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モダンジュエリーの定番、カルティエ「LOVE」ブレスレットに秘められた物語

  • 2025.10.14

1971年、作家マルセル・プルーストの生誕100年を祝ってパリ郊外のフェリエール城で催されたロスチャイルド家の“プルースト舞踏会”で、写真家のセシル・ビートンはエリザベス・テイラーを写真に収めた。後に有名となるその1枚に写るテイラーは、大きく開いたデコルテヴァレンティノVALENTINO)のラッフルガウンを纏い、頬杖をつき、首もとには、ベルベットのリボンで結ばれた彼女所有の有名なダイヤモンドのひとつが光っている。

ハリウッドきっての宝石コレクターとして知られる彼女がその夜身につけていた注目すべきジュエリーは、それだけではない。手首には、宝石があしらわれていないミニマルでインダストリアルな趣の洗練されたブレスレットがはめられていた。彼女のパートナーのリチャード・バートンも身につけていたそのブレスレットこそが、カルティエCARTIER)の「LOVE」ブレスレットだった。

小さなビスがアクセントのシンプルなゴールドのバングルは、瞬く間にスタイリッシュなカップルたちの愛の象徴として定着し、スティーブ・マックイーンとアリ・マックグロー、ソフィア・ローレンとカルロ・ポンティ、ウィンザー公爵夫妻も身につけた。アルド・チプロがデザインを手がけ、1969年に誕生したカルティエの「LOVE」ブレスレットは、現代的でジェンダーレスな新しい愛の象徴として、今日まで愛されている。そして今、メゾンは名品を新たに解釈した「LOVE アンリミテッド」を発表した。

カルティエの「LOVE」ブレスレットを着けたエリザベス・テイラーを捉えた、セシル・ビートンによる有名な写真。
カルティエの「LOVE」ブレスレットを着けたエリザベス・テイラーを捉えた、セシル・ビートンによる有名な写真。

「LOVE」の発表から遡ること10年前にニューヨークに移り住み、社交界の常連となっていたチプロは、失恋から立ち直る過程で、有形で永続的な愛の証としてのブレスレットのインスピレーションを得た。

「当時としては、非常に独創的で大胆な試みでした」とカルティエのチーフ・マーケティング・オフィサーであるアルノー・カレズは語る。「デザインとして美しいだけでなく、ドライバーで封印される現代的な愛の表現を体現したピースとして、たちまち評判になりました。文化財になったのです」

セレブリティに愛され続けている永遠のアイコンブレスレット

2006年のジェニファー・アニストン。腕にはカルティエの「LOVE」ブレスレットが光る。
2006年のジェニファー・アニストン。腕にはカルティエの「LOVE」ブレスレットが光る。

わずか2、3年のうちにパリとロンドンでも販売されるようになると、「LOVE」ブレスレットは世界中で熱烈なファンを獲得。それ以来数十年にわたり、ティナ・ターナーやアンジェリーナ・ジョリールイス・ハミルトンらの著名人や、サセックス公爵夫妻、カイリー・ジェンナーティモシー・シャラメらカップルたちの手首を飾ってきた。

「LOVE アンリミテッド」ブレスレット YG ¥1,372,800
「LOVE アンリミテッド」ブレスレット YG ¥1,372,800

「LOVE アンリミテッド」は、カルティエのジュエリーの中で最も検索されるコレクションの新たな章となった。オリジナルのデザインを踏襲しつつ、新作にはふたつの革新的な要素が導入されている。ひとつは“第二の肌”のように手首にぴったりとフィットするしなやかさ、もうひとつはドライバーなしでも固定できる特許出願中のビスシステムだ。

滑らかなゴドロン装飾風のリンクには手作業で磨き上げられたビスのモチーフが刻印されており、ブレスレットが動くたびにきらめく。外側から見えないクラスプは、ビスで開閉することができる、オリジナルの“愛の絆”を表すコンセプトを尊重しつつも、着脱を容易にする目立たない構造を採用している。この画期的なクラスプにより、ふたつの「LOVE アンリミテッド」を繋ぎ合わせたり、ペアで身につけたり、手首に幾重にも巻き付けたりと、時間と経験とともに深まる愛を象徴するスタイリングを楽しむことができる。

2022年のインビクタス・ゲームにカルティエのブレスレットを着用して出席したメーガン妃。
Invictus Games 2020 - Day 12022年のインビクタス・ゲームにカルティエのブレスレットを着用して出席したメーガン妃。

「『LOVE』コレクションは、ジュエリー界で最も知名度のあるシリーズのひとつです」とカレズは言う。「『LOVE アインリミテッド』は、オリジナルにインスパイアされたフレキシブルな“第二の肌”という、意義深い革新を実現させました」と、技術的な進化についても強調する。「このピースはものづくりにおける真の課題でした。ブレスレットの構造には200以上の部品を組み込み、このしなやかさを実現するために100を超える試作を重ねました。最後の磨きの工程は手作業で行われています」

新たに登場した「LOVE アインリミテッド」コレクションには、ブレスレットの特徴的なデザインを小さなスケールで再現したリングもあり、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドの3素材で展開している。どれも永遠の定番品として、長く大切にしたいピースだ。

Text: Milena Lazazzera Translation: Motoko Yoshizawa

From VOGUE.CO.UK

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