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要注意!【便秘】の放置が「腸閉塞」になるかも⁉ 最低でも2日に1回は出す努力を

  • 2025.10.9

要注意!【便秘】の放置が「腸閉塞」になるかも⁉ 最低でも2日に1回は出す努力を

いつの間にか便秘がちになっていたり、慢性的に便秘が続いていたり……。「便秘はごみをためているのと同じ。体に悪影響も」と常喜眞理さん。加齢とともになりやすくなる便秘は、放置せず、積極的に対処しましょう。

もともと便秘になりやすい女性。それが加齢でよりなりやすく!

以前は毎日、すっきりと出ていたのに、排便のリズムが乱れたり、便秘がちになったり。気になりながら、放っておいている人もいるのでは?

「便秘でも苦しくないし、週に2回は出ているので大丈夫、という人もいます。ですが、シニアは便秘が機能性腸閉塞の原因になります。最低でも2日に1回は排便してほしい。それ以下の排便数であれば、放置しないでください」と、常喜眞理さん。

機能性腸閉塞とは、腸のぜん動運動が低下し、腸に内容物がたまってしまう病気。

「硬くなった便が腸に詰まって起こります。腸が破裂して、おなかの中が便だらけになり、命に関わる状態になることもある怖い病気です」

また、便秘は痔の原因にもなる。

「排便に時間がかかること、便が硬いことが原因で切れ痔になります。肛門は一生使う重要な器官です。大事にしていただきたいですね」

常喜さんは「毎日の排便(ごみ出し)を心がけて」と言う。

「老廃物が停滞すると、さまざまな面で体に悪影響を与えます。家のごみと同じで、ためないことが大事です。1日出なければ、2日目には薬を使ってでも出したほうがいいと思います。逆に軟らかめで、1日に数回、トイレに行くような場合は、出血や痔などの問題がなければ便秘よりはいいと思います」

「バナナうんちが健康のバロメーター」ともいわれるが、ゆうゆう世代になったら「若い頃のバナナうんちにはこだわらず、毎日、出すことが大事」と常喜さん。そもそもゆうゆう世代は「便秘」になりやすい年代なのだ。

「もともと女性は男性と比べて体が小さく、子宮や卵巣もあります。大腸を収めるスペースが狭く、曲がり角もきついので、消化物が停滞しがちです。さらに50代くらいからは加齢により大腸の働きが衰えるため、いっそう便秘になりやすくなるのです」

顔や体の衰えは外からでもわかるが、体の中の衰えは見えないだけに認めにくいが……。

「体の中の筋肉や膜も衰えているんですね。大腸の筋肉が衰え、内臓を包んでつり上げている膜もたるみます」

大腸がたるむと、加えて大腸自体の動きも鈍くなり、便を押し出す力も弱くなって便秘がちに。

「残念ながら、加齢による腸の働きの低下はどうすることもできません。食生活を含めた生活習慣に気を配り、まずは整腸薬で改善できるか試してみましょう。それでだめなら便を軟らかくする薬を用いることも考えて」

加齢で大腸の動きが悪くなると……

約1.5mの長さの大腸は、5カ所の曲がり角をつくることで体内に収まっている。

「加齢により、大腸の筋肉が衰え、内臓をつり上げる膜がゆるんで、腸がだらんとした状態になります。すると、たまっている消化物が停滞しやすくなり、便秘になりやすい状況に。曲がり角にはガスがたまりやすくなります」と常喜さん。

適度な運動、睡眠、食生活など、まずは生活習慣の見直しを

便秘改善のために心がけたいのは、適度な運動、十分な睡眠、十分な水分の摂取、食物繊維の多い食事など。

「軽い腹筋運動やウォーキングなどを毎日の習慣に。座っている時間が長い人は、体をねじったり、ガスのたまりやすい左の脇腹やおへそのあたりを両手のひらで、ゆっくり押さえたりするだけでもガスが動きます。体内リズムが崩れると腸のリズムも乱れ、働きが弱ってしまうので、規則正しい生活と睡眠を。食物繊維は水溶性と不溶性の両方をバランスよくとりましょう」

水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよくとる

水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり腸内環境を整える。不溶性食物繊維は便の量を増やして排泄を促進する働き、有害物質を吸着し排泄する働きがあるといわれる。水溶性が多く含まれるのは海藻類、いも類、りんごやみかんなどの果物、不溶性が多く含まれるのは穀類や豆類、きのこ類、野菜など。ごぼう、納豆にはどちらも多く含まれる。不溶性に偏るとおなかが張ることもあるので、バランスよくとることが大切。

水溶性食物繊維の多い主な食品
不溶性食物繊維が多い主な食品
水溶性、不溶性食物繊維のいずれも含む主な食品

排便を意識することも重要

そして、排便を意識することも大切だ。

「『出さなければ』という意識が排便を促します」

便秘薬については「飲み始めたら、習慣化するのでは」と心配する人もいる。

「便秘薬にも種類があります。センナ、アロエ、ダイオウなどの、アントラキノン系の薬はおすすめできません。腸管の神経に直接作用して、無理やり腸を動かし排便させるため、長期に使用すると腸管の神経を傷める可能性があります」

常喜さんがすすめるのは、酸化マグネシウムや食物繊維系の便秘薬。

「酸化マグネシウムは水分を大腸内に引き込むことで便を軟らかくする働きがあります。腸に適度な張りを感じさせて、腸の活動を促します。おなかが痛くなりにくく、自然な状態で排便できます。少し下痢ぎみになることもありますが、習慣性はありません。市販薬もありますし、かかりつけ医で処方してもらうこともできます。ただし、腎臓に問題がある人は酸化マグネシウムは使えないので、かかりつけ医に適切な薬を処方してもらいましょう」

【ドクターから一言】

若い頃のバナナうんちにこだわらないで。体のごみはためず、最低でも2日に1回は出す努力を。ときには薬の力を借りてもOKです

取材・文/田﨑佳子

※この記事は「ゆうゆう」2022年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2024年10月24日に配信した記事を再編集しています。

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