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【鈴鹿央士】『リア王』という大作で踏む初舞台。「楽しみ」と「緊張」の狭間にあるもの

  • 2025.10.12

「ぜひ舞台に挑戦したかった」とキラキラした笑顔で話す鈴鹿さんですが、じっくりと話を伺うと、実力派の先輩たちが揃う現場で不安もたくさんあるとのこと。そんな鈴鹿さんが真っ向から取り組む初舞台に対する意気込みや緊張、不安など、正直な気持ちをしっかり伺ってきました!

毎日が“本番”で間違っても巻き戻せない舞台に魅了されて

鈴鹿央士さん

──いつかは舞台に出演したいと思われていたそうですが、それはどうしてですか?

事務所の先輩に舞台に精通している方が多くて、事務所の方々がよく舞台に連れて行ってくださったんです。それを観ていて、いつか自分もやりたいとふんわり思っていたのですが、いざ決まるとすごく緊張しますね(笑)

──どんなことに緊張されますか?

毎日本番じゃないですか(笑) ドラマや映画も毎日本番なんですけど、舞台は一度始まったら巻き戻せない。そのスリルというか、本当にお客さんが目の前にいるという空気感はどんな感じなんだろうとか、台本を覚えられるかなとか……。緊張はしていますが、すごく楽しみなことも多いです。

──映像の現場とは全然違うでしょうね!

映画やドラマだと一日にシーンをいくつも撮影しますが、撮り直しがない限り、そのシーンは二度とやってこないんです。舞台は一冊の台本を何回も繰り返しやれるという、その作品を深掘りしていく作業が毎日できるのはすごく楽しいと経験者の方から聞いているので、そういったものにもすごく期待しています。

──今回の『リア王』はシェイクスピア作品ということで、ご自身がシェイクスピアに抱いていた印象やシェイクスピア作品に触れた経験などがあれば教えてください。

やはり難しいイメージはあって、日本語になったとしても、やはり表現が“歌”のような感じというか……。それが面白さでもあると思いますが、やはり壁は高いという印象でした。しかし、昨年ロンドンに行っているときにシェイクスピアズ・グローブで『リチャード三世』を観て、これがシェイクスピアか!と。

──どんな体験だったのですか?

王様が出てくるタイミングで、観客の人も一緒に「エッサー!」みたいな掛け声をかけていたんです。それが本場ならではなのか、その劇場での演出の一部だったのかは分かりませんが、「シェイクスピアってこんな感じなんだ!」と面白いところがたくさんあるのだと勉強になりました。いざ自分が台本読んで、役として関わるのとは違うかもしれませんが、ハマっていきそうな感覚はあります。

──『リア王』はシェイクスピア四大悲劇のひとつですが、現時点ではどんな作品だと思っていらっしゃいますか?

人が権力を手に入れたときに出てくる人間の裏や闇みたいなものがすごくにじみ出ている作品だと思うのですが、僕がやる【エドガー】として読むと、その中でも前を向いて生きていく、希望を担っている役だというのを感じます。昔の時代に書かれた作品ですが、人間の本質が描かれているので、すごく共感できる。時代を超えて、上演され続けている理由がうっすら分かった気がしています。

僕はそんなにカッコよくないけど、こういった人物でありたい

鈴鹿央士さん

──【エドガー】という人物をどのように捉えていらっしゃいますか?

優しさはありますね。でも周りの人に比べると、危機感が薄かったのかなと最初は思ったのですが、それは家族への信頼感や忠義心が強かったのでは、とも思っています。途中から物乞いを装うようになるのですが、そうなったあとでも、自分の芯として持っている正義感みたいなものを捨てずにいるのは難しいなぁと、今はそう思っています。ただ、この『リア王』の光を担う人物ではあるので、舞台を観てくださる方々に光を与えるような存在でありたいと思います。

──【エドガー】という役がご自身と重なったり、彼の行動や心情に共感したりする部分はありますか?

僕はそんなにカッコよく生きてないので(笑) でも、この生き方はカッコいいなって思います。今の時代、信頼関係や友人関係など、些細なことで揺れ動くじゃないですか。誰々のウワサがどうの~って。それってなんか苦しいなって思うんです。そうじゃなくて、自分が信じるものを信じて、自分の正義を貫く姿勢はカッコいいと思いますし、こういった人物でありたいと思いますが……。なかなか難しいです(笑)

──今回は共演者の方々も豪華です。キャストの皆さんのお名前を聞かれて、どう思われましたか?

自分でも「すごいチャレンジだな」と思いましたが、このメンバーの中に入れていただけたというので、本当にやるしかないです。初めての舞台というのは、一回きり。その初めてというのを、こんなに素晴らしい先輩方と同じ舞台に立てるというのは、本当にラッキーだと思うんです。すごく運がいいなって思うので、そこは楽しみたい。こんなすごい方々に囲まれて初舞台を踏めることで、自分は幸せ者だと思いながらやっていきたいです。

──とてもポジティブで素敵ですね。

確かにそうですね(笑) 人との出会いの運は人一倍強いと思っているんです。そう思っているほうが運はどんどん強くなるらしくて、そういう考えで生きてきたら、ちょっとポジティブになれました。

あんな長いセリフが入るのか……でもきっと入ると信じて(笑)

鈴鹿央士さん

──初めての舞台において、事前に準備をされたことは何ですか?

初めてすぎて、何を準備したらいいのかまったく分からない状態でした。よく「お稽古のときはセリフ、全部入っていましたよ」というのを聞きます。あんな長いセリフとこんな分厚い脚本を稽古までに覚えるなんて、すごすぎないかと日々思っています(笑)

──先輩からのアドバイスなどはありましたか?

以前、同じ事務所の俳優さんと男3人で住んでいたのですが、そのお二人もよく舞台をやっているんです。僕が初めての舞台というので、話したのですが……。そのお二人が「セリフ入らないって思うじゃん? でも入るから!」と言われました(笑) 一日に何回も稽古していたら、翌日朝起きたら、入ってるんだよって。そう言ってくれたんで、不安ですが信じています。

──先輩からのアドバイス、頼もしいですね!

でも、稽古の間は映画とかは観られなそうだと思いました。仮に、似たようなシーンで似たようなセリフを言っていたら、そのときに観た映画のセリフが出てきそうで(笑) 稽古の間は止めておきます。

初めての舞台作品への挑戦を前に言葉の端々から【うれしさ】と【緊張】が垣間見える鈴鹿さん。武者震いしながらも、ワクワクが抑えきれないといった様子です。後編ではプライベートな鈴鹿さんにも迫ります!

鈴鹿央士(Ouji Suzuka)

2000年1月11日生まれ、岡山県出身。2018年4月、スカウトをきっかけに芸能活動を開始。同年、ファッション誌「第33回『MEN‘S NON-NO』専属モデルオーディション」にてグランプリを獲得する。2019年から俳優として活動をスタート。デビュー作となった『蜜蜂と遠雷』での演技が高く評価され、第44回報知映画賞、第41回横浜映画祭、第74回毎日映画コンクール、第43回日本アカデミー賞といった映画賞の新人賞を総なめに。主演作にドラマ『スイートモラトリアム』『嘘解きレトリック』など。映画では『蜜蜂と遠雷』、『花まんま』など活躍は多岐にわたる。舞台は今回のBunkamura Production 2025 /DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』が初出演となる。

\Information/

Bunkamura Production 2025/DISCOVER WORLD THEATRE vol.15『リア王』NINAGAWA MEMORIAL

■作
ウィリアム・シェイクスピア

■上演台本・演出
フィリップ・ブリーン

■出演
大竹しのぶ、宮沢りえ、成田 凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、
西尾まり、大場泰正、松田慎也、和田琢磨、
井上 尚、吉田久美、比嘉崇貴、青山達三、
横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎 一

■ミュージシャン
会田桃子(Vla.)、熊谷太輔(Perc.)、平井麻奈美(Vc.)

<東京公演>
2025年10月9日(木)~11月3日(月・祝)
THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)

<大阪公演>
2025年11月8日(土)~11月16日(日)
SkyシアターMBS

ジャケット、シャツ、パンツ (全てNEZU YO-HINTEN・@nezu.yohinten〈Instagram〉) 靴/スタイリスト私物

撮影/楠本隆貴 ヘアメイク/阿部孝介(traffic) スタイリング/朝倉豊 取材・文/前田美保

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