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休むのが苦手なあなたのために。『ニャンだかラクになる休み方』著者・Jamさんに聞く、頑張りすぎる人への「休み方」のヒント

  • 2025.10.14
『ニャンだかラクになる休み方』Jam(スターツ出版)撮影:佐野学(スターツ出版)

「よりそう、ぬくもる。」をキャッチコピーにした新レーベル「OZbooks/comics」から10月12日(日)に発売された『ニャンだかラクになる休み方』。シリーズ累計40万部を突破した『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』の著者・Jamさんによる、休むのが苦手な人たちに向けた1冊です。

Jamさん自身も「体を壊すまで休めなかった」という経験を持つひとり。だからこそ本書には、誰もが共感できる実体験と、明日から取り入れられる発想の転換が詰まっています。

今回はJamさんに、新刊執筆の背景や「休み方」のコツについて伺いました。


体を壊すまで休めなかった過去

『ニャンだかラクになる休み方』Jam(スターツ出版)「01 何もしないと罪悪感がある」より。

――なぜ今回「休み方」をテーマにされたのでしょうか?

Jamさん 担当の編集さんから「休み方についてはどうですか」とお話をいただいたのがきっかけです。まだ自分が本にしていないテーマでもありましたし、私自身が休むのが本当に苦手なタイプだったので、書けることがあるかなと思いました。

――ご自身も休めなかった時期があったそうですね。

Jamさん 本当に「休まないタイプ」で、体を壊すまで休めなかったんです。メニエール病になったり、ぎっくり腰やヘルニアになったり。会社員時代には首を痛めて倒れ、1週間ドクターストップがかかったこともありました。本当に懲りないんですよね。やってもやってもまた休めずに仕事しちゃって、みたいな。

だけど、そのときに痛感したのは、「休まないと仕事は止まる」ということです。休むと仕事が遅れると思い込んでいたけど、病気で倒れる方がよっぽど仕事が止まる。だから、「休むのは怠けじゃない、仕事を効率よく進めるため」と考えを切り替えました。

――休むと怠けているようで罪悪感があるという人も少なくない気がします。

Jamさん わかります。かつて私もそうでしたが、体を壊してから罪悪感の方向を変えました。たとえば私が倒れて締め切りを落としたら、担当の編集さんに迷惑がかかりますよね。最悪引き継ぎもできない。その方が大きな罪だと思うんです。だったら倒れないことのほうが大事。仕事をしない罪悪感ではなく、迷惑をかけないための休養だと思えば、気持ちが変わると思います。

――もともと物事をポジティブに捉えるのが得意だったんですか?

Jamさん いえ、もともとは超ネガティブなので(笑)。どうしたら楽に生きられるかを必死に考えて行き着いたのが、そうやって変換していく方法だったんですよね。罪悪感ばかりを抱いても、結局悪い方にしか行かないので、もう生きるために開き直り方を身につけたという感じですね。今はそこまで辛いと思わないので、好転しているのかもしれませんね。

日常の工夫から生まれた60もの休み方

『ニャンだかラクになる休み方』Jam(スターツ出版)「02 誰とも話したくない日がある」より。60もの具体的な休み方の提案が、マンガとエッセイで綴られている。

――今回の『ニャンとも上手な休みかた』では、60もの休み方が紹介されています。ネタ集めはどうのように?

Jamさん これまでたくさん痛い目にあってきたので、実体験に基づいたものがほとんどなんです。編集さんから悩みを挙げてもらったりもしつつ、解決策はほぼ自分の体験から。毎日の中で「これだと楽になる」という方法を集めたという感じですね。

たとえばジムに通う、夜はスマホをしまっておく、友人とカラオケに行って歌いまくる……どれも実践してきたものなんですよ。夜は箱の中にスマホをしまっておくというのは、一緒に暮らしている猫がコードを引っ張って危なかったので、スマホを片づけるようにしたら、結果的に夜スマホを見なくなったんですけど(笑)。日常の延長にある小さな工夫が多いです。

――今作も4コマ漫画とテキストで構成されていますが、大切にされていることは?

Jamさん 4コマ部分は“あるある”を描き、テキストでは「友達に相談するような感覚」で書くようにしました。読者の方々に「休んでいいんだ」と思ってもらえるように、上から言うのではなく、寄り添うことを意識しました。「こうしなくちゃいけない」は言わないように、できるだけ相手を傷つけないように、という気持ちで書いています。

――制作で苦労されたことは?

Jamさん 実はスケジュールがなかなかタイトで……休み方の本なのに休めませんでした(笑)。でもその中で新しい休み方も見つけられました。

――具体的にどんな休みを取り入れたんですか?

Jamさん 最近だと、友達と7時間ぐらいカラオケに行って、一瞬で最高に癒されて仕事に戻るみたいなことをしましたね。だらだら過ごすより、思いきり遊び尽くした方がストレスが発散できるんです。中途半端に休むと「サボっちゃった」と罪悪感が残るけれど、遊び切ると「休んだ!」という充実感が得られる気がします。

――今回の制作を通して、ご自身の休み方は変わりましたか?

Jamさん 大きくは変わっていませんが、「休み方のストック」が増えました。まとめて書き出すことで可視化されて、「こういうときはこの休み方」と引き出しが多くなった感覚です。半年間ずっと休み方のことを考えていたので、休むプロになっているといいんですが(笑)。

頑張りすぎた人から倒れる

『ニャンだかラクになる休み方』Jam(スターツ出版)より。休むのが苦手な人は、つい、抱え込みすぎてしまうけれど……。

――そもそも、私たちはなぜこんなに休むのが下手なんでしょう?

Jamさん やりたいことがあるから頑張っちゃうんだと思います。特に20代や30代は、周りも同じ勢いで働いているので「頑張らなきゃ」と無理をしてしまう。でも、続けられる人は「適度に休んで続けた人」なんです。私の経験上、頑張りすぎた人から倒れていきます。人は大丈夫そうに見えても、本当に無茶してたら絶対倒れますから。

――どうしたら上手に休めるようになりますか?

Jamさん 相談できることが一番大事だと思います。締め切りが厳しそうなら1週間前に相談すれば調整できますよね。私は会社員時代にプレッシャーで胃薬や頭痛薬を常用していましたが、その経験から「スピードを武器にしよう」と決めました。早めに出せば直す余裕もあるし、結果的に相手も助かる。そういう積み重ねで少しずつ楽になりました。

――休むことのメリットはどこにあると思いますか?

Jamさん それはもう効率ですね。筋トレもそうですが、筋肉も休める期間があった方がトレーニングの効率がいい。パソコンもつけっぱなしにするとヒートしちゃうのと同じで、人間も稼働しっぱなしだと壊れます。だからこそ、休んだ方が結局は長持ちするし、結果効率もいいんです。

――最後に、休むのが苦手な人へメッセージをお願いします!

Jamさん 休むことに罪悪感を持つ必要はありません。周りを納得させる必要もないんです。時代はもう「休んだ方が効率がいい」方向に動いていますから。体を壊さないためにも、自分を大切にするためにも、自分の心に従って休みを取り入れてみてください。

Jam(じゃむ)さん

漫画家・イラストレーター・ゲームグラフィックデザイナー。日常で起こる人間関係の悩みを描いたマンガ「パフェねこ」シリーズがTwitter(現X)で累計50万以上リツイートされるほど話題になる。著書に、『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)、『にゃんしゃりで心のお片づけ。』(PHP研究所)、『言いにくいことはっきり言うにゃん』(笠間書院)、『ヤバくない? ネコなら速攻にげてるよ』(角川春樹事務所)など多数。

文=船橋麻貴

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