと赤ワインパン、ガトーショコラの3種の盛り合わせ。

宇治にて約400年の歴史をもつ「朝日焼」のカップ&ソーサーは、試行錯誤を重ねて完成したもので、横に広がる楕円形の飲み口で口あたりがよく、取っ手も持ちやすいデザインになっている。ウォーターグラスは、祇園にショップを構える「ポンテ」のもので茶筒をモチーフにしたデザイン、特注トートは「一澤信三郎帆布」製。ほかにも竹製品の老舗「公長齋小菅」のカゴや西陣織の老舗「細尾」のカーテンなどがさりげなく空間を彩る。そして、ここには開化堂の茶筒が揃い、購入できるというのも嬉しいニュース! そう、ここは単なるカフェでなく、開化堂のアンテナショップであり、京都の伝統工芸のアンテナショップでもあるのだ。

「京都中の人とデンマークのデザイナーなどみんなが集まって作るので、ひとつの感覚にまとめあげるのが大変でしたね。これまでロンドンやNY、台湾など海外に出て感じてきたことをミックスしながら、京都らしく落とし込みたいと思いました。カフェというスタイルなら、若い世代にもカジュアルに入ってきてもらえるし、ここが京都や京都の伝統工芸の玄関口になってほしいですね」と八木さん。

広々とした中庭に置かれているのは、デンマークブランド「HAY」のテーブルやチェア。プライベートバーとしてスタートし、今後不定期でオープン予定の2階のバーには、ハイエンドな特注家具を手がける中国の「ステラワークス」の家具や「細尾」のファブリックを使ったソファが並んでいる。

今後オープン予定の2階のバースペース。ウィスキーのボトルがバリエーション豊かに並ぶ。

京都のフレッシュでパワフルな"いま"を感じられるこのカフェの登場で、人の流れも変わりそうな予感。京都駅と街中を結ぶバス停の前で、京都駅から歩いても約15分という距離。おいしいコーヒーとともに、旅の始めに街歩きのプランを練ったり、帰りに立ち寄って旅の余韻に浸ったり。京都ラバーに嬉しい新名所の誕生だ。

Kaikado Café
カイカドウ カフェ
京都市下京区河原町通七条上ル住吉町352
Tel.075-353-5668
営)10時30分〜19時(18時30分L.O.)
休)木
カード:Ⓐ、Ⓜ、Ⓥ
www.kaikado-cafe.jp

photos:MAKOTO EBISU, texte:NATSUKO KONAGAYA

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