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熱々のお茶で死ぬ!?日本人の死因第6位「誤嚥性肺炎」を防ぐ!法医学者のアドバイス

  • 2025.10.12

熱々のお茶で死ぬ!?日本人の死因第6位「誤嚥性肺炎」を防ぐ!法医学者のアドバイス

何気ない日常の中に、思いがけない“死の落とし穴”が潜んでいるかもしれません。大切な人が、そして自分が、そんな危険に巻き込まれないために——。話題の新刊『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(高木徹也著・三笠書房)から、そのヒントを抜粋してお届けします。第2回は、「熱いお茶を飲んで死ぬ!?」

熱いお茶を飲んで死ぬ!?

おばあちゃんが熱々の緑茶を持ってきて、ふーふーしながら口をつけたら「猫舌だね」なんて笑われて……。日本によくある、ほのぼのとした光景の一つですね。

ただし、おばあちゃんの愛情たっぷりとはいえ、急須から注がれた直後の熱々のお茶を飲むのは、死ぬ危険性を高めてしまいますので注意が必要です。

その理由の一つとして、熱い飲食物は「食道がん」になる危険性を高めるという研究結果が数多く報告されています。日常的に熱い飲食物を摂取していると、食道が刺激を受け、食道粘膜の細胞が変異して、がん化する可能性があるのです。

特に高齢者は、熱さを感じる神経が鈍くなっているので、熱すぎるものをあまり抵抗なく飲みこむことができてしまいます。

以前、私が麻酔科医として病院に勤務していたとき、食道がんの手術を受けるご高齢の男性を担当しました。幸い手術は無事に終わり退院されたのですが、その半年後、今度はその男性の妻が、同じく食道がんとの診断を受け、手術することになったのです。

ご夫婦ですから、遺伝的要因によるものとは考えられません。詳しく話を聞いてみると、夫婦で熱いお茶を飲むのを日課にされていることがわかりました。もちろん、一概にそれだけが原因とは言えないものの、家庭内の習慣という環境的要因による発がんとも考えられ、医師としてとても驚いたことを覚えています。

物足りないな、くらいの熱さでいい

熱いお茶を飲むことのもう一つの危険性は「誤嚥性肺炎」です。

日本人の死因ランキングは長年、1位「がん」、2位「心疾患」と変動がないのですが、近年になって3位に「老衰」、4位に「脳血管疾患」、5位に「肺炎」、6位に「誤嚥性肺炎」といった病名がランクインするようになりました。

「誤嚥性肺炎」とは、飲食物や唾液などが、細菌とともに継続的に気道内へ流入した結果として起こる肺炎のこと。原因は、歯の本数の減少や咀嚼力の低下、そして微細な脳梗塞にもとづく咳嗽(がいそう)反射の低下が関与しています。

さらに、実は、この咳嗽反射の低下は「飲食物の温度」によっても生じやすいことがわかっています。

もともと高い温度の飲料水は、身体にとって「飲みこみやすいもの」と判断されるため、誤嚥しやすいのです。そのうえ歳を重ねると、微細な脳梗塞によって、「むせ」症状が出ることなく、簡単に気道内に流入してしまいます。

本来、気道は無菌状態でなくてはなりませんが、誤嚥した飲食物は細菌などの微生物が混ざった不潔なもの。加えて高齢者は、歯周病や入れ歯などで、口腔内環境が不潔な状態に陥っている可能性も高いでしょう。

そのため、熱いお茶ばかりを飲んでいると、誤嚥による気管支炎から肺炎を起こしてしまう可能性があるのです。そして、その肺炎が重篤化すれば、呼吸困難や敗血症に至って死んでしまいます。

【このような危険を避けるには……】

・お茶は60度程度に冷ましてから飲む。
・こまめな歯磨き、入れ歯の手入れで口腔内をきれいに保つ。
・定期的に歯科医に通い、虫歯や歯周病のトラブルを早期に解決しておく。

※この記事は『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』高木徹也著(三笠書房刊)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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